◆腕立て日記◆

千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とする。

体力維持か、単なる意地か、長年続けている腕立て伏せ。
ややもすると怠け気味になってくる今日この頃。
自分自身への叱咤も含め、ここに記す。

|めっせ〜じ| 

/30:目の前を通り過ぎたもの /29:いまだ未計画である /28:美唄焼き鳥を食べる /27:紫を履く /26:浮つく /25:正常の瞬間 /24:贅沢からの脱出 /23:些細な貧乏 /22:気合いが入る /21:相変わらずである /20:ぼんやりである /19:3人集まる /18:冴えてしまう /17:なかなか慣れない /16:なけりゃないで /15:切り換える /14:過ぎてしまえば /13:ついに最終日 /12:あと一日 /11:顔を見て安心する /10:円滑の方法 /9:今週いっぱいである /8:今日も飛びついて来る /7:時間を持て余す /6:5年振りの再開 /5:不意の連絡 /4:次第に馴染む /3:桜がない /2:カモメで起きる /1:柄にもなく気が張る/

<2013年 4月>

     ◆腕立伏◆スクワ◆背筋◆腹筋

30(火) RUN5km 27:06 

〔目の前を通り過ぎたもの〕

▼うちの部署に今日から新入社員が二人配属になった。
一人は和歌山出身、もう一人は栃木出身だと言う。
どちらもひどく若々しい。
当たり前だけど。
まだしばらくは右も左も分からない、不安な毎日を過ごすことだろう。
思い起こせば、オレもひどかったからなあ、新人の頃は。
まずは、3年だ。
辛抱して、頑張って欲しいと思う。

▼帰宅してすぐ、さあ走るぞ、と気合いを入れ、着替えたはいいが、ついテレビの出川とローラが面白くて見入ってしまい、気が付くと9時近くになってしまった。
せっかく、着替えたのだから走るしかあるまい。
すると、走っている目の前を何かが通り過ぎた。
犬か、ネコか、いや、イタチだ。
あの太い尻尾は紛れもなく、イタチである。
ややもすれば、フェレットに見えなくもないが、あんなに早く走れるはずがない。
運動能力は、イタチにかなうはずがないのだ。
だがしかし、オレはフェレットになりたい。
可愛がられたいからな。
何の話だ。
ともあれ、一応ここは東京である。


29(月) 

〔いまだ未計画である〕

▼連休前半最終日は、取り立てて何をするわけでもなく、ゆったり過ごした。
WOWOWで撮った昨日のUFCや武豊3500勝のドキュメント、そして、さして見るつもりもなかった映画、ヘルタースケルターを結局最後まで見てしまった。
午後、腹ごしらえにラーメンを食した後、TULLY'Sへお茶しに行ったら、地元シニアのサークルなのだろう、ハワイアンのコンサートをやっていた。
思い掛けず南国気分に浸りながら、今頃さぞかし、福島のスパリゾートハワイアンズは賑やかなのだろうな、と、自分にはまったく関係のないことに思いを巡らすのだった。
一度、行ってみたいもんだな。
さあ、後半のゴールデンに向け、もう一踏ん張りだ。
計画は、相変わらず未計画の行き当たりバッタリである。


28(日) 

〔美唄焼き鳥を食べる〕

▼ゴールデンウイークだからと言って、別に遠方へ行かなくてもいいのではないか。
そう思い立ち行ったのは、東京は大手町に先立ってオープンした焼き鳥のテーマパーク、全や連総本店である。
ここで、全国7ヶ所の焼き鳥を食べられるのだが、この中に我が故郷のソウルフード、美唄のたつみ焼き鳥があるのだ。
これは絶対に行かねばならないだろう。
昼時を外した午後2時頃行ったのだが、待ち客で行列になっていた。
やはり今はゴールデンウイークなのだ。
それにも増して、ここ東京で美唄の文字を見るだけで、なんだかテンションが上がるじゃないか。
メニューにある懐かしい品々。
美唄焼き鳥、鳥めしのおにぎりは当然だが、ぼんぼち、って言うのは初めて食べたな。
どうやら、鳥のしっぽの肉らしいが、ぷりぷりしてなかなか美味しかった。
その他にも、もつそば、美唄風やっこ、石炭やきそばなどがあったが、次回の楽しみにして置こう。
なにしろ、美唄の知名度を上げるべく、末永く頑張って欲しいと願うのだ。


27(土) 

〔紫を履く〕

▼ゴールデンウイーク初日。
天気が良いので、みな、アウトドアにでも行ったのだろう。
近所のアウトレットモール内にある映画館はやけに空いている。
そしてオレは、アイアンマン3を観賞した。
久しぶりの3Dである。
以前のメガネよりもずいぶん掛けやすくなった気がする。
そして本編。
なんだか、ストーリーがややこしくなったなあ。
しかし、この類の映画は理屈ではない。
ただ漠然と楽しければいいのだ。
見たところ、アイアンマンスーツもずいぶん進化した。
スーツ自体が人工知能化しているのは、なかなか画期的だ。
それにしても、多すぎだよ、アイアンマン。
これを見たら、ひとつくらい欲しいと思ったのはオレだけじゃないはずだ。
ともあれ、買えば、いったい幾らするのか、想像も付かないのだった。

▼靴を買った。
ランニングもできると言うトレッキングシューズだ。
色はオレの好きな紫。
普段履いているランニングシューズも紫だ。
これじゃまるで、ヱヴァオタだな。
さあ、これを履いて、街だろうと、山だろうと、走り回ろうじゃないか。
翌日に響かない程度に。


26(金) 120 100

〔浮つく〕

▼本日も終日社内で仕事なり。
そして、いよいよ明日からゴールデンなウイークが始まる。
まずは3連休だ。
さあ、何をしようかと考える。
と言うことは、まだ何も決まっていないと言うことだ。
まずは映画を見に行かなくてはと考える。
楽しみにしていた映画は、アイアンマン3である。
まあ、映画は夜でもいいだろう。
日曜は、天皇賞もあるしな。
結局、いつもと変わらない休日になりそうな予感である。
しかし、気分は情けないほど浮ついているのだ。


25(木) RUN5km 27:02 

〔正常の瞬間〕

▼午前中は本社で仕事。昼から今度つく仕事場の客先へ挨拶に行った。
いよいよプロジェクトの第一歩である。
帰りはそのまま高速に乗って直帰したわけだが、やっぱり遠いよ遠い。
うすうす気付いていたが、片道100キロ以上あり、2時間半たっぷり掛かった。
これでは本格的に始まると、通うことは難しいのではないか。
まずは覚悟である。

▼2月に血圧が急上昇してから、毎日、測定し記録することにしている。
少しずつ改善しているとは言え、普段は相変わらず高めである。
しかしながら、明らかに効果が現れる、つまり血圧が下がることがある。
それは、走ったあとである。
なんとなく、走ったら血圧が上がるようなイメージがあるが、不思議なことに、走ったあとに測定すると、血圧は極端に下がるのである。
これじゃ、ほとんど正常値じゃないか。
この瞬間、やけに嬉しい気分になる。
だが、いつもいつも走ってもいられない。
他にすることがたくさんあるからな。
なにしろ、普通に正常になるまでひたすら辛抱するのみだ。


24(水) 120 100

〔贅沢からの脱出〕

▼今日も社内で仕事。
そして、終日雨。
なので、昼は一番近くの焼肉屋へ入った。
六本木で仕事をしていると、ランチの費用がけっこうかさむ。
なにしろ相場は1000円だ。
1000円ごときと思うかも知れないが、何を言ってるんだ。
ランチで1000円は、なかなか贅沢なのではないか。
これが、いつまでも続くと、けっこう効いてくるのである。
だから早くここから脱出しなくてはならない。
いつまでも、こんな贅沢をしていられないのだ。


23(火) RUN5km 27:17 

〔些細な貧乏〕

▼ほんの些細なことが、妙に貧乏くさく思えてしまうことがあるのではないか。
夜、歩いていると、どこからともなくこんな音が聞こえてきた。
カラン、コロン…
最初はさして気にもしていなかったが、いつまでもその音が付いてくるものだから、次第に気になってきた。
立ち止まる。
音はしなくなった。
再び、歩く。
カラン、コロン。
立ち止まる。
音はしなくなった。
また歩く。
カラン、コロン。
このことから分かること、それは、この音の原因はオレだと言うことだ。
すると、この音はオレのどこから出ていると言うのか。
頭を振っても音は出ないし、お尻を振っても出ない。
試しに、足を振ってみた。
カラン、コロン。
これだ。
皮靴を裏返してみると、かかとに切れ目が入っており、どうやらそこから石か何かが入ったようなのだ。
困るなあ。
なにしろ、カラン、コロンだ。
これじゃ、いつなん時、指をさされ、ゲゲゲの鬼太郎だ、と言われかねないし、いくらすまし顔で歩いていたって、カラン、コロンじゃ、貧乏くさくてしょうがないじゃないか。
しかし、オレにはどうすることもできない。
オレが危惧するのは、穴からそれを取り出そうとし、穴が大きくなることで、さらに大きな石が入り、カランコロンが、ゴロンゴロンになる恐れが十分にあると言うことだ。
ゴロンゴロンになったら、もう手の施しようがないのである。


22(月) 120 100

〔気合いが入る〕

▼さあ、一週間の始まりだ。
やけに気合いが入っているではないか。
そりゃそうだろう。
それと言うのも、この1週間が終われば、ゴールデンと言う名の休暇が待っているのだ。
なにしろ、ゴールデンである。
ゴールデンハムスター然り、ゴールデンハーフ然り、ああ、なんて素晴らしいんだ、ゴールデンってやつは。
気合いのわけはこれである。

この気合い乗りのまま、今日も7時半に出社。
東北から2年振りに2名、出張から戻ってきた。
ほとんど休みなく働いてきたと言うことで、驚きの1ヶ月休暇を取った。
いったい何をやるんだよ、1ヶ月も。
他人事ながら、出費が心配である。
でも、夢が広がるなあ。


21(日) S30

〔相変わらずである〕

▼雨は上がったが、まるで冬に戻ったような寒さ。
そうは言ってもいつまでも家に篭もってもいられない。
郵便局へ行ったり、日用品を買いに行ったり、久々に日常の用事足しをした。
相変わらずなのは、何があっても競馬はやっているし、それよりも何よりも、相変わらず当たっていないと言うことだ。
なんてぶれないんだ、オレって。
たまにはこの確固たる軌道から、反れてみたいよ。
因みに来週は、天皇賞です。
さあ、明日からまた一週間、脳天気に勤しもうじゃないか。


20(土) S30

〔ぼんやりである〕

▼1日雨だし、寒い。
こんなときは家でゆっくり映画でも見るに限る。
山ほどある未観賞のDVDの中から、ハンガーゲームを見た。
なんだよ、これ。
途中でルール変更ってあるかよ。
これじゃ政府のやりたい放題じゃないか。
なんだか、わだかまりが残るなあ、これがオレの忌憚のない感想だ。

▼いつまでも家でわだかまってもいられないので、ぼんやりとファミレスで昼食。
そして、さらにぼんやりしていたらヤマダ電気でぼんやりしていた。
そんな、ぼんやりな休日もいいものだ。


19(金) 

〔3人集まる〕

▼札幌から異動してきたF原先輩が今日から出社。
会うのは何年振りだろうか。
10年くらいになるかも知れない。
昨日、やっと引っ越しが終わったらしく、荷物は当然まだ段ボールに入ったままなのだが、可哀想なのは、来週からいきなり仙台へ出張だと言うことだ。
引っ越して、落ち着く間もなくである。
いきなり奥さんはまったく知らない土地で一人残されるわけで、心細いことこの上ないことだろう。
それよりもまず、部屋の片付けが大変そうである。
それでも、会社の命令には従わなければならない。
これがサラリーマンの辛いところである。

▼午後、打合せのため、大宮にある埼玉支店へ、Kと共に行ったのだった。
因みにKは同期であり、埼玉支店にいるOも同期である。
つまり、同期が3人集まったと言うことだ。
これを、同期トリオと言うかどうかは分からない。
ともあれ、これはなかなか珍しいことであり、Oと会うのも、かなり久し振りだ。
そんなわけで、夜、この3人を含め6人で飲みに行ったのだった。
居酒屋で、積もる話やうわさ話が出るわ出るわで散々盛り上がった。
たまにはこんな飲み会もいいものだ。
それにしても、大宮の繁華街がこんなにも賑やかだったとは。
東京も顔負けである。


18(木) RUN5km 29:57 ゆっくりゆっくり

〔冴えてしまう〕

▼今日から本社に出勤であるが、昨晩は目が冴えてしまい、ほとんど眠れなかった。
遠足前夜かよ。
意識はしてないつもりだが、環境が変わるとなるとどうも気が張るようだ。
そんなわけで、気合いが入り過ぎ、会社に7時半に着いてしまったよ。

▼いきなり上司が「いつにする?」と聞いてきた。
なんのことかと思ったら、ずいぶん前から、大山に登ろうと誘われていたのだった。
すっかり忘れていたよ。
しかし、なぜ大山なのか。
大山は神奈川にある有名な山なのだが、登ると言っても、登山とかそう言う大袈裟な感じではなく、山登りビギナーでもピクニック気分で登れる山らしい。
だからなのか。
しかし、油断は禁物だ。
さっそく、上司は4、5名に日程を告げていた。
どうやら、オレ待ちだったようだ。

▼約1ヶ月振りに走った。
風が強かったが、それがなんとも心地良く感じられるくらい大汗をかいた。
今年初の大汗だ。
もうそんな季節である。


17(水) 120 100

〔なかなか慣れない〕

▼3日間の振替休日も今日で終わり。
何をやるでもなかったが、すっかり鋭気を養ったと言えよう。
明日は新調のスーツを着用し、心機一転の心持ちで本社に出勤だ。
次の物件が始まるまでしばらく本社に出勤することになるのである。
これが厄介なのだ。
何がって、だってそうだろう。
会社ほど息の詰まるところはないじゃないか。
何年、会社にいるんだ、おまえ、って話だが、職種的にほとんど会社の外での仕事なんだよな、オレ。
ともあれ、しばらく耐えるしかない。
そのうち慣れるだろう。


16(火)         60 100

〔なけりゃないで〕

▼仕事の電話がまったくない休日。
なけりゃないで、なんだか気が抜ける。
そんなわけで今日は、入院している知人へ見舞いに行ったり、久しぶりに本屋を覗いたりと、非常に文化的な一日を過ごした。
この様に、少しずつ通常の生活に戻りつつあるのだった。

▼100年に一人の男として、ボクシング界に大注目されているのが、井上尚弥である。
今夜、プロ3戦目が行われたわけだが、どう考えてもおかしい。
問題は、その売り込み方だ。
将来のドル箱選手として間違いなしと言うのは確かに分かるが、それにしたって、やり方がちょっとひど過ぎる。
相手選手はまるで噛ませ犬じゃないか。
間違えて勝ってしまったらとんでもないことになると言う雰囲気が満々だし、それでもなかなか粘るものだから、連続KOが途切れては箔が落ちると言うことか、最終ラウンドで試合を止め、不可解なTKO。
なんて無理矢理なんだ。
ここまですると、逆効果だろ。
本人のためにもけっして良くないのではないか。
せめてもう少し、自然な売り込み方をしたらどうなんだと、ひとしきり思うのだ。


15(月) 100

〔切り換える〕

▼今日から3日ほど、振替休日を取った。
ひさしぶりに目覚ましから開放されると思ったが、朝から携帯が何度も鳴る。
当然、敦賀にいるHからも来た。
まだ完全に要領が分かっていないのだからしょうがない。
そんなわけだから、休んでいてもつい敦賀のことが頭をよぎる。
いまの時間帯と敦賀にいたときの時間帯を重ねてしまうのだ。
しかし、そろそろ切り換えなければならない。
次の仕事が、手ぐすね引いて待っているのだ。

▼忘れないうちにと、昨日やってしまった違反の罰金を納め、清めるつもりで愛車の洗車をした。
違反したのは、愛車じゃないけどな。
ともあれ、積もり積もった花粉や黄砂を洗い流し、気分もさっぱりしたのだった。


14(日) 

〔過ぎてしまえば〕

▼9時起床。
まだ、昨日の疲れが残っている。
朝食を摂り、宿の精算をし、パソコンを叩いて馬券を買い、そして、Hに一言、あとは頼んだぞ、と声を掛け、昼前に出発。
いよいよ敦賀から出る。
高速は、静岡まで順調。
静岡SAに寄り、皐月賞を見る。
堅すぎる決着にオレの出番はなし。
気を取り直して高速に戻り快調に走行するも、うっかりパトカーに捕まってしまった。
油断だったなあ。
これでまたゴールド免許は夢となった。
気を取り直し、高速に戻る。
どれだけ気を取り直すんだよ。
神奈川県に近付くにつれ渋滞が始まる。
そこかしこで事故も起きてるようだ。
いつもの休日の風景に、戻ってきたと言う実感がする。
そして帰宅は、20時。
時間のロスを入れて、8時間の道程であった。
けっこう掛かったなあ。
今回、2週間の出張であったが、もっと長く行っていたような気がする。
ともあれ、どんなに過酷であっても、過ぎてしまえば良い思い出である。


13(土) 

〔ついに最終日〕

▼いつもと違う音色の目覚ましで起きた。
時計を見ると、30分早い。
携帯の地震警報なのだった。
いつ揺れるかと身構えたが、なかなか揺れないので、洗面所へ顔を洗いに行った。
そんな一日の始まりだった。

▼そして今日が敦賀での仕事の最終日なのだった。
いつもの様に過酷な一日は終わり、最後のお勤めは、夜の接待である。
客先3人を相手に、こちらは4人。
まずは寿司屋でフグ三昧だった。
フグの白子とフグ焼きは初めて食べたが、なんて美味しいんだよ、フグってやつは。
見ると客もご満悦だ。
フグで腹を満たしたあと、スナックへ。
店の女の子が、昼間、仕事で出入りしている建物の掃除のおばちゃんたちだったのには笑った。
とにかくみな、妙なハイテンションで妙な盛り上がりを見せた。
いつもは堅い客先も、今日は終始笑顔で、大成功の接待だったのではないか。
下戸なオレも今日はさすがに飲んだ。
ひさびさに酔っぱらったなあ。
ともあれ、後任のHには、これを糧にして頑張って欲しい。
そのHは、酔っぱらうととてつもなく危険人物になる。
客を客と思っていない行動が、あちこちに見られたのだ。
とにかく頑張って欲しい。
今はそれしか言えないのだ。
さあ、明日は帰ろう。


12(金)  30

〔あと1日〕

▼やけに寒い一日だった。
完全に冬に逆戻りだ。
桜がすっかり散ったあとの逆戻りは、まったく意味がないよ。

▼今日から本格的にHと引き継ぎをする。
Hは次第に気付き始めた。
この過酷な任務を。
今さら、やめようとしたってダメだ。
オレが許さないからだ。
そうこうしてるうちに、次第に肩の荷が降りてくる。
そして、最後の荷が明日降りるのだ。


11(木)  30

〔顔を見て安心する〕

▼夕方、6時間掛け、無事、後任のHがはるばるここまでやって来た。
ほんとに来たんだな、おまえ。
顔を見るまで安心できなかったが、良かったよ、ほんと。
そんな心持ちで、さっそく、客先への紹介と引き継ぎをしたのだった。
この過酷な仕事を引き継ぐのは、なんとなく心苦しかったが、Hならやってくれるだろう。
オレは、ひとしきりそう信じたい。
頼むから、呼び返さないでくれよ。
そんなわけで、敦賀シリーズも残り2日となった。
ひとしきりそう信じたい。
あくまでも疑心暗鬼かよ。


10(水)  30

〔円滑の方法〕

▼後任のHからようやく連絡が入った。
心配させやがって、まったく。
明日、予定通り来るそうだ。
取りあえずは、一安心である。

今日は天気がいまいちで、時折強い雨が降る。
この辺は、天候が変わりやすい地域のようだ。
天気予報自体、ころころと変わる。
こんな気象もそうだが、ここの仕事にもようやく慣れてきた。
客先ともなんとかうまくやっている。
なんと言っても、雑談がごく自然にできるようになった。
なにしろポイントは雑談だ。
客先との雑談は言ってみればこう言うことだろう。
ご機嫌取り。
これのどこが自然なんだ。
しかし、これが仕事を円滑に進めるためには大切なのだ。
気が付けば、仕事の話よりも、大半が雑談になっているじゃないか。
内心、シメシメである。
これで得た情報を、Hに伝授しなければならない。
これがオレの最後の使命だ。


 9(火)  30

〔今週いっぱいである〕

▼次の仕事場が正式に決まった。
千葉県である。
と言うことは、ここ福井県からの離脱が決まったと言うことである。
いつかと言うと、今週いっぱいだ。
しかし、ひとつ問題がある。
木曜に後任のHが来ることになっており、事前の打ち合わせをしなければならないのだが、現在、休暇中であり、いくら連絡をしようにも電話の電源を切っているではないか。
これには困った。
現在の仕事場には入場の許可が必要で、そのための書類を事前に作成しなくてはならないのだ。
おいおい、休暇を徹底するのはいいが、一報くらい入れてくれてもいいじゃないか。
ともあれ、ここの生活もあと少しとなった。


 8(月)  30

〔今日も飛びついて来る〕

▼昨日の悪天候から一転、良い天気となった。
海もキラキラと輝いて見える。
これで今週も1日目から気分良く始めることができる。
そして、今日は比較的平穏な一日だった。
旅館に戻ると、犬が飛びついて来る。
ここで飼っているパピオンである。
それにしても、なんて落ち着きがないんだ、パピオンってやつは。
落ち着きはないが、非情に人懐こいので可愛い。
これじゃ、番犬にならないな。
この旅館の犬もそうだが、この辺りの犬は放し飼いが多いようだ。
いつも、4、5頭の犬が、付近をうろついているのだ。
見ると不思議なことに、どれも白い犬であり、時として、列をなして歩いている。
まさかとは思ったが、念のため聞いてみると、この犬達はこんな境遇らしい。
「ノラ」
つまり、野良犬と言うことだ。
今時、なかなかお目に掛かれないぞ、野良犬なんて。
普通ならは、保健所に一報を入れれば即座に確保なのだろうが、ここのノラは特別のようだ。
どう特別なのかと言えば、きっとこうだ。
「公認ノラ」
だからあんなに正々堂々と歩いているのだ。
オレも負けずに頑張ろう、と言う気持ちになるのだった。


 7(日)  30

〔時間を持て余す〕

▼日曜は思った以上に暇だ。時間を持て余す。
買い物にでも行こうと思うが、雨風がすごく、なかなか出掛けるタイミングが掴めない。
それでも午後、意を決し街へと出る。
ここから、街中まで車で20分ちょっと掛かる。
その間、コンビニもガソリンスタンドもない。
ちょっとした陸の孤島だ。

ユニクロで、パンツ、シャツ、靴下をまとめ買いする。
コンビニに寄り、そそくさと旅館に戻った。
そそくさと戻ったのにはわけがある。
桜花賞である。
そんなことだろうと思ったよ。
わくわくしながらレースを待ったが、レースが終わったら、ガックリだった。
「アユサンかよぉ…」
ひとり虚しく呟くしかなかったのだ。

▼夜はボクシング観戦。
亀田興毅の防衛戦だ。
解説者は誰もが、難しい判定ですねえ、と言うが、手数、有効打とも、明らかに亀田の負けだろ。
だがしかし、亀田が勝ちってことはないじゃないか。
贔屓目に見ても、不可解な判定だ。
大丈夫かよ、この審判員たち。
勝利者インタビューで、目に涙を浮かべながら、申し訳ないを繰り返す、亀田本人が一番分かっていたに違いないのだ。


 6(土)  30

〔5年振りの再開〕

▼予報通り、朝から風が強い。
海の波が横に流れている。
昼頃から雨も降り出し始めた。
土曜日と言うことも相まって、今日は仕事は早めに切り上げた。
久しぶりにゆったり気分となった。

▼夕方、旅館を出て敦賀市内に向かう。
名古屋からF井氏が来るのである。
駅近くの駐車場で落ち合った。
差した途端、傘が壊れるほどの風雨。
歩き回る余裕などなく、すぐ目に付いた先の居酒屋に入った。
約5年振りだろうか。まずは再開に喜んだ。
オレの顔を見て開口一番「いつまでも白髪がないねえ」と言うF氏の髪はすでにかなりの白髪になっている。
「きっと、ストレスがないからだよ」と言うと、その秘訣を教えてくれと言うので、「一日の仕事が終わったら、頑として、仕事のことを考えない努力をすることだ」とアドバイスしておいた。
しかしながら、F氏には数々の悩みがあるようで、仕事が少ないこともそうだが、年末に同じ山岳会の仲間を二人亡くしていることが、かなり心の負担になっているようだ。
雪の少なくなるゴールデンウイークにみなで捜しに行くのだと言う。
趣味とは言え、山登りは命懸けである。
そんな、積もる話を様々し、またの再開を約束して別れた。

▼帰り際、久しぶりにコンビニに入った。
なにしろ旅館の廻りにはコンビニはおろか、店らしい店は、何もないからな。
スポーツ新聞を購入。
明日は、桜花賞なのだ。
どんなところにいても、競馬は欠かせない。
それがオレのサガになっている。


 5(金)  30

〔不意の連絡〕

▼東京のF氏から電話があった。
解散してからそれほど日数が経っていないのに、なんだか懐かしい感じがする。
どうしてるのかと、気に掛けて電話してくれたのだった。
嬉しいものである。

さらに、名古屋のF井から電話があった。
いま、敦賀にいるのだと言うと、そんなに近くにいるんだったら会いに来ると言う。
そんなわけで、明日の夜、敦賀市内でメシを食うことにした。

明日は大荒れの天気になると言う。
ほどほどにして欲しいと願うが、この地域の桜はこれにて終了だろう。


 4(木)  30

〔次第に馴染む〕

▼スマホの目覚まし(ミスチルのHANABI)と共に鳴る、この地域のBGMで目を覚ます。
朝6時と夜9時に鳴ることは確認できたが、他の時間にも鳴っているのかも知れない。
しかしながら、これが何の曲なのかが分からない。
童謡なのか、歌謡曲なのか、はたまた軍歌なのか。
旅館のおかみさんに聞いてみたら、知らないと言うじゃないか。
それだけ、この地域に溶け込んでいるのかも知れない。
あって当たり前のものは、そんなものなのだ。
そうでもないと思うけど。
どっちだよ。

▼敦賀へ来て今日で5日目だが、ずいぶん慣れてきたような気がする。
朝、海を眺める余裕が出て来たし、仕事が終わってからの身体の疲れも昨日までに比べれば、段違いに少ない。
己の身体はこうしてこの空気に馴染んでいくのである。


 3(水) 

〔桜がない〕

▼朝から雨。風も強い。
仕事の過酷さも相まって、気が滅入る。
それでも、綱渡り状態とは言え、なんとかなっている。
今の状況を言えば、こんな感じだ。
福井県はいま、桜が満開らしいが、この近辺に桜並木はまったくない。
あるのは、延々と続く海岸のみだ。
せめて、その海を眺める余裕が欲しい。


 2(火) 

〔カモメで起きる〕

▼朝、何か騒々しいなあと思ったら、カモメなのだった。
その鳴き声で目を覚ます。
旅館の窓からは海に浮かぶ釣り船が3艘と、そして朝日が昇るのが見える。
なかなかの眺めだ。
7時半から仕事開始。
今日も激しく忙しい一日だった。
まだ三日目なのに、ずいぶん長くいるような気がする。
辛うじて、旅館のメシは旨い。
海の幸が豊富に揃っている。
おかずだけで腹一杯になりそうだ。
これだけで、さあ、明日も頑張ろう、と言う気持ちになる。


 1(月) 

〔柄にもなく気が張る〕

▼ドライバーズハイなのか、気が張ったのか、昨夜は結局一睡もできなかった。
朝5時半、まだ薄暗い中、福井市内のホテルを出発し、約60キロある敦賀へ向かう。
ここが仕事場である。
覚悟はしていたが、朝から異常に忙しい。
どたばたしている内に気が付けば夕方である。
それから、営業所への書類提出のため福井市へと戻る。
そして再び敦賀へ。
どれだけ行ったり来たりしてるんだ。
仕事場近くの旅館に到着し、やっと一息付く。
海っぺりの旅館で、釣り船も出しているようだ。
すっかり夜なので、廻りの風景が望めない。
明日の楽しみにしよう。
さあ、今日は寝るぞ。




byクムラ〜




昨日 今日


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