■たわごとですかーっ!!■
▼02/08/18【猫舌という困難】 猫舌なのである。 猫舌と言うからには、さぞかしオレの舌はザラザラなんだろうと思うかも知れないが、それはちょっとばかり違うし、そんな人間どこにいるんだ。 猫舌の人間は本来熱いものが苦手である。 したがって猫舌なオレは、冷やしラーメンを食べることにおいてはそのスピードは目を見張るものがあるものの、通常のラーメンにおいては、そのスピードはすっかりなりを潜める。ソバないしうどんにおいてもまた然りである。 本日、イタリアンレストランで注文した料理は、「エビとキノコのマカロニグラタン」と「イタリア風オムレツ」である。 驚くべきは、マカロニグラタンのその保温力である。 これほど保温力のある料理があるだろうかと思うくらいに熱い。 エビとキノコの相乗効果により更に保温力が倍増しているのかも知れないが、それにしても一体いつまで熱いんだ、マカロニグラタン。 名前からして凄いじゃないか。 グラタンだよ、グ・ラ・タ・ン。 その名前から、それがいかにも熱いものであると言うことが想像できよう。 グラタン。その名をひとたび聞いただけで人々の額からは汗が流れ落ちるのだ。 それがどうしてなのか。 聞かれても困る。理屈じゃないのだ。熱いものは熱いんだからしょうがない。それだけなのだ。 オムレツもまた手強いのだが、グラタンに比べればまだまだ甘いと言わざるを得ない。 オレに言わせれば、グラタンが横綱ならオムレツは大関がいいところである。 まだまだ修練が必要だろう。 じゃあ関脇はなんだと言われれば、ドリアなんかを候補にあげたいところだが、そんなことはどうだっていいよ。 今回苦戦した理由のもうひとつに、負傷がある。 数日前に自分で自分の上唇を噛んでしまったのだ。なんという不覚。 あのときのオレはどうかしていた。慎重さが足りなかったと言える。 相手はヤキソバであった。 やられたよ、やられた、ヤキソバに…… よりによって、平幕級のヤキソバに不覚を取ってしまったのだ。 いまさら後悔しても遅い。魔がさしたとしか言いようがない。人間常に油断は禁物である。 この状態ではまともに勝負できるはずもなく、ハンデをくれよと頼んだところでグラタンから返事がないのはいつものことである。 いまのこの状況でこの困難に立ち向かわなくてはならないのだ。 だったら真っ向勝負だろう。男と男の勝負だ。 グラタンは男なのか。 この際そういったことはさして問題ではない。 とにかくいま相手はグラタンなのだ。 思い切って口に運ぶ。 「あっつーっ!」 思った通りである。 いったいいつまでオレの前に立ちふさがるんだ。 一向に冷めようという気配すら感じられないのだ。 このままでは惨敗である。 気を取り直し、取り合えずオムレツから片付けることにする。 オムレツも大関級だけあって、なかなか手強い。 しかし、苦戦はしたもののオレの巧みなフォーク捌きでなんとか攻略することができた。 さあ、残る相手はグラタンひとつである。 まだしばらく苦戦を強いられることは必至であろう。 しかしオレは怯まない。 なぜなら避けては通れない相手であるし自分に課せられた試練だからだ。 どうしてこんな相手を選んだのだろう、ふと頭をよぎる。 オレの心の奥深くには、ある思いが根強く潜んでいるのだ。 それを形として表現することは難しい。 しかし敢えて言葉という形で表現しようではないか。 「僕はグラタンが大好きです」 他にどんな理由があると言うんだ。 ストイックな男は食もつも困難を好む。 byクムラ〜 |