■武蔵を語る■


【第15回 響け!笛の音】

相変わらず、当てもなく歩き続ける武蔵。いったいどれくらい歩き続けているのだろう。2、3日だろうか、それとも1週間ほどだろうか。そもそも時間経過が分からないじゃないか、このドラマ。
実は、数時間でしたなんて言われたら、もうどうしようもない気分になるよ。

本阿弥光悦の元でやっかいになっているお通と城太郎。
あの衰弱したお通とは思えないほど元気なお通である。
お通は屏風の紙貼りの手伝い。城太郎は焼き物を作っている。
すっかり二人はここになじんでいる。
城太郎に至っては、自分の作った焼物を光悦に誉めて貰いご満悦である。気分はすっかり焼物師なのだが、気分どころか、すでに焼物師を目指しているではないか。
いつの間にやら、師匠は武蔵から光悦に変わってしまっている。
なんて世渡り上手なぼうずなんだ。

なにしろ光悦の屋敷で平穏に暮らす二人なのだった。
そんな中、なにかしらちょっと嫌な予感がしたのだが、オレのその予感は的中した。
やっぱり来たよ、沢庵。
どこにでも出没するのである。
いったいどこまで顔が広いんだ、あんた。

不思議なことに、お通のいるところいるところ現れるではないか。
何食わぬ顔をしているが、実はお通を付けていたと思われてもしょうがないほど偶然が過ぎるのである。
しかし、やっぱり知り合いなのである。ここの光悦とも…

お通が笛を吹いている。
何を思って吹いているのだろう。
その笛は顔も知らぬ母の形見である。顔も知らないだけに母を思うことはできないはずである。だったら、思うことと言えばこれではないか。
「今日のご飯のおかずは何かなあ。」
そんな食い意地の張ったお通はイヤだよ。

お通は、笛を吹きながら育った村のことを思っているのである。そう光悦の母に答えたのだった。それなら納得である。

後藤家の用心棒として働く小次郎。
小次郎の彼女である琴も、その屋敷にいるのだが、なんとも暇そうである。
しかも最近、小次郎との仲がぎくしゃくしているのだ。
暇な上にぎくしゃくである。簡略化して言えば、「ひまぎくしゃく」
簡略化したからって、どうなるものでもないが、なにしろ小次郎が誘っても寝床に行かない琴なのである。それが「ひまぎくしゃく」による影響とも言えるのではないか。

その影響はさらに波及する。
琴は後藤の誘いに乗ってしまったのだ。
後藤の「小次郎は承知だ」と言う言葉を真に受けたのである。
琴を問い詰め、それを知った小次郎は憤慨し、あっさりと後藤を切る。
恐るべし、「ひまぎくしゃく」

琴の言い分はこうである。
「小次郎様の言葉は冷たい」
なにを言ってるんだ、今さら。
その小次郎のクールさが良くて付き添っているのではないか。
なんとも勝手な話である。

byクムラ〜



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