■たわごとですかーっ!!■



▼02/10/06【油断できない病院】

オレは、ちょっとどうかと思うほど、体は丈夫な方である。
角材で腹をなぐられてもびくともしないし、ブロックを頭に落とされたくらいじゃピンピンしてることだろう。
そんなことを言ってるのではないのだ。いい加減にしてくれ。オレはこれでも人間だ。
取り乱してしまいました。
とにかくオレが言いたいのは、病気などしないと言うことをいいたいわけで、ケガで病院通いはしたことがあっても、病気で入院などしたことがない。
そんなオレであるのだが、これを覆す出来事が過去にあったのだ。

それは健康診断での事である。
毎年一回、会社の規定で受けることになっているのだが、いつも結果は良好。
たまに看護婦さんが可愛かったりなんかすると、血圧が上がるなどというお茶目なことはあったが、基本的にはいたって健康なのであった。

しかし、その年の健康診断は、ちょっといつもと違った。
診断結果の通知を見る。
引っかかったよ、引っかかった。
ついに、オレの体に異変が…

引っかかったのは心電検査である。
確かに冷静に考えて見れば、心電計の電極を付ける際に微妙に触れる看護婦さんの手が、オレの動揺を誘い、それが心臓の動きに微妙な変化を与えたとも言えなくもないだろう。
しかし、ことはそう単純なものではないらしい。

先生の言うところによると、人間は1日に1万回ほどの脈を打っているのだそうだが、検査の結果オレの場合、その1割、すなわち1千回が不整脈だというのだ。ただごとではない。
だって、1日1千回だよ、1千回。
どこを捜したって、千回も数える人間はそういないのではないか。
100も数えれば、寝てしまうのが通常である。
それほど、1千回と言う数は途方もないものなのである。

しかし、まったくそんな自覚症状などあるわけがなく、これが不整脈というものなのだろう、と自分自身に納得させるしかないのだった。
かくして、再検査、つまり24時間心電計装着の刑は下されたのである。
そして、その再検査の日。

24時間心電計、その名も、ホルター。
それなら西部劇で良く聞く名だが、それはホルスターだよ。
これからまさに付けようとしているものは、ホルターである。
ホルターは初めて聞く名前だ。
なんとも間が抜けた名前である。
こんな機械にオレの心臓は厳格に判定されるのである。

看護婦から説明を受ける。
「絶対に、機械を振ったり叩いたり、ましてや蓋を開けて中を覗いたりしないでくださいね。」
「はい、分かりました」とは言ったものの、なぜいけないのか。
覗くと、ツルになって飛び立ってしまうのだろうか。
たぶん、そんなことはないのだろう。
なぜなら、ホルターの目的は恩返しではないからだ。

その後、中で散々待たされる。
見るとなにやら看護婦の様子がおかしいのである。
ホルターがうまく作動しないらしく、スイッチを入れたり切ったり、機械に耳を当てたりしているようだが、どうもうまく動かないようだ。
そのうち看護婦はいらいらしだした。
なにか無性に嫌な予感がする。何ごとも起こらなければ良いが…
しかし、
その看護婦、こともあろうにそのホルターを振ったり、叩いたりし始めたではないか。
おいおい、そんな無茶していいのかよ。
なんてワイルドな看護婦さんなんだ。
感心してる場合ではない。

それでもなんとか作動したらしく、そのあげく「よし!」はないじゃないか。

その不安をよそに、ホルター装着完了。
これから24時間は安静にし、風呂にも入れない。
しかし、オレは我慢した。
目一杯我慢したが、その甲斐なく検査の結果は黒だった。

なんとなく想像は付いた。
当たり前だろう。
原因はその看護婦の無茶だと言うことは明白である。

なぜなら、その後の他の病院で検査を受けた結果、先生に言われたこと、それは、
「至って健康体です。なぜ心臓の検査、受けたのですか」だったからだ。

それでも油断してはいけない。
オレは元来、頭も体も鈍感だからだ。

byクムラ〜


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