千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とする。
体力維持か、単なる意地か、長年続けている腕立て伏せ。
ややもすると怠け気味になってくる今日この頃。
自分自身への叱咤も含め、ここに記す。
/31:早くなっている /30:ガッチャマンに賭ける /29:日が短い /28:効きたかった /27:木の下をうろうろする季節 /26:こんな日曜 /25:下がるガソリン /24:生きて帰る /23:言葉の壁 /22:開かない /21:待ちに待った番組の復活 /20:時期尚早 /19:シートカバーを付けよう /18:絶妙の命名 /17:次期Windows /16:文字に難がある /15:北の土産は /14:休み明けである /13:友人のところへ /12:アルファに乗る /11:至難の床屋 /10:乗り切る /9:平和な職場 /8:もう冬支度なのか /7:大事なのはいたわりである /6:乱立するビデオデッキ /5:結果発表、そして結果を待つ /4:G1前哨戦 /3:人にはそれぞれやり方がある /2:切実な話を聞く /1:可哀想な鏡/
<2008年10月> ◆腕立伏◆スクワ◆背筋◆腹筋 31(金) 60 100 〔早くなっている〕 ▼10月も今日で最終日となり、残すところあと2ヶ月となった。 ほんとに早い。 なんだか、毎年同じ事を言っているような気もするが、実際のところ、ほんとにそう思うのだからしょうがないし、なんだか、その時間の経ち具合が年々早くなっているような気がしてしょうがないのである。 もしかして、ほんとに早くなってはいまいか。 昔の1日と、現在の1日とは進む度合いが違っているのではないかと言うことだ。 つまり、このまま時間の流れが加速していけば、最終的にはゼロ、つまり時間がなくなってしまうのではないかと言う、そんな心配をしてしまうのだ。 ただでさえ、1日30時間欲しいと思っているくらいなのに、もしそうなったら、忙しいどころの騒ぎじゃないな。 これ以上、過酷な労働はイヤだよ。 そんなどうしようもない心配もしたくなる、10月の終わりなのだった。 30(木) 120 100 〔ガッチャマンに賭ける〕 ▼Y浅の机の上に整然と並んでいるのは、ガッチャマンの面々の皆さんである。 現在3体、少しずつ増えているのだ。 女子社員N美はそれを実に興味深く見ている。 それはどうやら、缶コーヒーのおまけに付いてくるフィギュアらしく、しかも会社のビルの1階にある自販機で買ってきたと言うから、それを聞いたI瀬は、じゃあオレも、と意気込んで買いに行った。まもなく、I瀬は非常にがっかりした様子で缶コーヒーを握りしめ戻ってきた。 どうした? もしかして、みみずくの竜が出て来ちゃったか。 因みにみみずくの竜とは、ゴレンジャーで言えば、キレンジャーであり、平たく言えば、でぶっちょ3枚目キャラである。 したがって、これが出てきてもちっとも嬉しくないよ。 だがしかし、それ以上の予想外の結果がI瀬に待ち受けていたのだ。 いったいどうしたと言うんだ。 I瀬はぽつりとこう言った。 付いてませんでした、ガッチャマン。 なんと、I瀬が買った缶コーヒーにはおまけが付いてなかったと言うのだ。 そんな理不尽なことってあるのか。 人はそれをこの様な言葉で表す。 ハズレ。 しかし、Y浅にはハズレがない。 まるで何事もなかったかの様に当て続けるY浅が、何か神々しく見える。 ベルク・カッツェ、みみずくの竜、燕の甚平、と順調に、しかもラインナップの下から順番に出ているのである。実に見事だ。 このまま当たり続ければ、次に出てくるのは白鳥のジュンだろう。 そのあとコンドルのジョー、そして大トリ、まさに大トリは、大鷲の健と続くはずだ。 果たして、パーフェクトなるか。 N美はそれが楽しみでしょうがないのだ。 29(水) 60 100 〔日が短い〕 ▼ここに来て急激に日が短くなった気がする。17時の時点ですでに夕方然としているではないか。 暦を見ると、10月も残り2日である。 どうりで日も短くなるはずだ。 しかしながらオレの服装はと言えば、いまだに夏と同じである。 下は、夏冬通してズボン一枚と言う出で立ちであるから1年中変わり様がないが、上はいまだに二枚である。 そんなオレの服装もそろそろもう一枚いっても良いのではないか。 巷からもそんな声が聞こえて来そうなのだ。 ついにオレ的衣替えの季節到来か。 オレ的どうでもいい話である。 28(火) 120 100 〔効きたかった〕 ▼これは効くよ、と言って友人がお試しに一個くれた鼻炎薬を小銭入れの中に入れ持って歩いていた。 そして今日、コンビニで小銭入れの中をふと見た。 なんだこりゃあ。 粉々である。 なんと錠剤なのに、すでに錠剤ではない。かと言って、顆粒でもないし、ましてや液体なんかでもない。 そんなことはどうでもいい。 思わずそのまま口の中に入れようかとも思ったが、如何せん、いまは花粉の時期ではないし、風邪も引いていない。 仕方なく、中身は処分したわけだが、だったらその辺の薬局で買えばいいじゃないかと思うだろう。しかし、その辺の薬局でこれと同じ薬がないのはすでに調査済みだ。 友人に聞くところによれば、眠くならないのに良く効く、なんとも夢のような薬だと言うのだ。 しかし、悲しいかな、試すことなく決別してしまった。 いや、諦めるのはまだ早い。いつどこでお目に掛かるかも知れないのだ。 そのときのために、空き殻は小銭入れに入れたまま持っておこう。 それが何か分からなくなるまで。 27(月) 60 100 〔木の下をうろうろする季節〕 ▼この時期になると良く目に付く光景は、道路沿いの木の下をうろうろするおばちゃんの姿である。 いったい何をしているのか。 よもや毛虫を採取しているわけではないだろう。すでに時季はずれである。 その前に何のための毛虫だよ。 何をしてるのかと言えば、間違いなくこれである。 ギンナン拾い。 なにしろ拾う姿は一心不乱であり、ややもすれば車道にまで出てきてしまっている始末である。 まさにそれは、命懸けのギンナン拾いであるが、運転するこちらとしてもその側を通るのは気が気じゃないよ。 いつ、こっちに飛び出して来るかも分からないのだ。 しかし、ギンナンのためであればそれも本望なのだろう。あの香しい香りに一度魅せられればそんな気になるのかも知れない。 それにしてもなんだろうな、あのギンナンに対する執着心は。 下に落ちてるギンナンを拾うくらいならまだいい、いったいどこから持ってきたのか、何メートルもある棒で突っつく人もおり、そんな光景をじっと見ていると何かしらイライラが募り始め、いっそ木に登って揺すってやろうかと思うくらいである。 もし、木を揺すって、ぼたぼたと雨のようにギンナンを落とせば、これはもうヒーロー間違いなしだろう。 道行く人は、木の上にいるオレに向かって、こう言うのだ。 あっ、ギンナン仮面だ。 いつかぶったんだよ、仮面。 なにしろ、人々から、ギンナン仮面として崇められることになるのは間違いない。 だがしかし、木に登るのは中学までにしておけ。 この年になってまで木に登って揺するのは、何とも言えず恥ずかしいからな。 26(日) 〔こんな日曜〕 ▼朝から雨模様であったため、これと言ってすることもなく、ふらっとショッピングセンターに行ったらもの凄い混み様だった。ドラゴンズセールである。残念ながら昨日、中日ドラゴンズはクライマックスシリーズで敗れ去ったわけだが、店内はそんな残念感など微塵も感じさせないほどの活気である。 そもそもオレがここへ来たのはドラゴンズセールが目的ではない。休憩所のでっかいテレビで競馬を見ようと来たのだ。菊花賞である。危うい一番人気として注目していたオーケンブルースリがまったく危うさなど感じさせないまま快勝し、オレの馬券は見事に外れた。昨日、運良く当たった儲け分はすっかりこのレースでなくなった。 したがって、今週は馬券を買ってなかったことにしておこう。そう思えば少しは気持ちも楽になると言うものだ。競馬とはこんなものである。 ▼夜は、立ち読みのため本屋に立ち寄る。 不意にここでかねてから疑問に思っていたことが解決した。 東京の環状線は7号と8号しかないようだが、1号から6号はいったいどうしたんだ。 そんな疑問であったが、たまたま手に取った本にその答えがあった。 1923年の関東大震災後に都市整備のため、このときすでに8号までの環状線が計画されたらしいのだ。しかし、その計画途上に世界大戦が始まり、その計画は頓挫となった。再び計画が動き始めた時、すでにぐちゃぐちゃになった道路の中で現実的に完成できそうだったのは、環状7号と8号だけだった。そんなことらしい。 へぇ、と感心しても、こんな知識はすぐに忘れてしまうだろうから、取りあえずここに記しておこうと思った、そんな日曜であった。 25(土) 〔下がるガソリン〕 ▼ガソリンの価格が下がり始めた。 現在会員価格でハイオク151円。 一頃、200円を付けるスタンドがあったことを考えれば、ずいぶんと下がったものだ。 誰だ、このままいけば300円の可能性もあり得るなんて言った奴は。 オレも日記に書いてたりして。 考えてみれば、一番高いときに北海道まで行ってたわけか。それはそれで致し方あるまい。 ともあれ、これでひとまず安心してドライブに勤しめると言うものである。 それよりも何よりも、これから先、本格的な冬を迎える北海道の故郷もホッと一安心と言ったところだろう。 だがまだまだ本当の安心はできない。またいつどこで悪い奴が何か悪いことをたくらんでるかも知れないのだ。 オレは、悪い奴が嫌いである。 オレ自信が悪い奴かどうかは別にして。 24(金) 120 100 〔生きて帰る〕 ▼死ぬかと思ったと言うのは、Yである。 100キロを超す巨体でいったい何を言っているんだ。 聞くところによると、東名高速の工事渋滞を避けるために、下道を走ったのだと言う。下道と言っても、それは次第に上り坂となり、いつしかすっかり夜も更け、気が付けば分けの分からない山道に入ってしまったと言うのだ。 なにしろいまどこを走っているのかも分からないし、なんと言っても心細いのは、まったく前後に車がいない事だったと言う。 しかも、車一台やっと通れるかどうかと言うような道である。 もしここで前方から車が来てしまったら如何ともし難い。でも寂しいから来て欲しい。なんとも言えないジレンマだ。 まずもってこの先に何があるか分からないし、果たしてこのまま行って道があるのか。迷わず行けよ。行けばわかるさ。い〜ち、に〜ぃ、さ〜んっ、だぁ〜っ! 猪木になっている場合ではない。 この先、行き止まりだったら目も当てられないし、見れば携帯も圏外だ。こんなところでエンコなんかしたら、車を背負って歩くしかないじゃないか。 そんなバカなことを考えながら山道をひたすら走ったと言う。 そしてついに到着した。 山頂に着いてしまいました。 その先が下り坂になっていることから、それは明かだ。 通常、山頂まで来れば、ヤッホーのひとつでも奏でたいところだろうが、もうすっかり夜だし、精神的にもそんな余裕はまったくない。 いまはとにかくこの山道地獄から抜け出したいばかりなのだ。 こうなったらこのまままっすぐ下るしかないだろう。 再びひたすら山道を走り続ける。一歩間違えれば谷底に真っ逆さまと言うようなタイトな道だ。それほど恐怖感を覚えないのは、夜の暗闇が功を奏しているな、こりゃ。 いったい何時間走っただろうか、ついに前方に明かりが見え始めた。 このときまっさきに思ったこと、それは、生きて帰って来れたことの喜びであったと言う。 「急がば回れ」 こんな時に戒める言葉はこれに尽きるが、それにつけてもまったくもって大袈裟すぎるよ。 23(木) 60 100 〔言葉の壁〕 ▼名古屋に住んでいるのだからしょうがないと思いつつも、どうしても、言葉の壁というものにぶつかる。 なんなんだよ、「うしなかす」って。 女子社員のI田が電話でのやり取りの際、不意に発した言葉である。 それを聞いた周りの連中の目は、みな?? マークだ。 なにしろここ名古屋育ちのN美はおろか、生粋の愛知県人、知多っこのS木も分からないほどなのだ。 しかし、I田にまったく悪びれる様子はない。 悪びれる必要はないんだけれども。 とにかく、それは普通に使う日常の話し言葉だと譲らないのだ。 よくよく聞くところによれば、うしなかす、とは、無くしてしまうと言う意味らしい。 だったら、普通に、「無くしちゃった」でいいじゃないか。 それが方言なのである。 夕方、生まれも育ちも名古屋のK田が帰ってきた。 I田に取っては最後の望みである。 さっそく聞いてみた。 「うしなかす」って知ってるか。 「知ってるよ」 おぉ、さすが名古屋人だ。I田もやっとホッとした表情を見せた。 だがしかし、安心はできない。なにしろK田だ。 いままでどれくらいのボケをかましてきたか、知れたもんじゃないのである。 オレは念のため聞いてみた。 「じゃ、意味を言って見ろ」 K田は自信満々にこう答えた。 「うしなかす、って、牛の様に泣かすってことでしょ」 I田の希望は打ち砕かれた。 そもそも、牛の様に泣かすって、いったいどんな状況なんだよ。 モウモウモウモウ泣かれたんじゃ、ただオロオロするしかないじゃないか。 なかなかの泣かせぶりである。 そんなことを言ってる場合ではない。 ここにI田以上の名古屋人がいないことが判明した。 22(水) 120 100 〔開かない〕 ▼夕方、生命保険の担当者Nが会社に来ると言うので待っていた。 いまコマーシャルでやっている、保険内容を確認すると言う奴だ。 約束時刻に携帯電話が鳴ったが、オレは他の電話に出ており出られなかった。 さしずめ少し遅れると言う電話だろう。 こっちの電話が終わり、担当者Nに電話してみた。 「なんかあった?」 すると、妙に困惑気味な様子が電話口から受け取れた。 「あの〜、いま扉の前にいるんですけど、鍵が掛かって開かないんです」 いったい誰が鍵を掛けたんだ。 オレは慌てて、出入口へと走り寄った。 そして、ドアノブに手を掛け、そして回す。 ほどなく開いた。 そこには困惑顔のNが立っていた。 オレは一言「開いてるよ」と言った。 不思議そうな顔をし、首を傾げるN。 どうやらオレが電話をしているあいだ中、扉の前で待っていたようだ。しかも開いている扉が開かないと言ってだ。時折ノックなんかも試みたようだ。しかし、誰も気付いていない。 もしオレが出なかったら、いったい何時間、何日間そうしてたんだ。 まさか、押さなければならないドアをひたすら引いていたんじゃないだろうな。 だとすれば、Nに、押すという文字はないのかも知れない。 引いてダメでも引いてみな、である。 なかなかの意志の強さを感じるが、少々応用力に欠けるようだ。 良く考えてみたら、しょっちゅう来てるじゃないかよ、ここに。 Nは紛れもなく、俗に言う不思議ちゃんである。 オレは絶対に不思議ちゃんにだけはなるまいと心に誓ったのだった。 21(火) 60 100 〔待ちに待った番組の復活〕 ▼今日もしっかり夏日であった。 車中はもとより、事務所内もエアコンは冷房である。 ▼衛星放送WOWOWでUFCが再開されて嬉しい今日この頃なのである。 いったい何のことを言ってるのか分からないだろうが、そもそもUFCとは何か。 けっして、「ウッカリファンタくん」ではない。そんなこと分かってると思うけど、念のため。 UFCとはアメリカの格闘技団体であり、平たく言えば、金網の中でやるPRIDEである。 平たく言っても分からないか。 ま、過激な格闘技である。 今年の春に突然、WOWOWからUFC放映の打ち切りが発表され、これじゃ、何のためにWOWOWに入ってるのか分からないよ、みたいな状況に陥っていたのである。 思えば、WOWOWには、放送開始直後から入ったのではないか。 動機はやはり格闘技であった。それもマイクタイソンである。 当時、超人気者のマイクタイソンの試合は地上波で放映されていたのだが、今後、タイソンの試合は衛星放送でしか見られないと言う情報を聞き、これはまずいなと危機感を覚え、さらにその頃、前田日明率いるリングスと言う格闘技団体が旗揚げされ、その大会がWOWOWで放送されると言う話を聞き、そうとなれば入るしかないじゃないか。 それからと言うもの、ずっと契約しっぱなしなのだが、はっきり言って元を取ってないよ。 したがってこの度のUFCの復活は、オレに取って実に喜ばしいことなのである。 だがしかし、久しぶりにチャンネルを衛星放送に切り換えたら、あまりに映りが悪くて閉口した。 しばらくは我慢するしかあるまい。 時間が解決してくれるものなのかよ。 20(月) 120 100 〔時期尚早〕 ▼週明けの今日、女子社員のN美が風邪を引いて休んだし、S木もすっかり鼻声である。 しかし、S木は自分が風邪であることを認めない。アレルギーだと言って譲らないのだ。 だけどもだ。明らかに風邪だよ、そりゃ。 この様に二人の風邪っぴきがこの事務所に出現したわけだが、これらのことから考えられること、それは、風邪を引くにはまだ早過ぎると言うことである。 なにしろまだまだ暑いよ暑い。 外の陽気なんて言ったら、いまは初夏です、もうすぐ海開きです、そろそろ海パンを買おうと思います、などと言ってもまったく不思議ではないのではないか。 したがって、秋と言うにはあまりにもおこがましいと言えるし、いまから風邪を引いていたのでは、これから先、あと何回風邪を引かなくてはならないのか、考えただけでうんざりするだろう。 それでもあと10日もすれば11月だ。 どうやら紅葉はまだまだ先のようである。 19(日) 〔シートカバーを付けよう〕 ▼愛車のリアシートが長年の経年変化でかなり色褪せてきたため、カーショップへ行き、何かいいリアシートカバーはないものか捜した。リアシートごと交換すればいいものだが、それができないところが悲しい。 カバーと言っても、これだけ古い車である。ぴったり合うものがあるわけもなく、なにか汎用的なものがないか捜してみた。 すると、いい具合にどうにでも付きそうな、一見ただのレザーシート的なカバーを見つけた。さっそく取り付けて見た。シートベルトの金具に当たる部分をおもむろにカッターで切り込みを入れる。この辺は実にアバウトだ。 ほどなく装着完了。 う〜ん、なかなか良いではないか。シックな黒は我がスカイラインにぴったりマッチしている。実に見事なイメージチェンジだ。 ただ難点がひとつある。 やけにビニール臭い。 いや、これは新車の匂いだ。 オレは自分にそう言い聞かせるしかなかったのだった。 18(土) 〔絶妙の命名〕 ▼大阪出張。 大阪支店で会議なのである。 春に名古屋からここ大阪へ転勤になったI藤に久しぶりに会った。 大阪はイヤだイヤだと言っていたが、6ヶ月もすれば意外と馴染むものである。 周りの連中からもすっかり慕われ始めたようであり、みんなからこう呼ばれていた。 「デカ長」 そう言う手があったか。 因みにI藤の風体はと言えば、角刈りである。 したがって、デカ長だ。 やられたなあ、やられたよ。 なるほどと言える命名と言えよう。 会議が終わると、I藤と同じく大阪支店のT澤、そして名古屋のI瀬と4人で飯を食いに行った。 なかなか辛い単身赴任の毎日を聞くに連れ、その大変さが身に染みて分かるが、それでもまだまだ覇気はある。 年末の忘年会は名古屋でやろうと約束し、大阪を後にした。 17(金) 60 100 〔次期Windows〕 ▼ここ最近、事務所にこもっての仕事が実に多い。 先立って、国土交通省から依頼のあった、自動車輸送統計調査の調査期間は先週の土曜から今日までであった。しかしながらこの間、3連休があったし、会社の車を使ったのは、ほとんど自宅と会社の往復だけだったよ。 意味あるのか、この調査。 書く方は楽だけど。 それにしても、終日室内にいるとかなり目にくる。 一日の大半をパソコンと睨めっこしてるからに違いないが、いまや必需ツールとなっているパソコンなしでは、仕事はできないだろうし、帰宅してからもパソコンと睨めっこじゃ、目がもたないよ。 ともあれ、パソコンにお世話になっていることに違いなく、とりわけその基本OSである、Windows には長年お世話になっていると言えよう。 所有しているパソコンの中に弱冠一台 Windows 以前のOS、DOSマシンがあるものの、Windows に比べれば性能的に如何ともし難いものがあるし、そもそも何が嬉しくてDOSを使っているのか理解に苦しむよ。 そして、この Windows の次期バージョンが早くも発表された。 発売は未定だが、その名も、Windows 7である。 セブンときたか。 セブンと言って思い付くのは、ウルトラセブンが有名だが、たまに、ウルトラマンセブンなどと言う誤った認識をしている方がおられるのでご注意を願いたい。 そんなことよりも、Windows 7だ。 XP、Vista と来て、いきなり7と言うのも何か釈然としないものがあるが、これまで Windows が6つ出ているのだとすれば、まあ納得するものの、果たしてそんなに出ていただろうか。 思い付くまま列記してみよう。 Windows 3.0、Windows 3.1、Windows 95、Windows 98、Windows ME、Windows NT、Windows 2000、Windows XP、WindowsVista。 ざっと9個もあるじゃないか。 たぶん、Windows 3.0以前もあるはずだから、優に10はあるだろう。 それなのになんだ、セブンって。 ただ単に、ラッキーセブンだからなのか、それともやっぱり、ウルトラセブン? ともあれ、オレはまだまだXPで十分だよ。 16(木) 120 100 〔文字に難がある〕 ▼客先に提出する書類をせっせと作成。 午前中に仕上げなければならない。 急な依頼であったためタイムリミットまであまりにもなく、仕方がないので手書きのままFAXを送信し、そのまま午後の打合せのため事務所を出た。 何かあれば携帯にでも連絡が来るだろう。 何も連絡はなかった。 どうやら何も問題なく、書類は通ったようだ。 さすがオレである。 会社に戻ると、女子社員が呆れ顔だ。 どうした、何かあったのか。 どうしたもこうしたもないよ。 オレが外出してまもなく、客先から連絡があったと言うのだ。 話によると、先方はこんなことを言っていたらしい。 「ぜんぜん読めません」 少々気にはなっていたが、いくらなんでも、ぜんぜん読めない、のぜんぜん、はひどすぎないか。 ひどいのはオレか。 女子社員I田は、そんな客先が不憫に思ったのだろう。 オレの手書きの原稿を捜しだし、事もあろうにワープロで清書したと言うではないか。 あんた、オレの通訳かよ。 昔はもう少しましな字を書いたはずだが、いつの間にこんなことになったんだろうな。 いくらうまく書こうと思っても、オレの意志に反し、ことごとくゲジゲジが這ったような字なのだ。 これを専門用語で、ゲ字ゲ字と言う。 今作ったんだけど。 どうやら、この指は、鉛筆よりもすっかりキーボードに慣れてしまったようだ。 これもひとつのハイテク病なのだろうか。 かっこ良く言えばそうである。 15(水) 60 100 〔北の土産は〕 ▼先週、北海道へ行った女子社員S木に、その状況を聞いた。 思ったほど寒くなかったらしいが、一足先に紅葉を満喫したと言うし、ジンギスカンも美味しかったと言っていた。 最終日には持ち切れないほどのお土産を買ったらしく、いったい何を買ったのかと尋ねれば、これだと言う。 じゃがポックル。 やはりこれか。 時期によっては地元民もなかなか手に入らない代物だが、それにしたって一人で150個はないじゃないか。 いいのか、そんなに買い占めて。 売ってくれたのだからいいのだろう。 しかしながら店員は笑っていたと言う。 そりゃ、そうだろうな。なかなかいないぞ、そんなに買う奴は。 帰りは、ひぃひぃ言いながら両手にじゃがポックルをぶら下げて帰ってきたと言う。 オレはつくづく思った。 名古屋に着いたとたん、じゃがポックル持ったまま、じゃがポックリしなくて良かったよ。 無理矢理なダジャレで締めてみました。 14(火) 120 100 〔休み明けである〕 ▼もうはや火曜日かよ。 昨日、休みだったのでそんな感覚であるが、得したのか損したのか良く分からないのだった。 昨晩は東京から高速で帰ってきたわけだが、無理矢理、割り引き適用時間の0時過ぎにインターを降りたものだから、その代償として、すっかり寝不足になってしまい、かと言って昼寝するほど余裕のあるスケジュールでもなかったため、なかなか辛い一日となった。 しかも、終日雨であったため、気分的にもどんよりしがちであったが、あまりにも、やらねばならないリストが飽和状態になってきたため、ここはシャキッと気分一新しなければなるまいと気合いを入れたものの、どうやら、からからから回り。 いったい何が言いたいんだよ。 ともあれ休み明けとはそう言うものじゃないかい。 誰ともなくそう問い掛けるのだった。 13(月) 〔友人のところへ〕 ▼東京は三鷹の友人Hのところへ遊びに行った。 会うのは1年以上振りである。 まずは、かなり具合が悪いと聞いていた長年飼っているウサギと対面し、やはり寝たきりであったもののエサを口元に持って行くとむさぼるように食べ、その食欲旺盛さにホッと一安心した。 これも定期的に行っている点滴のお陰だと思うが、そもそも友人自ら行っていることに驚く共に、そのチャレンジャー精神には呆れるばかりだ。そもそもなんだよ、そのテクニシャンぶりは。 なにしろたいしたものである。 ほかにネコが一匹いるが、オレの顔面に恐れをなしてまったく出てくる様子がない。 ここはネコのためにもそっとしておいてあげるのがよかろう。 友人の自宅から歩いて、ちょっと行ったところに井の頭文化園と言う動物園がある。 そこへ行き、つい動物たちと戯れてしまう。 東京都とは思えないほどの広大な自然にちょっと驚く。 そこから更に歩いて、吉祥寺商店街へ。 噂通りの若者たちの賑やかな街だ。 あまりもの人の多さに、改めて、ここはやはり東京なんだと再認識し、じわじわと実感する。 しかし、若者たちと戯れることはなかった。 意味もなく戯れるのは危険だからな。 人は日々様々な困難と戦っているわけだが、とにかく友人Hもいま、多くの困難に直面し戦っている。少なくともオレよりも多くの困難と相対しているのだ。 それなのに、なんだこのオレの不甲斐なさは。 そんな状況をじかに聞き、このオレも頑張らねばなるまいと無理な決心をした、そんな密度の濃い充実した一日なのだった。 12(日) 〔アルファに乗る〕 ▼知人が、ちょっと乗ってきていいよ、と言うのでちょっと乗ってみた。 アルファロメオ。 車好きが乗る車、アルファロメオである。 運転席は意外とタイトであり、ハンドルは右だ。 つまり外車の右ハンドルというやつである。 このとき、ちょっと厄介なことが起こる。 油断すると、右左折するたびワイパーを動かしてしまうのだ。 いったいおまえは何をやってるんだと思われるかも知れないが、それはそれで致し方あるまい。外車の右ハンドルの場合、日本車のそれと比べ、ワイパーとウインカーの位置が逆なのである。ともあれ、曲がる度にワイパーは、少々お間抜けと言えよう。 この車はオートマモードとマニュアルモードがあるようだ。しかし、オートマモードへの切り換え方が分からず、終始マニュアルモードで運転した。 シフトレバーを上下に動かし、シフトアップダウンをするのだが、停車時には自動的に1速に戻る。なんとも賢いシステムである。 基本的にオートマだが、日本車のあのクリーピングがまったくないのも独特だ。 パワーはそれほどでもないが、非常に運転しやすい印象を受けた。 だがオレに、外車は似合わない。 結局はそう言うことである。 11(土) 〔至難の床屋〕 ▼起きたら10時半だった。 慌てて支度し床屋へ行った。 遅かった… 案の定ひどい混み様だ。 立って待っているなんてまっぴら御免の助だ。 取りあえず、近くのダイエーへ時間つぶしに行った。 30分ほど立ち読みしたあと、再び床屋へ。 もういい加減空いてる頃だろう。 入口から中を覗いた。 さっきより混んでるじゃないか。 いったいどうしたんだ。いつからこんなに床屋ブームになったんだ。 床屋にブームとかないから。 3連休の初日に床屋へ行き、さっぱりして連休を過ごそうと言う魂胆が見え見えな奴らばかりだ。 オレもそうだけど。 それにしても、こんなに混んでいては気が引ける。 今日のところは諦めるとするか。 オレは家に戻った。 果たしてこんなことでいいのか。 オレは自問自答し始めた。 今週を逃したらしばらく行けないのではないか。 来週末はたしか大阪出張だったはずだ。 そう思ったらもう気が気ではない。 このままではオレの頭がダメになってしまう。 ある意味もともとダメだけど。 そう思ったらもういても立ってもいられなくなった。 こうしてオレは清水の舞台から飛び降りたつもりで、再び床屋に行ったのだ。 すっかり空いてました。 どこまででかい話になってるんだよ、たかだか床屋で。 ともあれ、こうしてさっぱりした頭で連休を迎えることができたことはまことに幸いである。 10(金) 120 100 〔乗り切る〕 ▼気温28度。名古屋は本日もトロピカルなり。 こっちはこんな陽気だが、女子社員S木は北海道へ旅立って行った。旭山動物園に行くらしいが、今頃はあまりもの季節の違いに愕然としていることだろう。 動物を見る目は、その寒さのために強張ってしまい、微笑ましさなど皆無なのではないか。 健闘を祈る。 ▼昨日のあの平和さがまるで嘘のように目まぐるしく忙しい一日だった。 なにしろ、朝っぱらから急な仕事が入り、そのお陰で今日の予定はすっかり狂ってしまい、ややもすれば明日からの連休も危ういところであったが、持ち前の集中力と茶目っ気でなんとか乗り切ることができた。 これで明日は安心して床屋だ。 9(木) 60 100 〔平和な職場〕 ▼気温27度と言う、なんだかトロピカルムード満開な気候の中、事務所に缶詰である。 外出して、トロピカルムードを味わいたくてもできそうもない事務処理の中、女子社員S木が外出しようと誘ってきた。 どんな良いところに行くのかと内心わくわくしたが、なんのことはない、銀行である。 確かさっき銀行から帰ってきたばかりのはずだ。どうやら肝心なことを忘れてきたらしい。いったい何をしに行ったんだよ。 これもこの暑さのせいだろうか。どうやら頭が少々暖かくなっているようだ。 なにしろ、もう一度銀行まで往復する気力がないと泣き言を言うので、女性には必要以上に優しく、クールなオレは車を出して送って上げました。 この様に、目まぐるしいようでいて実に平和な職場の実体なのだった。 こんな日がいつまでも続きますように。 無理だけど。 8(水) 60 100 〔もう冬支度なのか〕 ▼そろそろ冬支度をしなきゃと言う女子社員I田が、この冬欲しいアイテムとしてこれを上げた。 ベストのダウン。 人一倍寒がりなI田に対しオレは苦言を呈した。 何を言ってるんだ。寒いだろうよ、そんな半袖じゃ。 そう言ったとたん、周囲は大爆笑に包まれた。 オレの戒めの言葉がなぜそんなにおかしいんだ。 すると、I田が言った。 半袖のダウンなんか着たくないよ。第一、そんなの見たこともない。 なるほど、ごもっともな意見だ。 そういや、見たことないな、半袖のダウンなんて。 そもそも、そんな中途半端なダウンはオレだってまっぴらごめんだよ。 それじゃまるで、やっこさんじゃないか。 いや、まてよ。 そんなに決めつけなくてもいいのではないか。 半袖のダウンがあったっていいじゃないか。 だからと言って、半ズボンのダウンは微妙である。 ダウンにする意味が良く分からないからだ。 7(火) 60 100 〔大事なのはいたわりである〕 ▼「ピーー…」 プリンターが詰まったようだ。 オレはすぐさまプリンターに駆け寄り原因を調べようとした。その瞬間、慌てて女子社員N美はオレに言う。 「触らないで」 別にN美を触ろうとしたわけではない。 いったいどんなシチュエーションなんだよ。 どうやらN美はオレが触れた物はすべて壊れると思っているようだ。 その通りだ。 直すのも得意だが、それ以上に壊すのも得意なオレなのだ。 そうこうしているうちにオレがボーっと立っているその横でプリンターをチェックするN美。 手を貸そうとちょっとでも触ろうものなら、即座に叱責される。 それほどまでに信用がないのか。 常日頃のオレの動きを見るに付け、触れる物に対するいたわりが感じられないのかも知れないな。 これからは何事においてもいたわりの精神だ。 いたわりと言っても、板割りではない。根本的に意味が違っちゃってるから、それ。 ときには手加減をすることも必要だろう。 しかし、それじゃちっとも達成感が得られないじゃないか。 オレはなんでも力一杯やりたいのだ。それが例えボタン操作ひとつにしてもだ。 けっして、ぽちっ、じゃダメだ。 オレは、ぼっち〜ん、といきたいのだ。 そんなどうでも良いことを思い描いているうちに、プリンターは直った。 どうやら、いたわってもらっているのはオレのようだ。 6(月) 120 100 〔乱立するビデオデッキ〕 ▼凱旋門賞、メイショウサムソンは10着。 残念だが、これも勝負事である。まずは、無事走り終えたことで良しとしよう。 ▼I瀬が何を買おうか迷っているのは、DVDビデオデッキである。 先立って、40型の液晶テレビビエラを買ったばかりであり、だとしたら次に買うのはビデオデッキしかないだろう。 いま話題はやはりブルーレイと言うことになるのだろうが、如何せん、まだまだ高い。CMは永ちゃんだしな。 連携機能のことを考えると同じメーカーが良いのだろうが、SONYはすでにブルーレイドライブしかないのだと言う。ハイビジョンで残さないのであれば、DVDでじゅうぶんと言う気もするし、そもそもブルーレイは性能的にも時期尚早だろう。なにしろ書き込み速度がまだまだ遅い。さらに容量が大きいのだから、想像するだけであくびが出るよ。 うちにはDVDビデオデッキが3台ある。すべて東芝製である。パソコンとネットワークで繋げられるということで選んだのだが、東芝はブルーレイから一歩後退してしまった。 その替わりに、特殊な録画圧縮技術を採用し、ハイビジョンでも容量を抑えた録画ができると言うことらしいが、他の機種との互換性など、なんだかよりいっそうややこしいことになっているじゃないか。 これでは、I瀬も迷うはずである。 ハイテククムラ〜と異名を持つこのオレでさえ迷うほどだ。 ハイテクと言っても、くれぐれも、ハイテクニシャンではないし、ましてや、ハイテクマクマヤコンでもない。 ついに魔法だのみかよ。 5(日) 〔結果発表、そして結果を待つ〕 ▼昨日、話題に出したので発表しないわけにはいくまい。 G1初戦、スプリンターズSである。 見事に外れました。 自信はけっこうあったんだけどなあ。 それはいつものことだ。 優勝したスリープレスナイトとアポロドルチェから3連複総流ししていたのだが、スリープレスナイトは1番人気であり順当であった、しかしながらアポロドルチェは大穴である。それでも自信はあった。根拠のない自信である。 しかしながらそう巧く行くはずはなく、結果は5着。それでもほんとに惜しい5着であった。一瞬、3着に残ったかと思ったもんなあ。 何を言おうと外れは外れである。 そんなわけで、G1初戦の馬券は惨敗、レースの方は人気馬どうしの堅い結果となった。 さらに競馬的興味は今日の夜にもある。 メイショウサムソンの凱旋門賞挑戦である。 凱旋門賞と言えば、日本馬の絶対的存在であったディープインパクトが敗れたあの、世界最高峰のレースである。 そのレースに満を持して、メイショウサムソンが出走するのである。 しかしながら、相手は名だたる猛者ばかりだ。日本では考えられないが、サムソンの人気は7番人気と非常に低い。サムソンも舐められたものである。 だがなにかやってくれそうな、そんな予感がする。 競馬ファンとして、吉報を期待するばかりである。 4(土) 〔G1前哨戦〕 ▼明日からいよいよ秋のG1が始まる。 だったら気持ちも高揚させねばなるまい。 と言うことで、中京競馬場へ行ってきた。 そんなことかよ。 中京は開催しているわけではないので、こんなときの競馬場はパークウインズと言う奴である。 明日のG1スプリンターズSを前に前売りを買いに来た人も大勢いるのだろう、競馬場内はけっこうな人出である。 中にはいると、物産展やフリーマーケットなどの催し物があちこちで行われているし、明日は花火大会もあるようだ。 競馬場を有効利用しようと色々工夫しているようだ。 オーロラビジョンの正面の席に座り、適当に馬券を買う。 適当であるから本当に適当である。買った馬券はすべて同じ買い目であり、そんなだから考える苦労もない。ただ、レースの成り行きを、ボケーッと眺めるだけだ。 当たるわけがない。 ま、今日はほんの肩慣らしだ。 強がり言ってらあ。 なにしろ本番は明日である。 秋G1第一弾スプリンターズS、電撃の6ハロンで、幸先の良いスタートを切りたいものである。 3(金) 120 100 〔人にはそれぞれやり方がある〕 ▼客先と一緒にカラースキムを作っているおり、サンプルを台紙に貼るため両面テープを手で引きちぎっていたら、不思議そうな顔で客にこう言われた。 「カッター付いてますよ、両面テープに」 有り難いアドバイスである。 って言うか、恥ずかしいじゃないか、そんな常識的なことも知らないなんて。 だがしかし、オレに言わせれば、手で引きちぎる方が効率的なのである。 だってそうだろう。 両面テープだよ、両面テープ。 どうせ、隠れてしまう身の上なのだ。ちょっとくらい見栄えが悪くたって構わないではないか。 ただの負け惜しみである。 それよりも何よりもオレが言いたいのは、なぜ人は、両面テープのことを、りゃんめんテープと言うのか、その辺をはっきりして欲しいのだ。 ただのはぐらかしである。 2(木) 60 100 〔切実な話を聞く〕 ▼久しぶりに気持ちの良い天気だ。 気温も高い。そのせいか、睡魔に襲われることしばしばである。 思わず、春眠曉を覚えてしまったほどだ。 秋だよ、いま。 ▼業者のMが折り入って話があると言い会社にやってきた。 見ると、実に深刻そうな顔をしている。 いったいどうしたと言うんだ。 「何か仕事をください」 さしずめそんなことだろうと思ったよ。 なにしろ、このところの仕事のなさと言ったら尋常ではないらしく、このままでは食っていくのもままならないと言うのだ。 確かに、うちの会社も先月の仕事量は少なかった。 したがって、業者に出す仕事も少ないのは当然である。 もう少しの辛抱だからと、慰めるものの、あくまでもMはしょんぼりだ。 薄い頭がよりいっそう寂しく、そしてひな鳥に見えるではないか。 不憫さに拍車を掛けてどうする。 さらにMはこんなことを言いだした。 「こうなったら厄年だと思って諦めるしかないですね」 いきなり諦めるのかよ。まあ、確かにそうとでも思わなければやっていけない気分なのだろう。 ところで、厄払いは行ったのか、と聞いたら、自分はてっきり行ってないと思っていたら、かみさんに「行ったじゃない」と言われましたと言う。 その自覚のなさは、まったく厄払いの意味ないよ。 さらに困ったことに、自分の誕生日が厄年のちょうど境目らしく、どっちの年が厄年に当たるのか良く分かっていないのだと言う。 ってことは、もう一年覚悟かよ。 まだまだローテンションが続きそうな、Mなのであった。 1(水) 120 100 〔可哀想な鏡〕 ▼ふと目に止まったK田の机の上にある手鏡を手に取り、女子社員N山がN美に聞いた。 「なんでこんなところに鏡があるんですか」 少々複雑な表情でN美は答えた。 「それはK田さんの、可哀想な鏡なんだよ」 なにか深い分けがありそうだ。 それ以上のことをなかなか言わないN美。 それをどうしても知りたいのだ、その可哀想な鏡の謂れを。 N山と共にオレはN美に問いただした。 そしてついに、N美はその重い口を開いたのだ。 「それはK田さんが自分のお尻を確認するための鏡です」 聞くところに寄るとどうやらそれは、K田が自分のお尻に薬を塗るときに使用している鏡らしいのだ。 驚きの事実にN山は絶句した。 なにしろ、可哀想な鏡だ。 ここでひとつ疑問が生じる。 果たして可哀想なのは、K田なのか、それともその鏡自身なのか。 いや、本当に可哀想なのは、たまたま鏡を手に取ってしまったN山なのかも知れない。 byクムラ〜 |