■たわごとですかーっ!!■



▼【変貌する喫茶店】 04/10/31

喫茶店が変わり始めている。
その昔、喫茶店は通称、「さてん」、もしくはちょっと気取って「コーヒーショップ」だったのではないか。「茶坊」と言うのもなかなか粋で良いかもしれない。
しかし、いま、これでは通用しないことになってきている。
カフェである。
これが今風の言い方だとしたら、ネスカフェの先見性には感心するばかりだが、それにしたって、わざわざカフェとする必要がどこにあると言うのだろう。
だってそうだろう。
カフェと聞いただけで、何かしら気取った感じを受け、となれば、とても2本線の入ったジャージなんかで行けたもんじゃないじゃないか。
じゃあ、3本線ならどうだと意見もあるだろうが、今回は割愛させていただく。

そしてまた、商品のその多種多様性は、ユーザーの選択肢を広げると言う意味において、画期的なことではあるが、反面、その名称の難解さは、皆涼しい顔をしているが、内心戸惑っているに違いない。
最近流行の某コーヒー店で並んでいるメニューはこうだ。
カフェミスト、バニラクリームフラペチーノ、キャラメルマキアート…
なんだ、いったいこれは。
それだけ聞けば、まるで得体が知れないものばかりである。

コーヒーひとつ取っても、並のコーヒーではない。
コロンビアやキリマンジャロくらいならまだ許せる。
ナリニョ、スプレモ、ライトノード、グアテマラ アンティグア…
一見気の利いた名前ばかりだが、しかし、こんなもの、スラスラ暗唱できる奴がどこにいるんだ。
いるとすれば、コーヒー博士くらいのものではないだろうか。

また、注文の仕方にも独特のルールがある。カウンターの前でメニューを見、商品を選んで注文する。
注文の仕方はこうだ。
「キャラメルマキアートのトールください」
トールである。
どうして並じゃいけないんだ。
しかし、オレは必死に覚えた。
何度も何度も繰り返し呟き、覚えたメニューは、キャラメルマキアートであり、他のものまで覚える余裕はオレにはない。
なにしろ、雨が降ろうが、槍が降ろうが、キャラメルマキアートのトールだ。
天気は関係ないけどな。

もし、突然このメニューがなくなったらどうなることだろう。
いつもの様にいつものものを注文しようと、ふとカウンターのメニューを見る。
「な、ない…」
どこを探しても、キャラメルマキアートの文字が見あたらないではないか。
あまりにも突然の事態に、オレは呆然と立ち尽くすに違いなく、頭の中は錯乱し、半ば発狂寸前に陥るだろう。
ああ、なんて恐ろしいんだ。
いつもあるものが、いきなりなくなることへの恐怖を再認識するとともに、こんなカフェで、くつろぐのはオレには到底無理だよ。
ドリンクバーのコーヒーを飲みながら、オレはしみじみと思うのだった。

byクムラ〜


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