■武蔵を語る■


【第3回 弱さを知れ】

崖から川へ落ちた武蔵とお通。気が付いたら二人は離ればなれである。武蔵は姫路城へ、お通は旅篭で仕事をしていたのだ。一体いつの間にと言う感じなのだが、沢庵和尚が仕向けたことのようだ。すごい手際の良さである。

お通が死んだことを沢庵から告げられる武蔵。確かこれは原作にはなかったはずだし、なんの意味があるんだそれ。案の定武蔵は愕然とし、そしてそのグレまくり加減は尋常ではない。そんな武蔵に対し、沢庵は「自分の弱さを知れ」と激を飛ばしながらしごきまくる。確かに弱いよ武蔵。凄いのは沢庵の強さだ。武蔵を手玉に取る坊主ってのは、ちょっと考え物ではないか。

原作では、姫路城において武蔵が行なったのは沢庵との稽古ではなく、書物を読みふけることだった。しかも3年も閉じこもっていたのだと言うから、もうほとんどムショ状態である。ドラマでこんなことやってたらお話にならないし、見ている方も武蔵が勉学しているところを延々と見させられて一体何が面白いんだってことになるだろう。

更に原作の凄いところはお通である。武蔵が姫路城に閉じこもっていた3年もの間、毎日武蔵の帰りを同じ橋の上で同じ時刻待ち続けていたと言うのだ。
凄いな、その根気。って言うか、忠犬ハチ公だよ、お通。
いや、もしかしたらその時代の女性の一途さはそうだったのかも知れない。
どちらにせよ、いまドラマである。そんな非常識なことはやっていられないだろう。あくまで現代人に受けなければならないのだ。
そして武蔵は、「こんなことやっていられるか」と姫路城を脱走する。お通とのすれ違いが始まるのだ。

話の節々に現れる佐々木小次郎。そしてお條と言う、なにやら分け有りで陰のある旅芸人の女。小次郎にすっぽかされ、更に分け有りになってしまう不憫な女だ。それにしても小次郎は格好いいよ、格好良すぎ。ま、格好良くて良いわけだけれども。
なぜなら、小次郎だからだ。

byクムラ〜



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