■武蔵を語る■


【第6回 決闘!般若坂】

いよいよ宝蔵院へと乗り込む武蔵。
中へ入ると、寺の僧が「署名せよ」と言うではないか。受け付けなのか、ここは。
なにしろ、死ぬようなことになっても依存はないとする署名である。
なんだかこれと似たようなシチュエーションがあったような気が…
バンジージャンプ。
そうか、バンジーか。まさに命がけである。
バンジーと一緒にするなと言いたい。言ってるのはオレだけど。

名前だけを記入する武蔵。それを見て「流派は?」と尋ねる僧。「持たぬ」と答える。「しからば師は?」と尋ねられれば、「いない」と言い捨てる。
かなり格好のいい場面である。

中では、ここで勝って名を上げようと順番待ちをする兵法者達。
しかし、次々と跳ね飛ばされ、それを見て皆怖じ気付く。
相手をしているのは、宝蔵院の阿厳。その巨体はまるでプロレスラーを思わせる。
そりゃそうである。なにせ、武藤敬司である。本物のプロレスラーだからね。

そして武蔵の名が呼ばれる。
すっくと立ち上がり、臆することなく立ち向かう武蔵。
阿厳も、この相手は他の連中とは違うことを察知し、用意に踏み込むことができない。
そしてついに阿厳の槍が武蔵めがけて一直線に飛んできた。
それを武蔵はいとも簡単に払いのけ、阿厳の肩口へ木刀を叩き込む。
もんどり倒れる阿厳。まさに一撃である。
武蔵は本来、このくらい強いのである。
吉岡清十郎にやられている場合ではないのだ。

その後、「口ほどにもない宝蔵院」との内容の立て札が、武蔵の名前で掲げられる。
また、「不服ならば来い」と場所指定まで記載されている。
しかし武蔵にはまったく身に覚えがない。
宝蔵院をけしかけ、武蔵を陥れようとする連中の罠である。
しかし武蔵は敢えてその場へ向かうと決める。

その時現れたのが、城太郎である。
城太郎の初登場である。
いきなり「むさし、むさし」と武蔵の名前を呼んでいるから、いつの間に知ってたんだ、と思ったら、「むさし」と言っていたのではなく、「武者修行」と言っていたのだった。紛らわしいことこの上ない。

なにしろずうずうしい城太郎である。
武蔵に会うなりいきなり「オレを弟子にしろ」なのである。
弟子にしてもらいたい分際で、「弟子にしろ」はないじゃないか。
しかしながら、城太郎が「弟子にしてくれ」といくら頼んだところで武蔵は無視なのであった。
それにしても、凄いのは城太郎のその眼力である。ろくに武蔵の腕前を見てもいないのに弟子志願なのである。武蔵のそのいさぎの良さに惹かれたのかも知れない。

結局、宝蔵院は、武蔵が掲げたとするその立て札が武蔵の仕業ではないことを最初からお見通しだった分けだが、武蔵は宝蔵院二代目胤瞬との対決を望む。
そして二人は相まみえる。
途中、急に武蔵の様子がおかしくなる。
おかしくなると言っても、いきなりゲラゲラ笑い出す分けではない。それはかなりおかしい状態だ。
とにかく、何かに取り憑かれた様に体を硬直させる武蔵。
このままでは、バンパイヤにでも変身してしまいそうだ。
良かったよ、満月じゃなくて。

そして、フッと解き放たれたように力が抜けたと思われた瞬間、武蔵の剣が胤瞬の槍を叩き落とした。
唖然とする胤瞬。
武蔵の開眼の瞬間であろう。
力んでばかりではダメだ。その状況に応じた柔軟さが必要であることを身を持って知ったのだ。

byクムラ〜



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