■たわごとですかーっ!!■



▼02/05/12【ボーっとする】

人は時として、「ボーっ」としたい気持ちにかられることがある。
なんの意味もなくただボーっとする。
それは仕事で疲れた体と気持ちをリフレッシュする、いわば一服の清涼剤だ。

一服の清涼剤。一服と言えばそう、タバコだろう。
ボーっとしたい。
そんなとき、ひとはさりげなく窓の方へ寄っていく。そしてポケットからおもむろにタバコを取り出し、それを口にくわえ、しかめっつらをしながらライターで火を付ける。
そしてふーっと一息煙を吐き、窓の外を眺め、ボーっとするのだ。

ボーっとはしているが、何かさまになる。
そのときオレは、タバコの威力に愕然とする。
タバコは、ボーっとする際の最強小道具と言えよう。

そうか、タバコか、タバコなんだな、やっぱり。
だったらタバコを吸わないオレはどうしたらいいんだ。

タバコを吸わないオレがボーっとしたとしよう。
それはただ、ボーっとするだけの男だ。
はたから見てもそれは、ただボーっとしてるだけの男であり、まして壁に向かっていたりなんかしたら、それはちょっとまずいだろう。
なにかしら精神的な不安定さをも感じる。
みな気味悪がって近づくこともままならないだろう。
しかし、タバコを吸わないだけに、それはいたしかたない。
これでは、ボーっとしたい気持ちにかられても、ボーっとできないではないか。

ああ、ボーっとしたい。
そう思ったとき、非喫煙者において、何かタバコの替わりが必要である。

「さてと、ボーっとするか。」
そう呟くと、ふところからおもむろに何やら取りだしそれを口にくわえる。

「巻物」である。

そして、窓の外を眺め、ボーっとするのだ。
いまどき忍者ってことはないじゃないか。
しかも巻物を口にくわえたら、口の前で両手を合わせ一本指を立てなくてはならないのだ。忍術とはそういうものである。
これではおいそれと、ボーっとできないだろう。

無理に口にくわえるものを用意しなくてもいいのかも知れない。
だったらこれはどうか。
おもむろにポケットからカメを取りだし、それを頭にのせる。
そして窓の外を眺め、ボーっとする。

いちいち、ボーっとするがために、連れ出されるカメはたまったものではないだろう。
カメ道的な検知から言っても、それはカメに失礼である。
そもそもどうしてカメなんだ。
カメレオンではダメなのか、イグアナの立場はどうなる。
そのような問題は今回敢えて言及しない。なぜならいま問題なのは、「ボーっと」だからだ。

なにも小道具を使わなくたって、気の利いた「ボーっと」くらいはできるだろう。
何事も工夫が必要である。

お尻を振りながら、ボーっとする。
頭をかきむしりながら、ボーっとする。
スクワットしながら、ボーっとする。

…と、例をあげたら枚挙にいとまがない。

だが、しかし、、、
これのどこが、ボーっとなんだ。
しかも、メガトン級に難しいです、このボーっとは。
なにしろはたから見ても、それはボーっとしているようには見えないのである。
やはり「ボーっと」は万人が認める「ボーっと」でなくてはならないだろう。

そんなことをひとしきり考えていたら、頭がボーっとしてきた。

byクムラ〜


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