◆腕立て日記◆

千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とする。

体力維持か、単なる意地か、長年続けている腕立て伏せ。
ややもすると怠け気味になってくる今日この頃。
自分自身への叱咤も含め、ここに記す。

|めっせ〜じ| 

/31:今日は逃せない /30:この時期の役所 /29:花見にはまだ早い /28:大詰めだが誘惑が多い /27:送別される会 /26:西と東では違う /25:自宅もそうだが会社も /24:今日はこれに尽きる /23:手に付かない /22:再び聞こえる /21:禁断の納戸 /20:連休で一気にやりたい /19:奇跡なのか /18:早くくれ /17:大いなる期待 /16:嬉しい勝利 /15:その時、廃品回収の声が聞こえた /14:今度は必ず /13:今言われても /12:東京なら必要である /11:黒でお願いされる /10:最高に飛んでいる /9:心配である /8:決心する /7:準備しながらWBC /6:新居決まる /5:無駄を受け取る /4:だから貴重だ /3:警察から電話 /2:正式発表 /1:思い出の地/

<2009年 3月>

     ◆腕立伏◆スクワ◆背筋◆腹筋

31(火) 

〔今日は逃せない〕

▼本日、もう一人の転勤者、I瀬が名古屋を去っていった。
寂しい限りである。
そして、明日から一人、名古屋へ転勤してくる者がいる。実質、オレのポストに入る者である。机を明け渡すため、綺麗さっぱり片付けた。
明日から引き継ぎである。

▼今日は絶対に逃せないことがある。
明日は、資源ゴミの収集日なのだ。
したがって、山と積まれた雑誌を処分する最後のチャンスなのである。
それにしても、何なんだろうな、この雑誌の山は。
ジャンルで言えば大きく4つだ。
パソコン、格闘技、車、競馬である。
それらを延々と持ち続けたのだろう。中には20年以上前のものまである始末だ。
もしかしたらけっこう売れるんじゃないの。
そんな暇はない。
きっぱりと処分するしか今は手だてがないのだ。
改めて数えてみると、ヒモで縛った雑誌の束は、ざっと80個はあるのではないか。
と言うことは、ちょっと待てよ。
両手で持っても40往復じゃないか。
エレベーターなしの4階までの階段を40往復だ。
いったい何の修行なんだ。
なにしろ、絶対に逃げることができない修行なのだ。
23時に帰宅するや否や、苦行を開始。
久しぶりにいい汗かいたなあ。
できれば、いい汗は違うことでかきたい。
しかし、やり遂げたと言う充実感は、なかなかのものなのであった。


30(月) 

〔この時期の役所〕

▼昼、転出届を出しに区役所へ出向く。
ここに来るのは相当久し振りのことだ。
何も用事なんかなかったもんな。
それにしても、何だ、この混雑振りは。
なにしろ、駐車場に入るにもかなり待たされたし、中に入れば、もの凄い人の列だ。
あなたたちはいったい何をしにここに来たんだ。
さしずめ、オレと一緒だよ。
この時期の役所は普通にこうなんだろう。
オレが知らなかっただけのことである。

▼社有車の片付けもした。
長年、保管し続けたあんなものやこんなものも思い切って捨てたし、車上荒らしで盗まれ、後日出てきたカバンもこの際きっぱり捨てた。
車が軽くなったことと言ったらない。
こんなに加速が良かったのか、と関心すると共に、閑散とした車内に寂しさもまた禁じ得ないのだった。


29(日) 

〔花見にはまだ早い〕

▼引っ越しの荷造り前に腹ごしらえをしようと、大好きなラーメンを食べに行った。
やまらんやのラーメンである。
たぶん今日が最後になるのだろう。いつものこってり醤油を心ゆくまで味わったのだった。

その後、気晴らしに平和公園へ足を向けた。
桜である。
毎年必ずここに桜を見に来るのである。
このところの寒さだろうか。桜はまだ五分咲きだった。
名古屋を発つ日に立ち寄り、満開の桜を見ることができるだろうか。

さあ、荷造り再開だ。
おっと、その前に競馬だ。今日はG1、高松宮記念なのだ。
オレはテレビの前で、発走を待った。
いったいどれくらい待っただろう。
ふと気付くと、何かざわめきの様なものが耳に入ってきた。
しまった。
すっかり寝てしまいました。
慌てて目の前のテレビを見ると、すでにレースは終わってるじゃないか。
オレの軸馬、ローレルゲレイロはどうだったんだ。
1着だ。
しかし、その喜びも束の間、3着の馬を確認したところでオレの馬券は玉砕となったのだった。
競馬などやっている場合ではない。
荷造りだ、荷造り。
残された日数はあとわずかしかない。こればかりは玉砕されるわけにはいかないのだ。


28(土) 

〔大詰めだが誘惑が多い〕

▼名古屋生活も残すところ一週間となり、いよいよ引っ越しの荷造りも大詰めであるが、はっきり言って、焦り感満々である。
家の中を冷静に見れば、まだまだじゃないか。
気合いを入れ、荷造りを始めた。
あまりにも気合いを入れ過ぎ、時間も忘れ取り組んでいたら、気が付けば夜10時を廻っているではないか。
確か今日は、サッカーがあったのではないか。
ワールドカップアジア最終予選だ。
しかし、こんな時間じゃもう終わっているよ。
だったら、K−1だ。確か、録画予約してあったはずだ。
オレはとっとと荷造りを終了し、K−1観戦へと気持ちを切り換えたのだった。
こんなんで、本当に引っ越しを迎えることができるのだろうか。
明日は、G1高松宮記念もあるし、困ったな。


27(金) 

〔送別される会〕

▼今日は会社の送別会だった。
これまであまりピンとこなかったが、送別会となれば否応なしに、いよいよ来たかと言う思いがするのである。
2次会はカラオケボックス。
いつもはオレが予約している店だが、女の子がずっと前から予約してくれていたようだ。
こんなことがなんだか嬉しい。
この仲間たちとこの様に歌うことももうないだろう。
そう思うとやはり寂しさがこみ上げてくるのだ。
そして、いよいよ名古屋生活も来週一週間でピリオドを迎える。


26(木) 

〔西と東では違う〕

▼西と東では電気の周波数が違うことをご存じだろうか。
このことは、こっちで使えた電化製品が向こうでは使えないと言った事態が考えられるのだ。
しかしながら最近の電化製品は、どっちでも大丈夫と言う物がほとんどであり、取り立てて気にすることもなくなってきている。
だがしかし、気になるものが一つあるんだよ、うちには。
洗濯機である。
この洗濯機、ちょっとどうかと思うほど長持ちしており、関東に住んでいた時分から使っていた代物なのである。
だがしかし、いくら古いと言っても、脱水はローラーでぐるぐる手巻きじゃないから。
そんなことを言っても意味の分からない人がほとんどだよ、きっと。
何が気になるのかと言うと、この洗濯機、名古屋に引っ越して来たときにモーターの周波数交換をしているのである。
と言うことは、関東へ行く今回、再び周波数交換をしなければならないと言うことなのである。
確か、前回は引っ越し屋が手配してやってくれたような気がする。
だが、今回頼んだ引っ越し屋にこのことを聞いてもまったく意味が分からないらしく、埒が開かないので自らメーカーに問い合わせてみることにした。
さっそく、お客様相談センターに電話した。
いくらぐらい掛かるか聞いて見たところ、だいだい1万円くらいだと言う。それならまあいいかな、と思ったが、念のため、古いけど大丈夫か聞いてみた。
型式を教えると、しばらくして返事が返ってきた。
「これは凄いですね、20年物じゃないですか」
「その通りです」
オレは自信満々に答えた。
「で、どうなんです?」と尋ねると、相手はこう言った。
「すでに部品がありません」
ないのか、確かにないって言ったね、あんた。
オレは愕然とした。
そのことが何を意味するのかお分かりだろう。
お別れである。
ついにこの洗濯機との別れの時が来たのだ。
いままでありがとう、洗濯機。
オレは、これからおまえの分まで日本を洗濯するよ。
日本を洗濯って…
オレは、坂本龍馬かよ。
ともあれ、また出費が嵩みそうでめまいがしそうなのだった。


25(水) 

〔自宅もそうだが会社も〕

▼自宅もそうだが、考えてみれば、ぼちぼち会社の荷造りもしなければならないのだった。
これもまた気が遠くなる作業だ。
そもそも異動先にどれだけの荷物を持ち込むことが可能なのか。果たしてオレの机はあるのか。疑わしいばかりだが、なにしろ、できるだけ置いていこう。
たつ鳥あとを濁すだ。
かなり濁しそうなので申し訳ないばかりだが、この際ご勘弁願いたい。
これもまた、「オレがいた」と言うひとつの証なのだ。
いらないと思うけど。


24(火) 

〔今日はこれに尽きる〕

▼今日の話題はこれに尽きるだろう。
藤原紀香と陣内の離婚問題。
そんなことはどうでもいい。
小沢一郎の代表続投。
そんなことに興味はない。
だったらなんだ。
WBCの決勝に他ならないだろう。
もう、しびれたね、フグの毒にあたったくらいしびれたね。
日本vs韓国。
こんなにも緊迫し、盛り上がった試合もないだろう。
9回裏で同点にされた時には、もう死ぬかと思ったよ。
日本の優勝を当然願ってはいたものの、そう簡単に連覇などできないと思っていたのも事実だ。それがなんだ。ついにやっちまったよ、連覇を。
調べてみると、これは史上初めてのことである。
当たり前だよ、WBC、2回目なんだから。
それにしても、ほんとによく頑張ってくれた。
なんだかんだ言って、最後はイチローが締めてくれたしな。
これで気持ち良く、名古屋を後にすることができる。
関係ないけど。
とにかく日本中が嬉しい一日だった。


23(月) 

〔手に付かない〕

▼仕事が手に付かない。それもそのはず、今日はWBC、日本vsアメリカの準決勝なのだ。無理もないだろう。許してくれ。
それにしてもワンセグの便利なことと言ったらないな。何処へいても、歩きながらでも、飯食いながらでも見れるんだからな。お行儀が悪い。
とにかく今日の日本は強かった。アメリカ相手に堂々たる勝利。9対4の激勝だ。
これでついに決勝進出。
相手はなんだかんだ言って韓国だ。数えれば5回目である。
これじゃ、ワールドベースボールクラシックと言うよりも、日韓ベースボールクラシックなんじゃないの。
ともあれ、いまや野球のレベルはアジアが世界最高峰なのではないか。
そんなことを語りたくもなる今大会なのだった。


22(日) 

〔再び聞こえる〕

▼耳を澄ますと、どこからか聞こえて来たのは廃品回収のスピーカーの声である。
先週も来たのだが、廃品を見て貰ったところ殊の外高く、諦めたのだった。
だがしかし、良く聞いてみると、先週来たのとはちょっと違うようだ。
どうやらこんなことを言ってるようなのだ。
「不要となった冷蔵庫。動かなくなったテレビなどありましたら、無料でお引き取りします」
オレは耳を疑った。
なんだって、無料だって?
オレは慌てて家を飛び出し、そのトラックを捕まえた。
そしてオレは唐突に運転手にこう聞いたのだ。
「無料で引き取ってくれるのか?」
すると運転手はにっこりと笑い、こう答えた。
「無理です」
オレはズッコケずにはいられなかった。
いったいそのスピーカーから流れている宣伝は何なんだ。
誇大広告も甚だしいじゃないか。JAROに訴えるぞ。
まあ、何かのっぴきならない事情があるのだろう。
オレはそれ以上の言及はしなかった。
そんなにうまい話がこの時代にあるわけがないのだ。
こうして3連休の最終日も終わってしまった。
いよいよ押し迫って来たなと、果てしなく続く荷造りに身が引き締まる思いでいっぱいなのだった。


21(土) 

〔禁断の納戸〕

▼ホームセンターで荷物置き用のスノコとブルーシートを調達し、荷造り開始。
ついに禁断の納戸に手を付け始める。禁断と言うだけあって、気が遠くなるほどの量である。名古屋に来た当時の段ボールまで出てきた始末だ。
夜、休憩にとエンタの神様のオードリーを見ていたら、いつの間にか寝てしまったらしく、起きたらすでに24時半だった。なんだか寒かったなあ。せめてパジャマに着替えるんだった。
普通に寝とけよ。


20(金) 120

〔連休で一気にやりたい〕

▼3連休の初日。ここで一気に引っ越しの荷造りをしたいところだが、気晴らしに外に出た。
いきなり気晴らしかよ。
朝マックを食べてから、近くの電気屋へ。
ここで兼ねてから欲しかったカーナビを買う。
調査に調査を重ねた結果決めた機種は、GARMINのnuvi250Plus である。
価格は28、000円ちょっと言う格安ナビだが、十分使えそうだ。なんと言っても、もの凄く小さいので、歩きながらでも使えるのだ。
これで、東京の地理対策は万全である。

▼ワンセグでWBCをチェックしながら歩いていたが、見事に日本が韓国に勝利した。
こう言う試合をほんとはじっくり見たいのだけどもな。
これで準決勝の相手はアメリカに決まった。
一足先に、明日、韓国がベネズエラと対戦する。要注目だ。

▼帰宅後、買ってきたおはぎで腹ごしらえし、荷造りを始める。
今日は、ベランダに荷物を積み込み作戦だ。
先立って買って置いたスノコを敷き、その上に段ボールを積み上げた。これで一気に部屋の中はすっきりした。明日明後日でなんとか、満杯の納戸を片付けたい。しかし、見れば見るほどやる気がなくなるから不思議だ。


19(木) 

〔奇跡なのか〕

▼これは奇跡なのか、それとも当然の結果なのか。
WBC、日本は正念場のキューバ戦を迎え、前回に続き、完封勝利と言う離れ業をやってのけたのだ。
ほんとに凄いな、岩隈って奴は。
これで決勝ラウンド進出決定である。
何とも嬉しいじゃないか。
明日の1位決定戦は、またも韓国戦である。
昨日の雪辱を是非とも晴らして欲しい。

▼名古屋でお世話になっ人達に一気に電話し、名古屋を離れることを告げた。
夜は、先週に引き続き送別会であった。
送別会と言うか、実際は定例会である。
その定例会をぶらぼー会と言う。1、2ヶ月に一度、3人が集まって近況報告する定例会、それが、ぶらぼー会なのである。
しかし、この会も、オレが名古屋を離れることにより、今後の開催が難しくなった。
そう思うと無性に寂しさが募る。
これが最後ではない、と約束し、締めたのだった。


18(水) 

〔早くくれ〕

▼WBC、日本は韓国に痛い痛い一敗。
なにしろ、チャンスの後にあと一本が出ない。実力差はそれほどない。いや、むしろ優っているはずだ。じゃあ、原因は何なんだ。
気迫に他ならないだろう。
端から見ていても気迫は韓国の方が優っているように感じる。
とりわけ、あの場面で登板した岩田のあの気の抜けた感じはなんだ。
前回の登板といい、まったくストライクが入らないのだ。浮き足立っているのが目に見えて分かる。そもそもなぜあそこで岩田なんだ。
采配といい、試合運びといい、ちぐはぐさが感じられた試合であった。
なにしろこれで後がなくなった。
いや、逆に言えば、次勝てば決勝ラウンドに行けるのだ。
だがしかし、相手はキューバだよ。
普通に考えれば、2回続けて勝てる相手ではないのだ。
こうなったら、奇跡と言う名の神頼みで勝ちを信じるしかない。

▼もう一社の引っ越し屋の見積りが来る。昨日の業者よりも数段安かったとは言え、今一つ納得できなかったので、もう一声値引き交渉し、やっと決まった。
そしてオレはすぐさま要求を出した。
米はいらない。早く、段ボールをくれ。


17(火) 

〔大いなる期待〕

▼先日下見に来た引っ越し屋から、なかなか見積りが来ないので、イラっとして催促したらやっと来たのはいいが、その記された金額を見てオレは思った。
やる気がないな。
だってそうだろう。
誰がこんな金出せると思ってるんだ。
怒りを通り越して、呆れてしまいました。
なにしろ、いつもは大盤振る舞いなオレが呆れるくらいなのだ。
大盤振る舞いはウソと言うか、無理だけど。
時期が時期だけに強気の虫も最高潮に達しているのだろう。いま、掃いて捨てるほど物件があるに違いない。だがしかし、こんなふざけた見積りをしてると、次から依頼がなくなるぞ、とオレは口が甘酸っぱくなるほど言いたい。
甘酸っぱいのはどうなんだ。
ともあれ、良かったよ、もう一社頼んどいて。
オレはその見積りに大いなる期待を寄せるのだった。


16(月) 

〔嬉しい勝利〕

▼WBC、日本がキューバに5対0で負けている。そんな夢を見ていた。起きてテレビを付けたら、やはり5対0だった。しかし、勝っているのは日本だ。
更に最終回で1点を追加し、終わってみれば6対0の完封勝利。キューバ相手にこの結果はうれしい誤算である。とりわけ、先発の松坂が実に素晴らしかったらしい。
そんな清々しい朝であった。
それにしても、日本投手陣の層の厚さと言ったらないな。
松坂、岩隈、藤川、ダルビッシュと、まさに日本が誇る投手陣の面々である。
注目の次の相手は、韓国に決まった。
またかよ。
今大会3回目である。
前回は、1対0と惜しくも敗れたが、今度はきっとやってくれるに違いない。

▼とにかく荷物が多い。冷静に見ても、とても部屋の中に置き切れそうにないのだ。
もともと中にあるものがなんで置けなくなるのかと言う摩訶不思議な指摘はこの際置いといてもらおう。とにかくどうにかしなければならない。
そこで、目を付けたのはベランダだ。こうなったら中だろうと外だろうと関係がない。
さっそく、荷物を載せるスノコと上に掛けるブルーシートを調達した。これでさし当たっては大丈夫だろう。
それよりも、早いとこ引越屋を決めなきゃな。
肝心の段ボールがもうないのだ。


15(日) 

〔その時、廃品回収の声が聞こえた〕

▼外から、廃品回収のスピーカーの声が聞こえる。いつもなら気にも留めない音だが、今は違う。家の中は廃品だらけだからだ。
慌てて外に飛び出し、その声の主を捜した。
100m先の側道を、とろとろと走っている軽トラを発見。オレはダッシュでその軽トラックに駆け寄った。
「ちょっとストーップ!」
そう言いながら駆け寄り、軽トラの中を覗くと、いきなりチワワである。
「こんチワワ」
そんな洒落が、犬に通ずるわけがないだろう。
しかし、ちゃんとその隣におじさんがおりました。
「どんなものを回収してくれるの?」
「何でもやってます」
「じゃあ、壊れたテレビとか、雑誌とかも大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
じゃあ、と言って、家まで見に来て貰うことにした。
玄関に山と積まれた雑誌を見て、おじさんは言った。
「けっこうありますね」
「まだまだ出ますよ」
そう言えば肝心なことを聞かねばなるまい。
いったい料金はどうなってるのか、である。
すると、おじさんから驚くべき言葉が発せられた。
「キロ、1000円でやっております」
なにぃ!キロ1000円だって?
その言葉を聞いて、オレはすっかり諦めた。
だってそうだろう。ここに積まれた雑誌は、一くくりでも優に4、5キロはあるだろう。それがいったい何個あると思ってるんだ。さし当たって10個はあるぞ。計算しなくたって、それが莫大な金額になることは明白だ。
昔は無料だった上に、チリ紙までくれたのにな。
今の世の中、そんなに甘くなかった。
そんなことを思いながら、おじさんにはきっぱり帰ってもらいました。

午後、引越屋が下見に来た。
米を土産に持ってきたが、そんなものいらないから段ボールの一つでも持ってきて欲しかった。

今日も晩まで荷造りだった。それにしてもこの体中の痛さはなんだ。
まるで自分の身体じゃないみたいにもっさりしている。
そんなわけでまだまだ先が見えないのだった。


14(土) 

〔今度は必ず〕

▼引っ越しまで残すところ3週間あまりとなった。
荷造りもピッチを上げねばなるまい。
それにしても、なんだろうな、このゴミは。
まるで家の中の半分はゴミではないかと思うほどだ。
相変わらず雑誌は次々と発掘されるし、いままで取り溜めたビデオテープも何百本と出てきた。
これに懲りて新居ではまめな整理整頓を心掛けようと誓うのだった。
無理だけど。


13(金) 

〔今言われても〕

▼総務の部長から電話が来た。
いったい何だと言うのだろう。ちょっとイヤな予感がした。
そもそも、総務部長と話すのは、かなり久しぶりのことである。
あれは確か、TBSの筋肉なんとかに出場が決まり、会社の看板を出して出場しても良いかと許可を得るため連絡して以来なのではないか。
ともあれ、何かのっぴきならない話があるのではないか。
例えば、転勤はなかったことにしてくれ、とか。
そんないい加減な話はない。
オレは覚悟を決め、聞いた。
部長の話はこうだった。
「鷺沼に会社のマンションがあるんだが、君、そこどうかね」
そこどうかね、と言われてもなあ。先週決めたばかりだぞ。
ここは何とかうまく断らねばなるまい。
「確かに、場所はけっこういいですよね。だけども問題は車です。たぶん、そこは駐車場が高いですよ。会社の車の他に自分の車もあるんですよ」
すると部長はこう言った。
「自分の車もあるのかね。確かに駐車場は高いね。2万5千円くらいするんじゃないだろうか。それじゃ無理だね」
「はい、どうもすみません」
かくして、この話は終わったが、危なく面倒なことになるところであった。
でも、もしかしたら超激安で貸してくれたかも知れないな。

▼今日は業者主催で送別会をしてくれた。
こんな時は昔話に限る。もうほとんど忘れかけていた様な迷惑話をほじくり出したりして、大いに盛り上がった。
ふと顔を上げると、こっちに向かって笑顔で挨拶をする人がいる。
良く見ると、得意先だった。
慌ててオレも頭を下げ挨拶した。
するとその得意先はこう言ったのだ。
「東京へ行っても頑張ってください」
思わず、ありがとうございます、と返事をしたが、どうしてオレの転勤を知っているのだろう。それがどうしてもわからないのだ。


12(木) 

〔東京なら必要である〕

▼さて、4月から東京での生活となるわけだが、以前住んでいたことはあるとは言え、すでに遥か昔のことであり、したがって今心配なのは道である。
愛知県とは比べ物にならないくらいに道は多く、しかも入り組んでいるし、さらに渋滞は今も変わらず凄いのだと言うから、しばらくは慣れるまで苦労しそうである。
そこで俄然欲しくなってくるのが、カーナビである。
これまでは、手で捲るナビ、つまり地図と、勘ナビ、つまり自分の勘に任せ適当に走ることでなんとか凌いで来たのだが、如何せん首都圏の場合はそう簡単にはいかない。
道が分からないこと、それは精神的な負担もかなりなものとなるだろうから、その軽減の意味でも、カーナビは有効であると考えられるのだ。
いまやカーナビも安くなった。ポータブルナビなんて言ったら、機能は限定されるものの、3万も出せば買えるものもあると言う。
本当は、あまり文明の利器に頼りたくないんだけどな。
どうせオレは日系北京原人だよ。
ともあれ、有るものは有効利用する。これこそ、日系北京原人が現代を生きる上で必要なことなのだ。


11(水) 

〔黒でお願いされる〕

▼送り状にサインを求められ、赤ボールペンしかなかったので、それでサインした。すると、運転手はこう言った。
「すいません、黒でお願いします」
そうか、やっぱり赤はダメか。
仕方ないので、近くにいた人に黒のボールペンを借り、さっきした赤のサインの上に黒でなぞった。
運転手は、ありがとうございます、と言って、満足そうに送り状を受け取ったが、この後、思いも掛けないことがオレの身に待ち受けていた。
「これ控えです」と言って、オレにくれたのは、上の紙だ。
運転手が喜んで持って行ったのは、まぎれもなく複写された方である。
つまりこう言うことだ。
赤も黒も関係ないじゃん。
何か深い意味でもあったのだろうか。
あまりもの奥の深さに、その意図がオレにはさっぱり分からないのだった。


10(火) 

〔最高に飛んでいる〕

▼天気はすこぶる良いものの、風がことのほか強く、こりゃなんだ、ってなくらい花粉が飛んでいる。
目には見えないが、飛びまくっているのは明らかに花粉である。
似ているが絶対に黄粉(きなこ)なんかではない。オレが保証する。
なにしろ、今年、最高飛散量なのではないか。
今までまったく意に介していなかったI瀬も、ついに花粉症デビューとなったのだ。
おめでとう。
同じ苦しみを分かち合える同志が一人増えたことはまことに喜ばしい。
しかし、そのI瀬とももうじきおさらばだ。
果たして東京の花粉事情はどうなっているのだろうか。
もしかしたら、花粉よりももっと凄いものが浮遊しているのではないか。
例えば黄粉とか。
黄粉祭りなのか
そんな祭り、オレは聞いたことがないぞ。
でも、花粉祭りならありそうだな。
そんなことをしみじみと思いながら、花粉を目一杯かぶる一日なのだった。


 9(月) 

〔心配である〕

▼沖縄のMから電話が入る。
今回、Mも異動なのである。行く先は札幌。つまり沖縄から札幌である。
いったいどんな異動のさせ方するんだ。
なにしろ日本の端から端である。移動するのも大変だ。聞いたところによると、引越しの荷物が北海道に着くまで1週間から10日掛かると言うではないか。
同じ日本かよ。
その間、家族はどうするんだ。
ホテル住まいである。
なんてリッチな気分なんだ。
そんな悠長なこと言ってる場合ではない。早く落ち着きたいと言うのが本音だろう。
それに比べれば名古屋から東京なんて車で日帰りコースだ。
それだけでも感謝せねばなるまい。

新居の電話番号も決まり、インターネットの移転手続きも済んだ。引越屋の下見も頼んだし、駐車場の解約もした。
手配上は順調に行っているが、非常に心配なことがある。
いったい、部屋の修繕費はいくら掛かると言うのか。
なにしろ長年使っているのだ。部屋のどこをどう見たってくたびれているじゃないか。
いったいどんな査定が出るのか、恐くもあり、楽しみでもある。
どっちなんだよ。

▼WBC、日本は1位通過を賭け、韓国と再び対戦。
端的に言って、投手戦である。つまり、両チームとも打てないのだ。
そうこうしてるうちに韓国1点リードのまま、ついに最終回へ。必ずや打ってくれると信じていたが、その思いも虚しく、日本は最終回も3者凡退で終わった。
がっくりである。
こうして日本は2位でアメリカラウンドを迎えるわけだが、いきなり強豪キューバ戦を迎える。その道は非常に険しいと言えよう。
だがしかし、応援し続けるしかないのだ。


 8(日) 

〔決心する〕

▼百均で引越用のグッズを調達し、荷造りを始める。
それにしても改めてその雑誌の多さに呆れる。
種別すれば主に、パソコン、競馬、車雑誌である。
整理をするに連れ、出てくる雑誌は次第に古くなってゆく。
平積みだからだ。
終いには10年以上も前のパソコン雑誌まで発掘される始末だ。
懐かしいなあ。
感慨深げにページをめくっている場合ではない。
なにしろそれは、まるで地層である。
古い物はその都度廃棄していけばいいのだが、如何せん平積みである。
そびえ立った雑誌の山はそう簡単には崩せないのだ。
そしてオレは決心する。
新居で平積みはやめようまい。
せっかくなので名古屋弁で誓ってみました。


 7(土) 120

〔準備しながらWBC〕

▼引越の準備を始めてからと言うもの、すっかり足の踏み場がなくなってしまっている。日課だった腕立て伏せや腹筋もままならない。このままでは身体が鈍ってしまいそうだ。しかし、鈍ってはいられない。荷造りはこれからなのだ。ともあれ、あまりもの荷物の多さに、気が遠くなりそうである。

新居が決まったことで、様々な手続きが必要になってくる。
まず、引越屋の準備だ。さっそく見積りの予約をした。
そして、インターネットの手続き。面倒なのは、NTT西日本とNTT東日本ではまったく会社が違うことだ。
東日本にフレッツ光の注文をしても、西日本の廃止は自分でしなければならないと言うではないか。
なんとかならんのか、これ。
しかも、電話しても混んでいてなかなか繋がらない。
まったく面倒である。

さらに、こっちで借りている駐車場の解約の連絡をしたら、1ヶ月より以前にしなければならなかったらしく、したがって4月いっぱい、約1ヶ月分余計に払うことになってしまった。
その間、オレがいないことを良いことに、他に貸したら怒るぞ、このぉ。
この様にまだまだ手続きをしなければならないことはあるはずだが、それを列記するだけでも気が遠くなるよ。

▼ワールドベースボールクラシックWBCは、日本対韓国を迎えた。
韓国戦となると応援する方も非常に気合いが入る。しかも今日勝てば、第1ラウンド通過なのだ。
そんな不安をよそに、1回から日本はエンジン全開だ。
なかでもイチローが絶好調である。前回の中国戦ではまったく打てなかったイチローだが、今回はまるで人が違ったように打ちまくった。とりわけあの場面で出した、バントヒットにはもうしびれたね。
終わってみれば、14対2、7回コールド勝ちだ。
そもそもWBCにコールドがあったなんて知らなかったぞ。
韓国もさぞ、コールドスリープしたい気分だったのではないか。
久々に強い日本を見た。そんな気分の良い試合だった。
しかしながらまだ油断はできない。1位通過をかけ、もう一度韓国との対戦が予想されるのだ。心配なのは今日の大勝による反動である。
大勝ちしたあとは、たいていしょぼくれると言うのがパターンなのである。


 6(金) 

〔新居決まる〕

▼朝から生憎のどしゃ降りである。
そんな中、家さがしのため、東名高速で東京へ向かう。
予定よりも1時間ほど遅れてしまったが、無事、不動産屋へ到着。平べったいアイドルの出迎えを受けた。
担当のS氏より何物件か出してもらい、その中から3つほど見に行くことにした。
それぞれ惹かれるものがあったが、最後に見た物件が気に入り、結局ここに決めることにした。駅から7分となかなか便利だし、周辺にはショッピングセンターなど充実しており、生活にも困らなそうだ。
聞くところによると、S氏はゆくゆく会社を辞め、この地にカフェを開くのだと言う。必ず行くからと言う約束をし、無事、手続きも終了。これで来月から晴れて東京都民である。
こうして一仕事終えた爽快な気分で再び名古屋へ帰還した。
明日から引越準備も本格化である。


 5(木) 

〔無駄を受け取る〕

▼警察へ行き、拾得物を受け取りに行った。
2ヶ月前に車上荒らしで盗られたカバンである。
係官が持ってきたカバンは、まさしくそのカバンだった。
触ってみると、実に湿っぽい。中を見れば、車の雑誌も、競馬ブックも、フロッピーも、何もかもずぶぬれじゃないか。
案の定、ろくなものが入っていない。
聞いたところに寄れば、近くの駐車場に放置されていたらしい。
係官に、こんなのいらないと言っても、持って行ってくれと言う。
しょうがない、持って帰るか、と部屋を出ようとすると、ちょっと待って、供述調書を取るからと引き止められた。
係官は机に向かい、黙々と供述書を書き始めた。
そして、あっと言う間に3枚の供述書が作られたのだ。
考えてみればオレはたいした供述をしていない。
凄いテクニックである。
「私が作った供述調書を読み上げますから聞いていてください」
そう言うと、係官は早口でそれを読み上げた。
読み終えると、これで良いですか、と言う。
けっこう大袈裟な言い回しが目立ったが、それじゃダメですなんて言えるわけないじゃないか。
それよりもオレは早くこの無駄な時間から脱出したかった、それだけなのだ。
こうしてオレは、拒否できなかった無駄なカバン2個を両手にぶら下げ、無駄な時間から脱出したのであった。


 4(水) 

〔だから貴重だ〕

▼昨日、なくしたと嘆いていたブラックシリカのネックレスは車の中に落ちていた。
奇跡の復活である。
そんな大袈裟なものじゃないけど。
それでも、オレに取ってはやはり貴重だ。
以前、予備を買っておこうと、買った店に行ったがなく、そのうち入るだろうと思いきや、それからと言うものお目に掛かったことがない。
だから貴重だとオレは言いたいのだ。
そんなに気張ることかよ。
そもそもブラックシリカとは何なんだ。
確か、説明書きには、半永久的に赤外線を発する鉱石とあったのではないか。
それが身体にどういいんだ。
その辺の細かいことを聞かれても困りますが、すでにこれなしでは落ち着かないことになってしまっている。
簡単に言えば、おまじないである。
ただ、先ほどから言っている通り、何に効くおまじないかはよく分からない。


 3(火) 

〔警察から電話〕

▼警察からオレに電話があった。
なんかやったか、オレ。
そう頭の中をよぎったものの、まったく思い出せない。
しかも携帯電話である。これは何かただ事じゃないぞ。オレは覚悟を決めて言った。
僕は犯人じゃない。
いきなりそんなことを言う奴もいない。
そんな心配をよそに警察はこう言ったのだ。
見つかりました。
どうやら落とし物が見つかったらしい。とすると、今朝なくしたばかりのブラックシリカのネックレスか。
いつも身につけていたのだが、今日に限ってカバンに引っかけたまま家を出てしまい、気が付いた時にはすでになかったと言う、なんとも残念な出来事だったのだ。もしこれだとしたら吉報だ。
だがしかし、落とし物届も出してないのにそんな吉報が来るはずないじゃないか。
だったら何だって言うんだ。
オレは怪訝そうに尋ねた。
何が見つかったのでしょうか。
カバンです。
そう言われた途端、思い出した。
少し前に車上荒らしにあった際、なくなっていたカバンだ。
なくてもまったく不自由がなかったので、すっかり忘れていたよ。
ごめんな、カバン。
なにしろ、明日取りに来て欲しいと警察は言う。いらないと言っても取りに来いと言う。
寄りによってこの引っ越しで大変な時に、また荷物が増えてしまうのは、少々困りものなのだった。


 2(月) 

〔正式発表〕

▼今日、正式に人事異動の発表があった。
もしやと思ったが、やはりそこにオレの名前はあった。
なけりゃないで驚くけど。
さし当たって、住むところが決まらなければ先に進まない。
それから引っ越しの手配だ。
そういや、粗大ゴミはいったいどうすればいいのか。インターネットの手配のタイミングはどうするんだ。住所変更は何があったか。考えれば考えるほど、やる気がなくなるのだった。


 1(日) 

〔思い出の地〕

▼大須アメ横へ繰り出す。名古屋の思い出の地代表となるであろうところだ。
とりわけ、パソコン関連の部品調達には何度来たか知れない。本当に重宝したエリアである。
しかし、いよいよここともお別れである。

▼さっそく、不動産屋に電話し、物件を探してもらうことにしたが、住む場所自体がまだまだ決めかねている状況である。
上を見れば切りがないし、下を見れば見たで、やはりそれなりの環境なのである。
住めば都とは言うものの、やはり最低限の生活環境は確保したいと思う。しかしながらその辺のところはやはり現地に実際に行ってみないことにはなかなか分からないものである。
今週末、現地視察に行こうと思っている。

▼ホームセンターへ行き、引っ越しグッズをいろいろと調達。
さあ張り切って片付けを始めよう、と帰宅するや否や、こともあろうに寝てしまった。起きたらすでに23時。
どうやら身体が拒否反応を示しているようだ。



byクムラ〜




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