■たわごとですかーっ!!■



▼02/08/11【夏の風物詩】

立秋も過ぎたとは言え、まだまだ夏真っ盛りである。
夏の風物詩と言えば、海、山、花火、など思い浮かべるものは数多くあり、夏休みと相まって、それは楽しいものが多い。
まあ、なかには少しでも涼しい気分に浸ろうと、怪談話で盛り上がるというようなこともあるだろう。それもまた夏の楽しみの一つである。

夏である。
まだ何か忘れてはいないだろうか。
皆、口には出さないが、夏と言って思い浮かべるものはまだ他にあるはずだ。

「夏女」
この「夏女」の存在はいまのこの季節、無視するわけにはいかないのではないか。
冬に「雪女」のことはみんな見て見ぬ振りするのにである。
なんて可哀想なんだ、雪女。

しかしいまは夏だ。
「夏女」
なんていい響きなんだ。
それは爽やかでありまぶしい。イメージはやはり海だろう。
「わたしは夏女」
さり気なくそう言い切る女が海をさっそうと歩く姿はことごとく華やかである。
このとき、けっして手にこんぶなど持ってねり歩いてはいけない。
その時点で、夏女失格である。
また、海だからと言って、浮き輪を腰に回して歩くのもダメである。

夏女、敢えてキャッチフレーズを付けるならば、
「夏だ、ビーチだ、リゾートだ」
なんてベタなキャッチフレーズなんだ。
無理にキャッチフレーズを付けるべきじゃなかった。
そんなウキウキ気分にさせてしまう。それが夏女なのである。

これに対して、この存在はいったいどうしたものか。

「夏男」

困ったものである。
夏男と聞いても、海を思い浮かべるわけでもなく、強いて言うならば、
「夏だ、祭りだ、わっしょいわっしょい」
なにしろ汗くさいだけなのである。

しかし夏男もけっして無視する分けにはいかない。
現にいるのだから。

しかしながら、
「オレは夏男さ」
そう言われたところで、「ああそうですか」と返答するしかなく、

「オレって、夏男」
そう言われたとたん、この漂う空気はなんだ。
やはりただ汗くさいだけなのである。
あ〜やだやだ、汗くさいのは。

そこには爽やかさなど微塵も感じさせない。
夏男が夏に脚光を浴びないのは、そこに問題があるのではないか。

しかしながら、夏女に問題はないかと言うと、そうでもないらしく、

「あたいは夏女」

そんな夏女がどこにいるんだ。
しかも、低い声でタバコをくゆらせながら「あたいは夏女」はないじゃないか。

またこう言うのもちょっと困る。
「わたしゃ、夏ばあさんだよ」
確かに夏の女に違いはない。しかし、ばあさんと自分で言い切ってしまっているところに問題が生じている。
少しばかり意味あいが違ってしまっているのだ。
「夏ばあさん」
それは、「夏」と言う名のお婆さんであり、たまたまそこにいたのが「夏」と言う名前のお婆さんだったに過ぎないのである。
紛らわしいときに現れないでくれよ。

このように夏女はかなり限定され、その厳選は非常に難しい。
いったいどこにいるんだ、夏女。
オレは夏女を見たことがあるのだろうか。

byクムラ〜


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