■武蔵を語る■
【第48回 柳生を倒せ】 結局のところ、又八はとても悲惨な最期を遂げた。 あまりにも悲惨なので、冗談など言ってられないじゃないか。そんな雰囲気が漂う。 しかしながら、お通を救ったのはまさしく又八であり、そう言う観点から言えば、皆口を揃えてこう言うだろう。 「いったい武蔵は何をやってるんだ、まったく」 そんなジレンマがあちらこちらから聞こえてきそうな気がするのだ。 幼なじみ、そして無二の親友を亡くし、悲しみに暮れる武蔵とお通。 武蔵は、又八の片身の品を、美濃にいる朱美の元へ届けてくれと使用人に託した。 オレはひとこと言いたい。 武蔵、おまえがもってけよ。 どうしても、武蔵に辛く当たってしまうオレなのだった。 しかし、どうやら武蔵には他に行かねばならないところがあったようで、その行かねばならぬところとは、大阪城である。 お通は、それを聞き、止めた。武蔵のその目的に不安を覚えたからだ。 大阪城である。武蔵は、そこへ観光に行くわけではないし、営業に行くわけでもない。 武蔵をそこへ向かわせる物、それはひとえに恨みである。 村の人々を亡くし、そして又八をも亡くした。 このまま何もしなければ、恨みを抱えたまま生きて行かねばならない。 ただそれだけが、武蔵を大阪城へ向かわせる動機なのだ。 そんな武蔵をお通は戒める。しかし、武蔵の気持ちは治まらない。 お通を説得する武蔵。 そしてお通はやっと頷く。 「私はここで待っている」とお通。 「ここ」である。 一抹の不安を感じるが、他に待つ場所と言って思い付くところと言えば、ハチ公像の前くらいしか思い付かないし、そもそもこの時代に、ハチ公がいたとは限らない。 やはり、ここで待つのが一番だろう。 世は再び戦の気配である。なんとも物々しい空気が漂う。 美濃にいる朱美とお甲親子の元へ品物が届いた。それは時節柄、お歳暮かも知れないが、そんな良い物ではないらしい。届けた男の顔がそれを物語る。 へんな顔だからではない。その顔はいたってまじめな顔である。 届けられた品は、又八の片身の品であった。 添えられた手紙を見る二人。そして又八の身に起きたことを知り、愕然とする朱美とお甲。 朱美の動揺は隠せない。咄嗟に「大坂へ行く」と言い出す朱美。それを制止するお甲。 「死んでなんかない!」 何度も泣きうめく朱美なのだった。 一方、武蔵は真田幸村の元へ赴いた。 到着すると、武蔵はさっそく幸村の子、大助に取り次いでもらう。 そこは、今まさに戦の準備で大わらわの状況であった。 幸村と面会する武蔵。 この忙しい時に、武蔵の相手とは、つくづく人が良い幸村である。 武蔵は、幸村に訴える。 自分は、柳生宗矩と相対するつもりであることを。 その決意は並々ならぬものがある。そんな武蔵に幸村は同意した。 幸村自身、同じ覚悟で今まさに戦に向かうからである。 そして、ついに夏の陣の火蓋が切られた。 果たして、真田幸村はどうなるのか。 そう言えば、真田三銃士やサスケはどこにいるんだ。 そんなどうでもいいことがちょっと気掛かりなオレなのだった。 いよいよ、次回、最終回。 byクムラ〜 |