■たわごとですかーっ!!■



▼02/09/29【個性が必要だ】

普段はそんなことはこれぽっちも分からないし、そんな素振りも出さないが、ある状況、場面でふいにあからさまになってしまうということがある。そのひとつのいい例に行進がある。曲に合わせ、団体で一糸乱れず歩くあれである。

小学校のあるクラスのその男の子は、成績も良く、女の子にも人気がある。
普通なら鼻持ちならないいやな奴ということになるのであろうが、悪いことに男子にも人気がある。そんな子がクラスに1人はいただろう。
しかし、その男の子に思いも掛けない事態が待ち受けていたのである。それは、運動会の練習でのことだった。

入場行進である。曲に合わせ、みな足並みを揃えて行進する。
しかし、ただひとり、まるで脚光を浴びてるかのような、いやこの場合、浮いていると言った方がいいだろう。そんな生徒がいた。
そう、その男の子である。
こともあろうに、左右の手足を一緒に出して歩いているではないか。
通常の歩行においては、右の足を出したら左手を出し、左の足を出したら右の手を出すものだろう。
彼の場合、違うのである。
しかしながら本人はいたって真剣な眼差しである。なにも不思議に思っていないのだろう。
確かに、左右の手足を一緒に出しても歩くのには別段問題があるわけでもない。
だが、いま行進である。歩いている分にはまだいいだろう。
しかし、ひとたび走り出したりなんかしてみなさい。
いったいどうなってしまうのだ。
それを思うと興味津々なのです。

なにしろ普段はまったく気にも止めないできごとであろう。しかし、行進という全員一致の行為が、それをあからさまに浮きだたせる。まるでふるいにでも掛けるように。

クラスにひとりはこのようなとんでもないリズム感の生徒がいただろう。
しかし、その当事者が彼であったその意外性に、皆が受けた衝撃はなおいっそう計り知れないものとなる。

どんなに優れた人間でも、なにかひとつは弱点はあるもので、それを隠そうにも、このように思わぬところで露呈されてしまう、そんなこともある分けだが、しかしそれを弱点として決めつけてしまうのはいかがなものか。
いまの時代に求められるもの、それは確固たる個性であると言えないか。
皆と一緒のことをやっていては結局雑多な個性に同化されてしまい、誰の目にも止まらないいわばエキストラ然となってしまう。
これほどつまらないことがありましょうか。

いまの時代に求められるものは個性である。
だったら目立つしかないだろう。
行進においてはこのように、左右の手足を一緒に出すのは基本であるだろうし、靴を左右逆に履くことにより、なおいっそうの相乗効果をもたらすのではないか。
また、もし1人だけ被っているものが紅白帽ではなく、ほっかむりだったらどうだろう。
どうだろう、ってこともないが、きっと拍手喝采であることは想像に堅くない。

そのうち、そういう輩がやたらと増え始め、いつの間にかそれが個性とは呼べないほど、色々なスタイルで行進している。
こうなるともう収拾がつかない。

誰がいったい止めるんだ。
これはちょっと違う。個性でもなんでもない、ただの無秩序ではあるまいか。
人間、必要最低限の協調性は必要である。
行進とは本来そう言うものなのである。

byクムラ〜


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