■たわごとですかーっ!!■
▼【地上最強の…】 03/10/05 過去に世界最強、地上最強などと言われた人物は数々いる。プロレスラーしかりプロボクサーしかり、様々な格闘家が名を連ねたものである。そしてそれはなぜかいつも格闘家、武道家である。だってそうじゃないか。世界最強に舞踏家や茶道家などの面々が名を連ねたらおかしいだろう。そもそも手に扇子や湯飲みを持って闘ったりしたら卑怯じゃないですか。 じゃあ、プロレスラーの凶器はどうなんだと言われれば返す言葉もない分けだが、そもそも問題はその動きのスローモーさにあるのではないか。地上最強は動きが機敏かつパワフルでなくてはならないのだ。 そういう観点から言えば、やはり地上最強候補としては主に格闘家、武道家と言うことになるのだろう。確かに、人は彼らが闘っている姿を実際にその目で見、または聞く分けであるから、非常に具体的に分かりやすくその実力を評価することができると言うものである。しかし、オレは彼らを最強の人間とは認めない。 敢えて、言おう。この世において最強の人間は誰か? 「浮浪者」 即ち、ホームレスであると断言する。 彼らは凄い。 何が凄いって、その生命力である。 どこの世界に、灼熱の夏だろうと、極寒の冬だろうと、外で寝ていられるやつがいると言うんだ。しかも新聞紙たった一枚でだ。あってもせいぜい二枚がいいところだろう。 果たしてプロレスラーがこんなことできるだろうか。いや、きっとできないだろう。このオレだってできやしない。 だって、恥ずかしいからさ。 なにしろ立ちゆく人間に何を言われようと平然としている、その精神力もまたたいしたものである。強靭な肉体は強靭な精神力に宿る、とは良く言ったものである。 誰が言ったのか忘れたけど。 夜空を見上げながらふと思う。そもそも彼らは風邪など引くのだろうか。 もしかしたら彼らは、万が一風邪を引いても、それが風邪なのか何なのか分からないのではないか。いったいどこまで鈍感なんだ、あんたたちは。 これではさしものウイルスもお手上げである。 ウイルスをウイルスとして認めていないのだから、ウイルスも手に負えないだろう。 仮に万が一風邪を引いたとしても当然病院に行くこともない。彼らの辞書に、風邪と言う文字はないと言える。 とにかく彼らの強さは並ではないのだが、その生活ぶりにおいてもその逞しさを垣間みることができる。 ホームレスのいま人気の住まい空間はテントである。テントと言ってもブルーのシートを木材の下地に張り合わせただけのものなのだが、目を見張るべきはその設備である。 テントの屋根にあたる部分には何かが立っている。良く見るとアンテナである。しかもこともあろうにBSアンテナだったりするのだ。 衛星を駆使するホームレス。どれだけ壮大なんだ、ホームレス。 更に驚くべきものを目撃した。ホームレスがなにやら手に持っている。手に持っているそれを、今度はこともあろうに耳に持っていったのである。 なにか嫌な予感がしたが、その予感は的中した。 携帯電話である。 けっして、ホラ貝でないことは確かだ。アンテナ付きのホラ貝があるなら話は別だが… なにしろいったい請求先はどこなのかお聞きしたいところだが、とにかく携帯電話を手に持っていたのは間違いない。 今のホームレスは携帯電話でコミュニケートするのだ。携帯電話の普及率が上がるのも納得できる。 また、こういう場面にも遭遇した。ホームレスどうしが何やら会話をしている。 その話しに耳を傾けると、いったいどういうことかと我が耳を疑う自体に遭遇した。そのホームレスは、もう一人のホームレスにこう言ったのだ。 「オレ、ちょっと銀行行ってくるわ」 銀行である。 なにしに行くんだよ、銀行へ。 ま、まさか、銀行強盗… いや、とても銀行強盗へ行くとは考えられない。 格好がジャージズボンにランニングシャツだからだ。 そんな軽装で銀行強盗もないだろう。だったら、金をおろすに違いないのだ。 一体全体、そんなことでいいのかホームレス。つくづく、ホームレスとしての先行きに不安を覚えるし、ホームレスとしてどうなんだと、疑いたくもなるのだ。 いったい何の話だったんだ? 地上最強である。 これのどこが地上最強なんだ。 確かに彼らは並の強さではないだろう。並ではないが、彼らはけっしてリングに上がることはない。 路上が彼らのホームグランドだからだ。 byクムラ〜 |