■たわごとですかーっ!!■



▼【殻があるから】 04/11/27

朝、喫茶店へ行き、コーヒーを注文すると、たいていの場合モーニングが付く。
コーヒーの他に何品かサービスの品が付くのであるが、店によってはトーストが付いたり、サラダが付いたりする。間違っても、けんちん汁など付くことはない。モーニングだからだ。
かと言って、イブニングだったらどうかと言われれば、そんなことはいまどうでもいいし、そもそもイブニングって何だ。
そうしたことを踏まえ、改めて考えたとき、喫茶店のモーニングと言って代表されるものと言えば、これをおいて他にないのではないか。
ゆでたまご。
ゆでたまごのないモーニングは、すでにモーニングとは言えず、そもそもゆでたまご自体、食べる機会と言えばモーニング以外には温泉くらいしか思い浮かばず、それほどまでに、ゆでたまごはモーニング界に取ってかけがえのない存在なのだ。
偉大なり、ゆでたまご。

しかし、そんなゆでたまごにもウイークポイントがある。
殻である。ゆでたまごを食べる際にまず必要な作業と言えば殻を剥くことである。
誰だ。面倒だからと言って、殻ごと食べる奴は。確かに身体には良さそうな気もするが、傍目から見るとかなりワイルドだよ、それ。
やはり、殻は剥いた方が良さそうである。
その方法も人それぞれであり、中にはおもむろに手に取ったゆでたまごをおでこにぶつける奴がいるが、それは必ずしも的確な方法とは言えないのではないか。
もし、そのゆでたまごが半熟だったときのこと思えば、おでこにぶつけたその後の無惨さは、日を見るより明らかである。
「これは半熟です」と一言ゆでたまごに書いて置いてくれればいいのだろうが、なかなかそこまで要求するのはちょっと申し訳ないような気もするし、おでこは硬いからと言って、いきなり鼻にぶつけるのも少々いただけない。
見れば顔面鼻血だらけだ。鼻血だらけになったゆでたまごは、かなりグロテスクに思えるし、顔面血だらけでモーニングを食べる姿は無性に不憫でならないよ。
そう言った意味においても、ゆでたまごの殻の剥き方には慎重を期さなければならない。
「トントン…」
テーブルの角にゆでたまごを当て殻を破る。
現在考えられる、もっとも安全かつ的確な方法だろう。
あくまでも基本は「トントン」である。「ドンドン」じゃいけないし、「ゴンゴン」でもダメだ。力加減をちょっとは考えろと言いたい気分だ。
そして、そのヒビの入った部分に指をかけ殻をめくるのだが、更に試練は続く。
殻を剥いてるつもりが、うまくいかない。見れば白身まで剥いてしまっているではないか。どうやら殻に白身が付いてきてしまっている様であり、いくら慎重に剥こうにも、やはり白身は付いてくる。
当初、慎重に行っていた作業も次第に雑になってゆく。イライラ感も最高潮だ。さっきまで温厚だったオレが嘘のようだ。
気が付いた時には、ゆでたまごはボロボロである。食べるのも気が引けるような、そんな無惨で貧相なゆで卵だ。
そんなゆでたまごは、手に持っているだけで何だか悲しい。
だから、ゆでたまごは殻ごとがいい。

byクムラ〜


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