■たわごとですかーっ!!■



▼01/10/19【人はそれを信じそして原点に帰る】

かつて日本で三種の神器と言われ、もてはやされた家電品。
そう、洗濯機だ。
そしてとうとう日本の技術もここまで来た。
「洗剤なし洗濯機」
なにしろ洗剤がなくても洗濯物が綺麗になってしまうというのだ。
なんとももの凄い発明ではないか。
まるで、ガソリンを入れなくても走る車のようじゃないか。別の言い方をするならば、クリープを入れない珈琲だ。それは違うよ全然。

聞くところによると電解水と超音波によって衣服を洗浄するらしいのだ。
電解水と超音波でどうやって衣服が綺麗になるんだかさっぱり分からないのだが、なに しろ綺麗になるんだからありがたいことこの上ない。
しかし、ここでひとつ冷静に考えて欲しい。
これらのことから分かること、人は、専門用語を並べられると、なんだか凄いものだと思い込んでしまうらしいことだ。これは非常に危険極まりないのではないか。 これら専門用語を並べ立てられることにより、人はそれらに対し「ああ、そうなのか」とつい納得せずにはいられないのである。そしてその慢性化。これはまったくもって危険である。
そしてこれらを利用する輩はやっぱり出てくる。これが世の常、人の常。

例えばこの洗濯機に対抗するため、他メーカーは考える。
だったら、「水なし洗濯機」はどうだと。
こりゃまた凄いものが出てきたものだ。
歌い文句はこうだ。
「スペシュウム効果と慣性の法則で、洗剤はおろか、水もいりません。」ときた。
スペシュウムってところが何かしら懐かしさ、というかインチキ臭さを感じるのだが、人は皆、「ああ、そうなのか」と納得してしまうのだ。
だがしかし、なぜどういう理由でそうなるのかは分からないし疑問にも思わない。
そしてまたあるメーカーは考える。
「洗濯いらず服」はどうだと。
これじゃ、洗濯機がいらないじゃないか。
なにしろ、「フレミング左手の法則とピタゴラスの定理の効果で洗濯しなくてもよいです」ときた。
つまるところ、服が汚れないというのだ。
どこかで聞き覚えのある法則と定理なのだが、やはり人は皆、「ああ、そうなのか」と納得してしまう。 だがやっぱり、なぜどういう理由でそうなるのかは分からないし疑問にも思わない。

そしてまたある者は提案する。
世の中、時代はなにしろリサイクルだ。
服なんかは、買い物袋でいいじゃないか。とことんリサイクルを活用しよう。
そして人は皆、「ああ、そうなのか」と納得し、買い物袋のパンツを履くの だった。
オレはやだよ、そんなパンツ。蒸れるじゃないか。
たまに失敗はある。

このような半ば胡散臭いふれ込みが蔓延する社会で人々は生活していく。なんの疑いもなく。
疑うどころか相手にしてないかもね。

そしてあるとき、ふと我に返り、気が付く日がやって来るのだ。
やはりこれだ、これなんだと。

「洗濯板」

やっぱりこれなんじゃないか。
精神衛生上的にも、運動学的にもこれが一番なのだと。
人間は、いつしか原点に帰るものだ。

そしてついに実現した。

「ハイパー洗濯板」

元のもくあみである。


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