■たわごとですかーっ!!■



▼03/01/19【企業の術(すべ)】

企業は自社の宣伝のために、ありとあらゆる手段を使う。
まずは目立たなくてはならない。目立つためには他社と同じことをしていてはダメだろう。だからと言って、会社の壁をピンクにしたり、玄関の前に呼び込みを置いてどうするんだ。ここで言う会社と言うのは、ごく普通の会社のことを言っているのである。そこのところをけっして履き違えないで欲しい。履き違えているのはオレなんだけど。

とにかく目立たせる。
電話帳の最初の1ページ目を狙うのは良く知られた常套手段であり、アー○引越センターはなどはそのいい例である。
だったら我が社もと、どの会社よりも前のページへ掲載されるよう考える。

50音の第一番目の文字は「あ」であることが大方知られている。したがって、頭の1文字目は「あ」で決まりだろう。
次ぎに問題なのは、2番目の文字である。
次の文字をあれこれ考える。しかし不用意に、「い」など選んだが最後、非常に後悔することになるのだ。なぜなら、「い」よりも先の文字があるからだ。
それは「あ」だ。想像した通りである。
2文字目は「あ」。かくして1文字目そして2文字目も決まった。
試しに声に出してみようではないか。

「ああ」

そう、会社名は「ああ」だ。
会社に電話が掛かってくる。受話器を上げ応対する社員。そして、相手に向かってこう言うのだ。
「はい、ああでございます。」
「えっ!」相手は聞き慣れない言葉に一瞬何を言われたのか分からない。
もう一度社員は繰り返す。
「あ、あ、でございますが」
相手は戸惑い、怪訝そうな声で聞き返す。
「ああ…って、その、ああ、なんですか?」
「はい、ああでございます」

会社名が「ああ」であると言うことを知った上でその人は問い合わせをしてきたのかどうかは分からない。しかしそんなことより問題なのは、相手の機嫌が次第に悪くなるのが明白なことである。
とにもかくにも「ああ」だからである。
その相手から2度とこの会社に電話が来ることはないだろう。そこには、立ち入ることを許さない何かがあるからだ。

そうこうしているうち、社内からはこんな言葉が囁かれ始める。
「ああ」ってのはどうなんだ。
そして初めて社員は、会社名として「ああ」が問題であることを認識する。
「ああ」ってのは、まずいの?もしかして…

だがしかし、「ああ」では問題だと言うことで、安易に「あああ」などとするのはいかがなものか。
いくら「あ」を並べたところで、所詮は「あ」に過ぎない。
結局のところ耳には「あ」としか聞こえないのだ。

それにも増して「あ」を並べれば並べるほど問題は大きくなる。会社名を言うたびに社員の表情に問題を生じるのだ。
なにしろ「あああ…」と発音している間、皆ポカンと口を開けたままだ。これほどの間抜けづらがあるだろうか。
あるとすれば「ぽ」だろう。「ぽぽぽ…」でなかったことがせめてもの救いだ。

右を見ても左を見ても社員は口をポカンだし、ややもすれば年がら年中発声練習である。中には、ご丁寧に抑揚まで付けているものまでいる。
「あ〜あ〜あ〜〜」
仕事中にターザンはないじゃないか。
これほど賑やかかつ野生味あふれた会社があるだろうか。
どこにあるんだ、そんな会社。

そうこうしているうち、噂は広がる。
あそこの会社には得体の知れない何かが潜んでいる、と。
なにしろ、いつも会社の中からはうめき声ともうなり声とも言えない何かが聞こえて来るのだ。

結果的に有名になっているじゃないか。
手段を選んではいられない。それが生き残るすべなのだ。
生き残れるのかぁ?この会社。

byクムラ〜


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