千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とする。
体力維持か、単なる意地か、長年続けている腕立て伏せ。
ややもすると怠け気味になってくる今日この頃。
自分自身への叱咤も含め、ここに記す。
/30:切りがないだろ /29:無料になるかも知れない /28:曜日感覚なくなる /27:取りあえずの打ち上げ /26:地鳴りはするが /25:ダッシュ村はそこにある /24:思い掛けず桜を堪能する /23:賑やかになるにつれ /22:釈然としない措置 /21:帰れない悲劇 /20:満開とは言うものの /19:乱高下する気温 /18:覚悟する /17:へたまで大丈夫 /16:穏やかから一転 /15:今日は開いていた /14:福島にもそろそろか /13:ここにも避難者はいる /12:レベルアップ /11:地鳴りと共にやってくる /10:曜日感覚なし /9:同じ日本人である /8:域を越えている /7:住まいが変わる /6:気になる放射能値 /5:福島の名産 /4:福島、そして仙台へ /3:出発前夜 /2:調達する /1:人生最大なのか/
<2011年 4月> ◆腕立伏◆スクワ◆背筋◆腹筋 30(土) 〔切りがないだろ〕 ▼流し台から水が漏れていると言う報告。 Aと共にバケツと雑巾を持ってその場所へ。 どうやら排水管がうまく接続されていないようだ。蛇口から流れる水がそのまま床へと流れるのである。 取りあえず、Aは床に溜まった水を雑巾で回収。バケツの中にけっこうな水が溜まった。 いったいどうなってるんだ、と、Aが流し台の排水管を見ようと扉を開けたら、扉がバケツに当たり、ひっくり返って再び水浸しだ。 何やってるんだよ。オレは半ば呆れ加減で言った。 しょうがないので、Aは今一度雑巾でバケツに水を回収する。 やっと終わったと言って、Aはそのバケツの水を流し台に流しました。 水浸しである。 一生やってろ。 ▼4月も今日で終わりだ。 桜はすっかり葉桜になっている。 花粉症もようやく峠を越えたか。 それとも環境に順応したのだろうか。 29(金) 120 100 〔無料になるかも知れない〕 ▼東北自動車道が無料になるかも知れない。 個人的にも是非ともお願いしたい提案だ。 東北地方の活性化を図る上でも非常に有効な手段であると思うし、何よりも、オレの北海道帰省が俄然助かるじゃないか。 結局、そんなことかよ。 ▼非常に穏やかで暖かい一日。 こんなことはこの地域にあっては珍しいことだ。 こんな陽気だし、ゴールデンウイーク初日ということもあり、高速道路の渋滞が凄いことになっている。 そう言えば、我が愛車、スカイラインHCR32はどうしているだろうか。 これだけ長いことエンジンを掛けないのは始めてではないか。 今頃さぞかし、ストレスが溜まっていることだろう。 どうか、へそを曲げずに待っていて欲しい。 28(木) 〔曜日感覚なくなる〕 ▼はて、今日は何曜日だったかと暦を見る。 まったく曜日感覚がなくなっている。ここへ来てからと言うもの、まったく休みなく動いているのだから無理もない。 木曜日か。呟く。 明日からゴールデンという名の安らぎの週間が始まるようだ。 しかしながら当然、まだまだオレには安らぎの機会は与えられない。 オレだけじゃない。みな頑張っているのだ。 それよりも何よりも一番頑張っているのは、被災者に他ならないのである。 27(水) 〔取りあえずの打ち上げ〕 ▼暑さのせいか、それとも疲れが溜まってきたのだろうか。どうも身体がだるい。 明日に持ち越すことはないと思うが。 ▼いまやっている須賀川の仕事ももう少しで終わる。 一区切りと言うことで浪江町の面々らと打ち上げをした。 宿舎となっている旅館の宴会場を借りて行うのである。 酒が入るとみな明るい。 最初は躊躇していても打ち解け始めると歌うわ歌うわ。 自分たちの境遇などくそ食らえだ。 非常に前向きなその姿を見てホッとするが、その実、これからの生活のことを考えれば、大変なことこの上なく、悩みは尽きないのだろう。 26(火) 〔地鳴りはするが〕 ▼地鳴りがする。待ち構えていても揺れない。 そんなことが最近多い。 こう言うのをフェイント地震と言うのだろうか。 言わない。 ▼至極良い天気。こっちへ来て最高の陽気と言えるだろう。 このまま続いて欲しいが、そうは問屋が卸さないのが、この地方の天候である。 時折風が吹くと桜の花びらが舞い散る。そろそろ桜も散り始めである。 ▼出先には基本的に電気がない。したがってパソコンを使用することができず、けっこう不便だったりする。どうしても書類などはパソコンで作成する必要があるのである。 仕事用のパソコンはすでにけっこう古く、したがって電池の持ちがすこぶる悪い。。 そこで、外部充電池を購入した。 エナジャイザーと言う商品である。25、800円とけっこう高い。 ノートパソコンなら6時間、他にも携帯電話、ゲーム機など色々と充電できるようだ。 これで思う存分仕事ができるぞ。したくないけど。 25(月) 120 〔ダッシュ村はそこにある〕 ▼天気から雨、そして雷、さらに強風と今日も目まぐるしく天気が変わる。 これに地震が加わるとちょっとした天変地異である。 ▼浪江町の職人と話をしていた時に、ふとダッシュ村の話題になった。 ダッシュ村は浪江町にあるのだ。 村の家を建てるときにTOKIOのメンバーがうちに材料を取りに来たとか、地元の人は村の場所を知っていたのかと尋ねると、知ってますよ。火事になったときにばれましたなどと、そんなたわいのない話をしていたものの、やはりどことなく寂しそうだった。 無理もないな。 ▼先日なくなったスーちゃんの肉声テープの遺言はなんと言ったら良いのか、感動的なことと言ったらないのだった。 24(日) 〔思い掛けず桜を堪能する〕 ▼昨日、あれほど降った雨はすっかり上がった。 巷は日曜だが、いつもとなんら変わらない風景を見ながら仕事場へ向かう。 桜はいよいよ満開。 地元の人から近くに千本桜があることを聞き、昼休み、Aと一緒に行ってみることにした。 車で15分ほど走ると田園風景の中にいきなり白いかたまりが見えてきた。 それはまさしく桜である。 メイン道路から未舗装の農道を走り、桜に向かって走る。 ほどなく、桜の始まりに到着し、車を降り、桜並木を歩いた。 川の両脇に延々と続く桜は行けども行けども切りがない。 川のせせらぎと鳥のさえずりが何とも風流だ。 それにしても、人がいない。 これだけの桜である。普通であれば、車と人でごった返し、ところ狭しと出店が並んでいてもおかしくないはずだ。 ところがどうだ。歩いて行くに連れ、次第に人は増えてきたが、近所の人が休日に散歩をしている程度のものである。 穴場と言えば穴場だし、そう思って来年来たら様相が一変しているかも知れない。 いったいどれくらい歩いただろうか。野郎二人で桜のトンネルを早足で巡り、思い掛けない花見を堪能することができたのだった。 少しは気分転換ができただろうか。 23(土) 〔賑やかになるにつれ〕 ▼朝から終日雨が降る。 ラジオからは、松山千春の銀の雨が流れている。 そんな中、みな頑張って仕事をしている。 Aが、お勧めの本ですと言って、宮本輝の螢川と言う文庫本を持ってきた。 短編が2本入っているようだ。 青春の門を読み終わり次第読んでみるか。 そんなことより仕事だ。 18時過ぎに仕事は終わり、アパートに戻ると、同居人のHはまだ帰っていなかった。 昨日より、飯坂温泉方面の仕事が始まったので、Hはそこに行っているのだ。 オレもいまのところが終わり次第、行くことになっている。 そして明日からまた一人、東京からOと言う5年選手がやってくる。 少しずつ賑やかになるにつれ、仕事も逼迫してくるのだろう。 明日も仕事だ。今夜のうちに皐月賞の予想は済ませておこう。 22(金) 120 〔釈然としない措置〕 ▼原発から20キロ以内が立入禁止区域となったわけだが、その範囲内に住居のある浪江町の面々が戻ってきた。 もしこの区域に無断で入ったらどうなるのか聞いたところ、罰金10万円、拘留20日と言われたらしい。 確かに強制力を行使するにはそれくらいのことが必要なのだろうが、なんだかちょっと違う様な気がする。なんとも釈然としないのだ。 ▼人手が足りなくなってきたため、地元業者の紹介で一人会った。 年齢は67歳。本人はやる気があるようだが、果たしてこのハードな仕事に付いていけるだろうか。 取りあえず、良く考えてもらうことにした。 ▼高速の休日上限1000円の廃止が決定した。 これはまあ、しょうがないと言えばしょうがないが、だとすれば、今年の北海道帰還は無理かも知れないな。 しょうがないと言えば、しょうがない。 21(木) 120 〔帰れない悲劇〕 ▼ここで働いている浪江町の面々が、午後から帰っていった。 その地域が封鎖されると言う発表が昨日いきなり政府から出されたからだ。 いよいよ来たかと言う感じだが、それにしても急すぎるのではないか。 当事者たちは大変である。 中には都合で帰宅しようにもできない者もいるだろう。 せめて1週間くらい前に通達があっても良かったのではないか。 なんだか、行き当たりバッタリ感を感じてしまうのだった。 それにしても、家がなくなるのも悲劇だが、家があるのに帰れないと言うのもまた悲劇に違いないと思う。 20(水) 〔満開とは言うものの〕 ▼やっと雨が上がった。 まだ少し肌寒いものの、昨日に比べれば数段ましだ。 なんと言っても風がないのがありがたい。 ▼この付近の桜はもうすぐ満開を迎えるわけだが、花見をやっている様子はまったく見受けられない。 いつもこうなのか、いや、そんなはずはない。そんな気分になり得ないのだろう。 ▼現在オレは福島県の須賀川と言うところにいるわけだが、ここの仕事も今月でほぼ終わり、来月から飯坂温泉方面に移ることになる。当然、そこも福島県である。 寝泊まりしている郡山からいまの仕事場までは至極近くて便利なのだが、次の仕事場までは少し距離がある。高速道路で通勤することになるだろう。 過酷さがワンランクアップといった具合だ。 19(火) 120 〔乱高下する気温〕 ▼昨日、ソメイヨシノの寿命が2〜30年と書いたが、どうやらそんなに短くないらしい。そりゃそうだよな。そんなに短かったら、そこいらじゅうの桜が枯れてるよ。 それでも、60年ほどと言う話もあるので、60年前に植えられたソメイヨシノはそろそろ寿命を迎えるわけである。 かなりあるんだろうな、その頃のソメイヨシノ。 ▼それにしても今日は寒い。さらに雨も時折みぞれ混じりで冷たい。 気温7度。 ついこないだ25度あったのが信じられないくらいだ。 ともあれ、避難所に暮らす人達のことを思えばそんなことは言ってられない。 本社から上司が二人、ここにやってきた。 あまりにも寒かったのだろう。1時間も滞在せず帰って行ったのです。 替わりにと言っちゃなんだが、花粉症の調子はすこぶる良い。 これくらいの恩恵はあってもいいだろう。 18(月) 120 〔覚悟する〕 ▼仕事場の近くに立派なしだれ桜があった。 南北朝時代からの由緒ある桜のようだ。 と言うことは、かなりの樹齢と考えられる。 ソメイヨシノの寿命が2〜30年と聞いたことがあるが、しだれ桜と言うのは、こんなにも寿命が長いのか。 傍らには福島県指定天然記念物の碑が掲げられ、地震にも負けず、大地にどかと根を張っているのだ。 そのすぐそばにある大きな納屋の屋根は無惨にも倒壊しているのである。 それがなおいっそう、この桜の木の力強さを物語っているようだ。 ▼どんよりと曇り空。けっこう寒い。 明日は天気も崩れ、なおいっそう寒くなるらしい。 ▼上司から連絡が入る。 東京での次の仕事が決まったらしい。 いつからか聞くと7月かららしい。と言うことは、それまでここにいなければならないと言うことか。 覚悟が必要である。 17(日) 〔へたまで大丈夫〕 ▼よく注意して見れば、今日は日曜である。 ここへ来てから休日は諦めているので、それほど精神的疲労感はない。 あるのは、花粉的疲労感だけだ。 そんなわけだから一向に花粉症が終わりを告げる気配がないので、薬局へ行った。 薬を買うためである。 当たり前だけど。 どれがいいのか皆目見当が付かないので適当にお勧めと書いてあるのを買ってきた。 問題は、眠くなるかならないかである。 眠くなったら最後、何も手に付かなくなるから厄介だ。 だから薬はできるだけ飲まない。 だが、この状況を考えれば、飲まないわけにはいかないだろう。 取り留めのない話である。 ▼福島も場所によっては桜満開となっているようだが、須賀川のオレがいる敷地内の桜は、まだつぼみである。 楽しみはあとに取って置けと言うことなのか。 せめて桜満開の中で仕事ができれば、少しは気持ちも安らぐのだろう。 ▼昨日、そばやで買ってきたイチゴを食べた。 福島県産のイチゴである。 世間は、福島産だからどうのこうのと言っているようだが、オレが食べたのだから大丈夫だ。 大丈夫じゃないのは、オレはいつもイチゴのへたまで食べてしまうという事実だけだ。 だがしかし、福島産のイチゴは、へたまで食べても何ら問題ないと言えよう。 16(土) 120 〔穏やかから一転〕 ▼実に穏やかな朝だった。 今日一日、こんなだったらいいなと思っていたら、いきなり大粒の雨が降り出した。 まいったなあと思っていたら、何事もなかったかのように太陽が出てきた。 ホッと一安心していたら、何のことはない今度は突風が吹き荒れだした。 いったいどうなってるんだ、ここの天気は。 その間一度、地震があったのは言うまでもない。 ▼昨日言ったように、昼はそばを食べにAと車を走らせた。 警備員は道沿いをただ走れば良いと言っていたがなかなかそれらしき店が見当たらないし、とてもそう言う店があるとは思えない。日本の原風景が広がっているだけだ。 いつも間にか、桜が咲いている。 そんなことを思いながら、ナビで検索したらどうだ、とAに提案し、一度車を停めインプットしてみたが該当するデータが現れない。 しょうがない諦めるかと、ふと顔を上げると、店はすぐそこにあった。 道の駅風の土産物が置いてある店だ。 先にレジでお金を払い、食堂に入る。 やけに狭い。 6人掛けのテーブルが2つあるだけである。 壁に一面ブルーシートが掛かっているところを見ると、店の大半が震災でやられてしまったようだ。 店の主人は一人である。 うちらが頼んだ、ざるそばと天丼のセットは10分ほどで出てきたが、その後から来た客には、ちょっと時間が掛かりますと言っている。10分くらいはしょうがないよ、と思って聞いていたら、30分掛かると言うではないか。 やはり、一人で切り盛りするのは大変そうである。 肝心のそばの方は、なかなかこしがあって旨かったです。 15(金) 〔今日は開いていた〕 ▼さらに暖かい一日となった。 Tシャツでもいいくらいである。 迎えの小学校に多くの車。どうやら父兄参観日らしい。 こんな時期にやるものなのか、それとも頻発する地震による臨時的なものなのか。 ▼昼は仕出し弁当を取っているのだが、一緒にいるAが、たまにはそばでも食いたいですね、と言う。ラーメン屋は目にするが、そば屋は見ない。 ここで雇っている警備員が地元の人間なので、Aはそば屋の在処を聞いてきたと言う。 明日の昼はそばに決定したようだ。 なんだか長閑なようだが、仕事は急ピッチで進んでいる。 限りがあるようでない仕事だ。 ▼夜、アパート近くの居酒屋へ後輩のHと行った。 唯一、歩いていける食事処である。しかし、今日が初めてだ。 いつも、のれんが掛かっていなかったからである。 60過ぎの大将が一人でやっていた。 妙に威勢のいい大将だ。 3.11の震災でやはり被害に遭ったらしく、しばらく店を閉めていたのだと言う。 そんな話をしながら数時間、結局客はオレたち二人だけだった。 ここへはちょくちょく来ることになるだろう。 14(木) 〔福島にもそろそろか〕 ▼暖かい。暖か過ぎると言ってもよい。 急に春めいた感がある。 福島にもそろそろ桜便りの声が聞こえてきたか。 オレにはそんな便りは聞こえない。 そんな雰囲気をよそに花粉は相変わらず激しく飛んでいる。 もういい加減、花粉の便りはいらないのである。 ▼今日も何度か緊急地震速報がけたたましく鳴ったが、そのどれもが不発と言えるくらいの地震だった。 これまでもその様な地震はかなりあるが、だからと言って油断していると痛い目に遭うだろう。 常に油断は禁物である。 この地方を外から見れば、かなりひどいことになっていると思うのだろうが、本人はそれほどでもなかったりするので安心されたい。 電気も水道もガスもしっかり通っているのでオレは幸福者である。 風呂にもちゃんとはいれているのだから、何の文句もない。 この地域にいると、なんら不自由のない環境が申し訳ない気分になるのである。 13(水) 120 〔ここにも避難者はいる〕 ▼ここで働く人にも避難者はいる。 双葉郡から17人が来ており、みな原発事故の被害を受けた人達である。 うちの会社で宿泊も提供しているので、非常に助かっていると言っている。 何より仕事があるのが助かると言うし、金銭面もそうだが、何と言っても身体を動かしていればその間はイヤなことも少しは忘れられると言うのだ。 しかしながら、いつまでも仕事があるわけではない。 この先のことを考えれば、おいそれと解決策が見つかるわけでもなく、ただその日一日を精一杯生きることしか頭に浮かんでこないのが現状だろう。 ▼こっちへ来て始めての洗濯である。 2週間分は持ってきたが、ぼちぼちパンツも底を付いてきたのでついにやりました、洗濯を。 部屋の中にぶら下がりまくる洗濯物のオブジェ。 なんとも壮観な眺めである。 そう思うのはオレだけだ。 12(火) 120 〔レベルアップ〕 ▼毎度のことだが、強風が吹き荒れる。 そしてまた大きな地震。 揺れ出してから鳴るのは携帯の緊急地震警報。 しっかり発生してから鳴るのは如何なものか 最近、そんなのが多い。 なにしろ揺れている。 端から地面を見ていると、なんだかそう言うアトラクションを見ているような、そんな感じさえするのだ。 そんな呑気なことも言っていられない。 どうやら福島原発の事故がレベル7になったらしい。 レベル7だったら、まだ10まで少しあるじゃないか、と思うだろうが、7が最高だと言うから驚きではないか。 こんな最高の7はイヤなのである。 チェルノブイリのレベル7に比べればたいしたことないと言っているようだが、いったい何をとんちんかんなことを言ってるんだ。 レベル7に甲とか乙とかあるのか。 そもそもいま、チェルノブイリなんか関係ないだろう。 いま問題なのは、福島をどうするかだ。 その場しのぎの慰めはいらないのである。 11(月) 〔地鳴りと共にやってくる〕 ▼地震と共に目が覚めた。 この辺は廻りが静かなので、地震の前に地鳴りが聞こえる。その5秒後くらいに揺れるパターンなのである。 現在、昼間は須賀川市で仕事をしている。 郡山のアパートから車でここまで通っているのである。 渋滞はまったくなく、時間も20分少々なので通勤にはずいぶん楽である。 そして、夕方、いきなり来た。 またまたオレの経験したことのない揺れである。 駐車場に停めてある車の列がゆっさゆっさと左右前後に揺れている。 オレ自身も足を踏ん張らないと横に持って行かれそうな感じだ。 地震があったらムービーで撮ろうといつも思うのだが、揺れだした途端、そんな計画は脳裏から吹っ飛んでしまうじゃないか。 あれから一ヶ月だと言うのに、いったい誰の嫌がらせなんだ。 そんな風に八つ当たりしかできないのが実にもどかしいのだった。 今日一日、余震が5回、6回と地鳴りと共にやってきた。 どうかしてるぜ、日本列島。 10(日) 120 〔曜日感覚なし〕 ▼昨日とは打って変わって天気は良いが、それにしてもなんて花粉が多いんだ、ここは。 周囲の山から何の遮る物もなくダイレクトに飛んでくるのだからたまったものではない。 普段、目には来ないオレだが、さすがに今日は目がチカチカする。 放射能のせいではないと思うが。 ▼今日もいつもと変わらず仕事である。 曜日感覚はまったくない。 こんな生活がいつまで続くのか。 オレの知ったことではない。 それでも桜花賞の馬券は買った。 ライステラス本命。 こう言うときだからこそ当たるだろう、と何の根拠もない理屈を付ける。 結果はやっぱり、そうは問屋が卸してくれなかったのだった。 9(土) 〔同じ日本人である〕 ▼雨である。 そのせいでちょっと予定が狂い、テンションが下がり気味となる。 昼飯はと言うと、近くに一軒、ラーメン屋とセブンイレブンがあるだけなので、たいていラーメン屋で食べることとなる。AセットとBセットのローテーションがいつまでもつか。 店で新聞を広げる。久しぶりの新聞だ。 やはり、ほとんどが震災の話題。 その中でも目を引いたのはこんな記事。 「福島県お断り」 記事によれば、福島県から来る車の入店を断るスタンドがあったり、福島ナンバーの車にスプレーで落書きしたり傷を付けたりする輩が数多くいると言うのだ。 オレは声を荒げてこう言いたい。 「おまえらは同じ日本人か」 同じ日本人として恥ずかしいぞ、まったく。 ほとほと呆れて情けなくなるばかりである。 そのうち、長期滞在するオレなんかも、おいそれと戻れなくなるんじゃないだろうな。 是が非でも、帰ってやるからそう思え。 いったい誰に言ってるんだ。 ▼そう言えば明日は桜花賞である。 さし当たって、予想して置かねばなるまい。 大本命が故障と言うことで混戦なのだろう。 もしかして東京は桜満開なのか。 福島はまだその気配すらない。 8(金) 120 〔域を越えている〕 ▼昨晩、ベッドで横になっていたら、携帯の緊急地震速報が鳴った。それと共に建物が揺れだしたので、オレは飛び起きた。 それはまるで、誰かが冗談で建物を揺すっているのではないかと思うほど大きく揺れた。 そんな人間どこにいるんだ。 3.11の東京で経験した地震よりも明らかに大きく、この地域の震度は5弱と言うことだった。震源近くの仙台は震度6強と言うから、かなり強烈だったと想像でき、今日、現地の社員に確認したら、やはり事務所の中はめちゃくちゃになっていたと言う。 話によればこれは余震と言うことだが、どう考えたって余震ってことはないじゃないか。 もはやその域を越えているのである。 ▼オレの部屋にはテレビと言う文明の利器がないので、Hの部屋でボクシング3大タイトルマッチを観賞した。 西岡は見事なKO勝ちを納めたが、真打ち、長谷川穂積は残念ながらKO負け。 やはり、一階級上の壁は厚いのか。 7(木) 120 〔住まいが変わる〕 ▼隣の小学校に挨拶に行った。 校長先生からその当時のことを聞かされた。 避難誘導しようにも真っ先に電気が不通となったため、放送ができなかったこと。そんな中で泣き叫ぶ生徒たち。それはもう大変だったらしい。 現実はいかに訓練通りにいかないか、思い知ったと言っていた。 それでも生徒に怪我人は一人も出なかったことが幸いだったと言う。 今日から新学期らしいが、半分以上の生徒が親に送られて来ているらしい。 まだまだ予断を許さないと言うことだろう。 今日も昼前に一回揺れた。 ▼昨日に続いて今日も非常に暖かい陽気だ。 時折、くしゃみが止まらない。 山に囲まれているため、四方八方から花粉が押し寄せてくるのだ。 オレに取ってはある意味、放射能より恐い。 そんなわけない。 ▼ホテル住まいも昨日で終わり、今日からマンション住まいである。 後輩Hとの二人暮らしだ。 これでちょっとは落ち着くのだろうが、事務所兼用なので、仕事の境目があやふやとなりそうな、そんなイヤな予感である。 6(水) 〔気になる放射能値〕 ▼福島県のラジオでは、定期的に各地の放射能汚染物質測定値の発表がある。 0.02とか、0.3とか言っているが、果たしてそれが何の単位なのか、はたまたどれくらい悪い数値なのか、皆目分からないのだ。 因みにオレがいるところは、2.1と言うことだが、他より10倍も高いのはいったいどう考えれば良いのか、いまいち分からないのである。 そもそも単位がマイクロだったり、ミリだったり、シーベルトだったり、ベクレルだったり、あまりにも範囲が広いことが分かりにくさに拍車を掛けてるのではないか。 そろそろ地域ごとに、明日の放射能予想なんてしたらどうだろう。 やらないだろうけど。 ▼郡山の名物は何かないのかと聞いたら、頭を抱えて考え込んだ。 それほどないのか。 どれくらい待っただろう。あった、あったと目を輝かせて言いだしたのだ。 その名物と言うお菓子の名はこれだ。 「かりんとうまんじゅう」 へえ、そんなのあるんだ。 まんじゅうの中にかりんとうが入っているんだな。 オレはそう確信したが、間髪入れず、違うと反論したのだ。 「かりんとうの中にまんじゅうが入っているんだよ」 ほぉ、それはますます変わってるなと感心したが、それは「かりんとうまんじゅう」じゃなくて、「まんじゅうかりんとう」じゃないかとオレは思うのだ。 ともあれ、機会があれば、食べてみようじゃないか、そのかりんとうを。 5(火) 〔福島の名産〕 ▼ほんとに風の強いところだな、福島って。 ま、場所にもよるんだろうけど。 そのせいで花粉の攻めが非常にきつい一日だっだ。 ▼Y氏は地元出身である。 聞けば福島の名産のひとつは桃らしい。 そして、その桃の中でも究極の桃と言うものがあり、1個何千円とするらしく、いったいそればどんな味がするのか聞いてみた。するとY氏はこう答えたのだ。 「まるで、桃の缶詰を食べてるような旨さですよ」 そうか、そうなのか。 オレは返す言葉もなかった。。 ▼いまだ事務所がなく、ホテルに戻って事務処理を行う。 ホテルがインターネット使い放題なのが助かる。 4(月) 〔福島、そして仙台へ〕 ▼風が強い。花粉がイヤだなと思いながら東北道を走る。 渋滞はない。時折、自衛隊の車両や、復興支援と記されたバスが通る。 福島県に入った。 多くの家の屋根にブルーシートが掛けられている。 ここもかなりの被害があったことが一目瞭然だ。 仙台に向かう。 まだ福島に拠点がないので、それまでの間、ちょっと遠いが仙台支店で手配など行うのである。 道中、雲行きが怪しくなってきたと思ったら雪が降り出した。 気温3度。東北はまだまだ寒い。 夕方、仙台入り。 仙台支店はなかなか凄いことになっていた。 天井が3分1ほど落ちていて、下地がむきだしのままになっているのだ。 さぞかし恐ろしい思いをしたに違いない。 なにしろ、天井がばらばらと落ちてくるのだ。 よくぞ、怪我人が出なかったものだ。 気が付くと、常にふわふわと建物が揺れている。 まるでゴムの地面の上にいるようだ。こっちはそんな状況である。 3(日) 〔出発前夜〕 ▼名古屋のAから電話があった。 Aは、名古屋時代の部下だったのだが、今回の震災チームとして呼び寄せたのである。 当初は、場所が福島と聞いて、かなりの抵抗を示していたのだが、オレが大丈夫だからと無理矢理引っ張ったのである。 「うちにあるマンガ本を持って行こうと思うんですが」 Aはこんなことを言ってきたので、勝手に持ってくればいいじゃないか、と思ったら、どうやら避難所の子供に持って行くつもりらしいのだ。 ダメですかね、と言うので、そんな暇があるかどうかわからないけど、自分の判断で決めればよかろう、と言ったら、やっぱりやめます、と言う返事。 右往左往する性格は相変わらずだ。 明日はいよいよ現地乗り込みである。 なかなか大変そうだが、この未曾有の震災の復興に少しでも携わることができるのが嬉しくも思うのだった。 2(土) 〔調達する〕 ▼先発隊で岩手へ行っているHからメールが入る。 なにしろ大変なのは、電話のやり取りだと言う。仕事の大半は電話なのではないかと思えるほど多いと言う。しかも繋がりにくいと言うからなおさら大変だ。 これはどうしても効率を図らねばならない。Hは社員に向け、できるだけ連絡はメールでお願いしたいと言うメールを発信したのである。 どれほど現地が目まぐるしいことになっているか想像できる。 そんなオレは来週月曜の出発に向け、ありったけの靴下とパンツをユニクロで調達したのだった。 1(金) 120 100 〔人生最大なのか〕 ▼困ったことに、またまたNである。 いよいよ岩手へ出発。 それでは行ってきます、と元気に会社を出ていった。 その15分後、暗い顔でNは戻ってきたのである。 どうしたんだ、おまえ。 やっちゃいました。 聞けば、出発するや否や車をぶつけたと言うではないか。 相手は人ではなく、塀だったのが不幸中の幸いだ。 とてつもなく落ち込むNはぽつりとこう言った。 人生最大のショックです。 これが人生最大って、おまえはいままでどれだけ幸せな人生を歩んできたんだ。 Nの車のドアミラーはガムテープでぐるぐる巻きにされ、力なく会社の駐車場に放置されていたのだった。 byクムラ〜 |
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