■たわごとですかーっ!!■



▼02/12/01【機械に情け】

いまのこのご時世、何に付け取りざたされるのが、合理化、効率化である。
ある市が選挙の投票にコンピューターを導入し、開票結果の速報性と正確さを図ったことは記憶に新しい。
これが、すぐにすべての選挙において採用されるかどうかは分からないところであるが、そう遠くない未来、これが機械に取って替わるのは間違いないだろう。
人間の持つあいまいさ、不正確さをとことん排除しようと言うのだ。

効率化を図るための機械導入。
選挙の開票とくれば次ぎに考えられるのは、試験への導入ではないだろうか。
採点作業においては受験者が解答時にマークシートを使用することにより、それをコンピューターが読みとり採点し、結果を出すという方法がすでに行われているのは周知の通りである。

しかし、これからの試験の形、それは採点だけではなく解答においても機械を使用することにあるのではないか。
それにより、より早く、正確な結果が得られるのである。

例えばここに解答マシンがあるとしよう。
一見、テレビのリモコンのような形をしている。
受験者がこれを使い、ここに並んだボタンを押して答えを選択するのだ。
なにしろ機械である。ボタンを押した時点ですぐにその問題の正誤は判定されるのである。

それぞれの受験者の机の上には普通ならば鉛筆と消しゴム、そして問題用紙があるのだろう。しかし、鉛筆と消しゴムの替わりに、今あるのはこの解答マシンだ。
解答マシン。マシンと言うからには一見かなり画期的に思える。
しかしながらやっぱりいるのである。機械に弱い人間は…

なにしろその操作の仕方が分からない。
事前に説明があったに違いないだろう。しかし、その機械を手に持った瞬間、動揺が走り、頭は真っ白になるのだ。
ああでもないし、こうでもない。
焦るばかりで、問題を考えるどころの騒ぎではない。
まず、この解答マシンを操作できなければ何も始まらないのだ。
とにかく答えが分かっていても答えようがないのだから始末に負えない。

それはなんて言ったらいいんでしょう。まるで、大好きなエサを目の前にして、「待て」をされているポチの気分ではないか。
いま初めてポチの気持ちが分かったような気がする。
「ポチ、いままでごめんな。」
ポチって、どこの犬なんだ。

とにかく解答しなくてはならない。
そして、ふと目に止まった赤いボタンを藁をもすがる思いで押したのだ。
「プチッ!」
押した瞬間、その機械からまるで機械のような冷たい声が…

『終了しました』

1問もやってないうちに、終了しましたはないじゃないか。
しばし唖然としたのち、文句のひとつも言いたいところだったが、そう言ったところで相手は機械であり、いくら文句を言い、また情けを掛けてもらおうにもなんの反応も示さない。

情け容赦ないとはこのことである。
機械にも情けのひとつは必要ではないだろうか。

人に情けを掛ける機械、それほどあてにならないものはないのであった。

byクムラ〜


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