■たわごとですかーっ!!■



▼02/03/30【袋に託す夢】

スーパーの買い物袋である。
ゴミ削減、資源保護のため、このビニール袋に課税なんかする地域も出てくる昨今であるのだが、思えばその昔、スーパーの袋と言えばビニール袋の他に紙の袋もあった。
そして、その紙袋で誰しもやったのではないか。

「かぶる」

袋を被るのである。
被ると言えば覆面だろう。
そう、プロレスラーの被っている覆面である。

その昔、駄菓子の懸賞でタイガーマスクの覆面が当たるというのがあった。
その頃のオレはタイガーマスクの大ファンで、その懸賞も当然自分に当たるものと決めつけて応募した。しかしいつまでたってもそれは送られて来ない。
外れたのである。
そのときのショックは相当なものであったに違いない。
オレは諦め切れなかったのだろう。
そして、ついに作ったのだ。タイガーマスクの覆面を、スーパーの紙袋で…

それからというもの、すっかりオレはタイガーマスク気取りだ。それを被って連日、弟とプロレスごっこである。そんなことを毎日のようにやっていた。
そんなある日、突然それはオレの身に降り掛かった。

それを見ていた親父がいきなりオレの被っている袋面をはぎ取り、それを投げ捨てたのである。
あまりの突然のことにオレは唖然とした。
「正体がばれるじゃないか」
そんなことを言ってる場合ではない。

確かに親父の気持ちも分かる。
なにしろ、自分の息子が毎日スーパーの袋を頭に被っているのである。
誰が見たってちょっとどうかしてる息子だろう。
しかし、親父はこの日まで堪え忍んだのである。
それだけでも立派と言えよう。
しかし、ついに限界に達し、このような事態とあいなったのである。

なにせ紙袋である。
ちょっとお洒落に工夫を凝らし、マジックでトラの絵なんか描いたところで所詮は紙袋である。
これほど情けないことがありましょうか?

そのときの親父の顔は怒りながらも少し寂しそうだった。
そしてオレは悔やんだ。
布で作るべきだったと…


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