■武蔵を語る■


【第19回 風雲の江戸!】

又八と朱美は江戸にたどり着く。
取り合えず、住む家の掃除である。和気あいあい二人で掃除する姿は、完全に夫婦気取りだ。しかしそう思っているのは朱美だけ。又八はつれない素振りなのだ。なんとかしてやれよ、又八。

奈良井大蔵である。
表の顔は人のいい薬草屋であるが、実のところ盗賊であり、幻術使いである。
大蔵は言う。「人間は裏と表があるから面白い」と。
確かに、裏と表はあるだろう。
どうするんだよ、前向いて「こんにちは」、後ろ向いても「こんにちは」じゃ、いつまでたっても挨拶が終わらないじゃないか。
やはり人間、表と裏は必要なのである。

お杉婆と権爺も江戸である。
江戸に入るなり、金をすられるお杉婆。
しかしながら相変わらず威勢がいい。その威勢の良さは、とてもお近付きにはなりたくないほどの威勢の良さである。
しかし、威勢はいいが、やはり老人は老人である。取られた金を取り返す術などない。
そこへ、たまたま通りかかったある男に金を取り返してもらった。
いかにも気っ風のいい男である。
その男の名は、半瓦弥次兵衛と言い、癖のある荒くれどもを取り仕切る大工の頭とでも言うべき男なのである。
お杉婆と権爺はそれが縁で、弥次兵衛の家へやっかいになることになった。
なんてもの好きなんだ、弥次兵衛。

食い扶持を捜していた小次郎は、賭け試合をするため町に出てきた。
相手は血の気の多いやつらばかりだ。しかし、どれも小次郎の相手ではなかった。
実は小次郎が相手をしていた男たちは、弥次兵衛の子分達であり、その様を見た弥次兵衛は小次郎に頼んだのだ。子分達の指南役を。
性根をただしてやって欲しいと言うのだ。
かくして、小次郎の就職先は取り合えず決まった。
まさに芸は身を助けるである。

伊達からの追手から逃げながら旅をする休雪とお條。
休雪はまだケガが癒えていない。
いきなりお篠にお使いを頼む休雪。
伊達の刺客が近くにいることを察知していたのだ。
「あの女を見逃してやってくれ」と頼む休雪。
そしてお篠が戻ってきたときにはすでに休雪の息は絶えていた。
「私を一人にしないで」と号泣するお篠。
できれば、オレが行ってあげたい気分だが、悲しいかな、行く術がない。
したがって、可哀想に思うしかないのだ、オレは…

お篠はひとりになった。ひとりになった時点で、再び小次郎との絡みが出てくるのは必死である。いま小次郎との絡みが出てくれば、それは三角関係である。まるで泥沼状態なのである。まだ、なった分けじゃないけど。

そして武蔵は相変わらず歩いている、と言うか、いつまで歩いているんだ武蔵。
今回はただ歩いているだけだったじゃないか。
健康には歩くのが一番を身を持って示してくれたのだった。

byクムラ〜



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