■たわごとですかーっ!!■



▼【自動販売機における戸惑い】 04/01/11

戸惑い、それはふと思いがけぬ場面で起こり得ることは誰しも経験があるだろう。
自動販売機における戸惑いもそのひとつである。

オレは先だって、いつもの場所のいつもの自動販売機で、いつものコーヒーを買おうと、自動販売機の投入口に100円硬貨を入れた。続けて10円玉を入れる。そして、もう一枚10円玉を入れたとき、それは起こった。
「チャリン…」
入れた10玉円は、その軽い音と共に、返却口に返ってきた。
まあ、こんなことはたびたびあることだろう。
その10円玉を取り出し、再び投入口へ。
「チャリン…」
また戻ってきた。
入れても戻ってくるお金。
紙幣の場合、それはけっこうあることで、皺の加減、汚れの加減により、機械が読み取れる範囲を超えていればそれはじゅうぶん起こり得ることなのである。
しかし、それがこと硬貨となると、あまりの予想外のことに、その戸惑いの色は隠せない。
いったい、この10円玉のどこが悪いと言うんだ。10円玉だと思ってバカにしてるのか。
昔から言うだろう。1円が10枚集まれば、10円、って。
そんなことは当たり前である。

なにしろ、買ってやると言っているのにそれを拒否する自動販売機。客をなんだと思っているんだ。こんな失礼なことがあるか。
自動販売機に対する不信感が次第に募る。
こうなったら今後、自動販売機のことを自販機とでも言ってやろうか。
ごく普通である。
それでもオレは諦めない。なにしろ、お金は硬貨しかないし、10円だってこれだけだ。ここで諦めれば、今のオレにモーニングコーヒーはない。

再び10円玉を入れる。
「カチャン…」
さっきは、チャリンだったよな、確か。
そんなことはどうだっていい。

意味があるかどうか分からないが、今度は向きを変えて入れてみる。
「カチャン…」
意味がなかったようだ。
今度は良く表面を拭いて入れてみる。
「カチャン…」
ダメである。

入れる、戻る、取り出す…入れる、戻る、取り出す…
そんなことを何回繰り返しただろうか。
これでダメなら、と半ば半狂乱気味に10円玉を投入した。
と、ほとんど同時に返却口に手を入れる。
過度の繰り返しですっかりオレの動作は画一化されてしまっているようだ。
しかし今回、手を入れた返却口には10円玉はない。
「ついにやった…」
思わず、オレは心の中でロッキーのテーマを口ずさんだ。
♪みどりが森の ひだまりは か〜くれんぼ するのに よいところぉ♪ とても、ノリの良い曲だが、ロッキーはロッキーでも、山ねずみロッキーチャックだよ、それ。

とにかく、オレは勝った。
これほどの達成感はいったいいつ以来だろう。
満足感と安堵感の中、オレはついに購入のボタンを押した。
「あっ」
その呻きと共に取り出し口から出てきた物は、お汁粉だった。
ボタンの押し間違い。それは、ロッキーチャックのテーマと共に訪れる。

byクムラ〜


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