千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とする。
体力維持か、単なる意地か、長年続けている腕立て伏せ。
ややもすると怠け気味になってくる今日この頃。
自分自身への叱咤も含め、ここに記す。
/30:残念な買い置き /29:淡水魚水族館 /28:一服が羨ましい /27:荘川桜 /26:聖火リレー /25:ガソリンの恩恵 /24:もっぱら聴いているのは /23:過信は禁物 /22:半分見えない過酷 /21:佇むおじさん /20:時間を掛ければよいと言うものでもない /19:桜を求めて /18:クシャミをこらえる /17:便利さの裏 /16:ハイウェイの犬 /15:大学でふと思う /14:つい忘れてしまう /13:日曜がありがたい /12:大阪で会う /11:迫り来る黒い物体 /10:やっていくには /9:充電が必要である /8:音は鳴り続ける /7:桜の終焉とともに /6:思い掛けず発見する /5:桜を廻る /4:募る寂しさ /3:朝っぱらから戦う /2:真に必要なのは /1:ここじゃない/
<2008年 4月> ◆腕立伏◆スクワ◆背筋◆腹筋 30(水) 120 100 〔残念な買い置き〕 ▼帰り際、閉店後のガソリンスタンドを通り掛かると、値段表示はすでに値上がりしており、疲れた身体がいっそうがっくりきた。 分かっていることとは言え、この目でじかに見ると、やはり残念な気分である。 値上がりする前に買い置きしておいたとニコニコしながら言う輩がいた。 おいおい大丈夫かよ、と、昨日のスタンド炎上事故を思いだしながら問いただしたが、問題ないと言う。 なぜならば、ちゃんと金属製の携行缶を購入して入れたからなのだと言うが、果たして分かっているのか、おまえ。 たった一度の買い置きのためにわざわざ携行缶を買う意味を。 非常に残念でかわいそうなので敢えて指摘はしなかったが、それほど思考能力を鈍らせるに十分な事態なのだと言えよう。 29(火) 60 100 〔淡水魚水族館〕 ▼時折立ち寄る高速のサービスエリアに水族館がある。 その名もアクア・トトぎふ。 世界淡水魚園水族館である。 いつもは休憩しかしない施設であるが、今日はその水族館に入ってみた。 淡水魚水族館である。 なのに、いきなりゾウガメがいた。 どこにも水っけがないじゃないか。 カメは好きだからいいけど。 その後は数々の淡水魚が軒を連ねた。 それにしても、なんて地味なんだ、淡水魚ってやつは。 ま、シックな落ち着きもあるわけだが。 そして、最後のコーナーで出迎えは、カピバラである。 ここは、淡水魚水族館である。 なのに、カピバラなのか。 どうやら、カピバラはアマゾン川流域に住んでいるらしい。 ならぎりぎり良しとしよう。いま、流行ってるみたいだし。 他にも、アシカショーなんかもあったりして、少々変わった淡水魚水族館ではあったが、癒しの空間としては十分な水族館であった。 ▼ガソリンスタンドのその混雑のさまが、もうすぐガソリンが値上がりになることを実感させる。 もうちょっと待って欲しかった。 28(月) 120 100 〔一服が羨ましい〕 ▼休み明けから少々仕事に励みすぎたようだ。 気が付けばすっかり夜も更け、時計は23時を指していた。 なにしろオレの仕事はノンストップだ。 夢中になると、つい時間も忘れ励んでしまう。 そして、挙げ句の果てには、ぐったりと目はしょぼしょぼ状態となるのだ。 原因は明らかだ。 オレに一服がない。 なぜなら、タバコを吸わないからだ。 タバコを吸う者は、ふと思い出したように喫煙所へ行き、タバコを吸う。 その時間が程良い休憩となっているのだ。 ああ、なんて羨ましいんだ。 しかし、オレにはそれがない。 無理矢理一服だと言って、手に何もないのは少々いただけないのではないか。 かと言って、一服のたびに、アイスキャンデーをくわえていたのでは、オレが築き上げたクールなイメージは崩れるし、そもそも冷凍庫はオレの専用倉庫となってしまうだろう。 それはそれである意味クールだけどな。 ともあれ、何事も緩急が重要なのである。 27(日) 〔荘川桜〕 ▼今日は早くから張り切って出掛けた。 行った方角は北だ。 ちょっと前にもそんなフレーズを言ったような気がする。 それもそのはずだ。 桜を見に行きました。 どれだけ桜が好きなんだよ。 そう言われても仕方ない。 行った先は、岐阜県の奥の方、荘川村の荘川桜である。 50年近く前、ダム建設に際して移植した2本の桜である。 岐阜県指定の天然記念物だ。 渋滞を覚悟していたが、運良くあっさりと駐車場に入ることができた。 何度か仕事で来たことはあったが、じっくり見るのはこれが初めてである。 2本ともアズマヒガンザクラと言う種類であり、ソメイヨシノよりも時期が遅いのか、まだ7分咲きと言ったところである。 たった2本の桜ではあるが、その姿は実に逞しく、そして美しかった。 これでまた明日から頑張れる。そんな気にさせてくれる桜であった。 ▼その後、世界遺産の白川郷合掌村まで足を延ばした。 そのレポートはまた後日。 26(土) 〔聖火リレー〕 ▼久しぶりの土曜休みである。 昼過ぎまで何をするでもなく過ごす。 そう言えば、今日は長野で聖火リレーだったんだな。 テレビをつけ、中継を見る。 なんだ、この過保護ぶりは。 リレー走者の周囲を何人もの警官ががっちりガードだ。 なにもそこまでして、と思わないでもなかったが、それもまあ致し方ないのだろう。 なにしろ、最悪の事態は免れたようでなによりである。 星野さんも欽ちゃんも無事だったしな。 そんなこんなで特に何処へ行くともなく一日が終わってしまった。 明日は、無理矢理でもどこかに行かなくちゃな。 愛車のガソリンは満タンのままである。 25(金) 60 100 〔ガソリンの恩恵〕 ▼なんだかんだ言って、そんなことはないだろうと高をくくっていたが、ガソリンが再び値上がりすると言うのはどうやら本当らしい。 5月早々からと言うから、もう残された時間は僅かではないか。 しかも、元の値よりも更に上がるのではないかとの憶測もあり、へたしたら、ハイオク180円かよ。 なんなんだよ、聞いたこともないその値段は。 ふと考えてみたら、値下がりしてから給油したのはまだ一回切りである。 これはいかん。 もっと恩恵を受けなくてはあまりにもオレが可哀相だろう。 是が非でも、給油せねばなるまい。 したがって、残り少ない今月中に遠距離ドライブを決行する必要があるのではないか。 そこまでする意味があるのか。 今一つ分からないでもないが、あまり深く考えるな。 それはさておき、果たしてまともに給油できるのか、一抹の不安はあるのだった。 24(木) 120 100 〔もっぱら聴いているのは〕 ▼最近、もっぱら聴いているのは、バービーボーイズである。 昨年リリースされたベストアルバム「蜂」だ。 解散して久しいが、いま改めて聴くと、実に新鮮かつ斬新である。 男と女の掛け合いツインボーカルはその当時もなかなかなかったし、この時代においても画期的なのではないか。 さらに二人のハスキーボイスの融合はこれ以上ないくらいに心地よい。 男性ボーカルKONTAのサックスもかっこいいしな。 当時、女性ボーカルの杏子を、かなりのお姉さんと言う感覚で見ていたが、いま、その当時の映像を見ると、若いよ若い。 当たり前だけど。 その頃、KONTAのキーが異常に高くて、カラオケで悔しい思いをしたことを思い出す。 この様なオレ的法則がある。 ハスキーボイスはキーが高い。 KONTAもご多分に漏れずと言う奴である。 もしいま歌ったら、10秒で血管キレるな、きっと。 23(水) 60 100 〔過信は禁物〕 ▼朝起きたら、昨日のことがまるで嘘か幻のように目は回復していた。 なんてありがたいんだ、おめめってやつは。 可愛く言っても無駄である。 昨日のあれは、たぶん極度の疲れ目だったのだろう。一晩寝ただけでは回復しないほどの眼精疲労だ。 オレの疲労はまず目に来る。しかしたいていの場合、一晩寝れば翌日はすっかり回復しているのだ。 しかし、それが翌日まで尾を引くとは、こんなことは今までになかったことだ。 ちょっとずつ弱っているな、これは。 目を鍛えようにも、目で腕立てするわけにはいかないのだ。 仕事でも遊びでもパソコンを睨みっぱなしなのが、まずもっていけないのかも知れない。 ともあれ、昨日まで目医者へ行く気まんまんだったが、すっかりその気が失せてしまった。 それでも本当は一度、検査してもらった方が良いのかも知れない。 何処にどんな重大な障害が潜んでいるやも知れないのだ。 特にオレの場合、過信は禁物なのである。 22(火) 120 100 〔半分見えない過酷〕 ▼朝起きたら、左目が異常に痛い。 何かゴミでも入ったかと思ったが、いくら洗っても一向に痛みは取れない。 当然、コンタクトを入れられるはずもなく、しょうがないのでそのまま家を出た。 それにしても、片目が見えないことの、なんと不便なことか。 なにしろ運転していても遠近感が掴めない。 しかも寄りによって今日は遠方遠征ときている。 岐阜の各務原から静岡県の焼津に向かう。 なんとか業務はこなしたがやはり目の痛みは取れず、目医者に行こうと決心し焼津の眼科を捜したが、なかなか見つからず、それでもなんとか探し当て、ホッとして車を乗り入れたら、もぬけの殻の廃業医院かよ。 走行距離500キロが1000キロに感じられるほど、過酷な一日であった。 21(月) 〔佇むおじさん〕 ▼このところ、高速道路の、あるサービスエリアに立ち寄ると、必ず見掛けるおじさんがいる。 歳の頃は60過ぎだろうか。体型は中太りで小柄、作業服の上にジャンバーを着ている。 そのおじさんがいつもトイレの壁を背にして立っているのだ。 特に何をすると言うわけでもない。 ただひたすら前を見て立っているのだ。 いったいこれが何を意味していると言うのだろう。 誰かを待っているのだろうか、それとも何かを監視しているのだろうか、いや、もしかしたら修行かも知れない。ややもすると、誰かに置いていかれたのかも知れないぞ。 早く迎えに来いよ、まったく。 なにしろ、その日だけならさして気にも留めないが、問題はいつもそこにいると言うことである。 しょっちゅう、そのサービスエリアに立ち寄るわけではないが、かれこれ2週間ほど前からだろうか、それからと言うもの、ここに立ち寄ると必ずいるのである。 これは何かのっぴきならない事情があるに違いない。 その後の状況を見届けたいが、悲しいかな時間がない。 そんなに気になるのなら、いっそ声を掛けたらとも思うが、その踏ん切りが付かない。 声を掛けたとたん、いきなりおぶさってきたらどうしようとか、気持ち良く、朗々と歌い出したらどうしようとか、そんな面倒なことを考えていたら決心が付かないのである。 その一歩が道になるのに、拒否する自分がいるのだ。 それもこれも面倒な道になりそうだからである。 オレもまだまだ修行が足りない。 20(日) 60 100 〔時間を掛ければ良いというものでもない〕 ▼食堂で飯を食いながら競馬観戦。 皐月賞である。 昨晩から予想に余念がなかった。先週の700万馬券を見れば、気合いが入るのも無理はない。700万は無理にしても、数十万の可能性はあるかも知れないのだ。 いったい予想に何時間を費やしたことだろう。 昨晩、布団に入ったのはすでに3時を廻っていたはずだ。 かくして結果は。 あっさりと外れました。 いくら予想に時間を掛けたところで、外れるときは本当にあっさりである。 逆に言えば、当たるときもあっさりなのである。 そう言った観点からから言えば、競馬の予想に時間を掛けるのはあまり意味がないな。 その後の精神衛生上も、時間を掛ければ掛けるだけ虚しいのである。 ▼いつものスターバックスへ行く。非常に混んでいると思いきや、みな外に出てお茶を飲んでおり、中は空いているのだった。 そんな良い季節になった。 花粉もすっかり楽になったのである。 19(土) 〔桜を求めて〕 ▼休日出勤で各務原まで行く。 土曜だと言うのに、電話がやけに多い一日だった。 そんな中、K田から電話。 業者の電話番号を教えて欲しいと言う。 どうしたんだ、と問うと、携帯電話が壊れてしまったのだと言う。 どうやら水没したらしく、屈んだ隙にポケットから飛び出た携帯が落ちた先は、水の入ったバケツだったと言う。 べた過ぎるよ、その水没。 これだけ水没がオーソドックスだと、きっぱり諦めも付くだろう。 ▼まるで、駆り立てられるかのように、桜を目指して北上した。 行った先は、長野県は伊那市、高遠城址公園の桜である。 数日前に新聞に載っていたのを思い出したのだ。 なんとかまだ日があるうちに到着。 感動の満開である。 良く見ると、ここの桜は枝っぷりが非常に逞しい。 タカトオコヒガンザクラと言う品種らしく、その規模の大きさは「天下第一の桜」と称されるほどであり、なかなかの自信満々振りと言えよう。 それもそのはず、ここは1500本もの桜が樹林となっているのだ。 こうして再び、満開の桜を観賞することができた。 満開に満足。そして満タンだ。 ガソリンがカラである。 18(金) 120 100 〔クシャミをこらえる〕 ▼昨日今日とまとまった雨が降っている。そのためかどうかわからないが、花粉の症状がずいぶん楽になっているようだ。 なにしろ、クシャミをこらえなくても良いのがありがたい。 あれは、なかなか体力が消耗するからな。 いっそのこと、クシャミしてしまえばとも思うが、それはダメだ。 別にオレのクシャミが変わっているわけではない。 「はー、はー、はっくしょぃ!っちくしょー!」ではないし、「はー、はー、ぽよよ〜ん」でもない。 どんなクシャミだよ。 そもそも、「はー」から「ぽよ」ってことはないじゃないか。 オレがクシャミをこらえるのは、一度したクシャミが際限なく続き、そのあげく、顔面がくしゃくしゃになってしまうことが予想されるからだ。 そうなると復旧にかなりの手間が掛かることが考えられ、したがってこれ以降の業務に支障をきたすことは必至である。 だからオレはこらえる。是が非でもこらえる。誰が何と言おうとこらえる。 こらえの三段活用かよ。 なにしろ、クシャミの魔の手になど負けてはいられないのだ。 17(木) 60 100 〔便利さの裏〕 ▼携帯電話の料金明細を見て驚いた。 通話料はまだ良いとしても、問題はパケット通信料だ。 いつもに比べて3倍は使っているのではないか。 これじゃ、パケ放題にすべき料金だよ。 いったい何に使ったんだ。 本能の赴くままに何かいかがわしいサイトでも見たのだろうか。 それとも、しこたま、いかがわしいメールでも送りまくったのだろうか。 オレがそんなにいかがわしい男に見えるか。 どちらかと言えば、けがらわしいかもな。 いかがわしいと、けがらわしいの違いがよく分からない。 そんなことはどうでもいい。 冷静に考えてみたら原因が判明した。 先月、携帯電話を変えたのだった。 どうりで納得である。 着メロのダウンロード、必須iアプリのダウンロードと、機種変したては何かと通信料が嵩むものである。 それにしても掛かり過ぎな気もするが、それはきっと通信速度が飛躍的に上がったせいであろう。 それを良いことに調子に乗ってサクサク落としてしまったようだ。 便利さの裏には、それによる弊害もまたあることを肝に銘じねばなるまい。 16(水) 120 100 〔ハイウェイの犬〕 ▼高速道路のサービスエリアに車を入れた。 そろそろ昼の時間である。 最近、犬連れのドライバーをよく見掛ける。サービスエリアに入るや否や、犬を外に連れ出し、緑地帯などで軽い散歩などをしているのだ。 今日もそんな光景を数組見掛けた。 ふと目の前を見ると、白くてどちらかと言えば長毛の中型犬がトコトコ歩いている。 よく見るとノーリードではないか。 まったく常識を知らない奴もいるものだと、呆れて見ていると、いっこうに飼い主が現れない。なにしろ犬は自由気ままに歩き回っているし、手に何か持っている人を見掛けると、付いて廻ったりしている。 このようなことからオレはこの犬をこう結論付けた。 ノラ。 つまり野良犬である。 しかしながら高速道路に居座るノラは、そこら辺にいる普通のノラとは一線を画す、何か特別なノラに見えるから不思議である。 いわゆる、ハイウェイノラである。 通常のノラであれば、何か卑屈さを感じさせるものだが、そのノラはまったくそんなことを感じさせない。むしろ、威風堂々としているのではないか。 お前のその自信はどこから来るんだ。 それが、ハイウェイノラのハイウェイノラたるゆえんであろう。 誰だ、そんな素敵な命名をしたやつは。 オレだけど。 ともあれ、くれぐれも注意してもらいたいと、オレはそのノラに言いたい。 一見、ニヒルに見えるハイウェイノラだが、その裏、常に危険と隣り合わせの厳しい境遇にあることを忘れてはなるまい。 これ以上、ハイウェイノラが増えないことを願う。 15(火) 60 100 〔大学でふと思う〕 ▼マスクが苦痛になるほど、暖かい一日。 いっそ、マスクに換気扇を付けたい気分だ。 意味ないけど。 とある大学のキャンパスへ仕事で入った。 まだ春休みのはずだが、学生が非常に多い。 どうやら明日が入学式らしく、その予行演習なのだろう、様々なサークルが賑やかに練習をしている。きっと、明日の入学式にお披露目して、新入生を勧誘する魂胆だろう。 悪かないけどさ。 それにしても、なんて楽しそうなんだ、キャンパスライフ。 まるで学業の苦痛を感じさせないそのウキウキな雰囲気は、親が見たらどう思うだろう。 子供が楽しければそれでよいと思うだろうか、高い学費払ってるんだから勉強に勤しめと顔を曇らせるだろうか、それとも、自分もウキウキしたいと地団駄を踏むのだろうか。 なかなかいないよ、そんな親は。 ともあれ、ざっと見渡したところ、親の心を考えているものなど居そうもない。 自分に照らし合わせてみれば、まったくオレもそうだったよ。 そもそもいまだに恩を返していないのではないか。 いったいどうすりゃいいんだろうな。 せめて1、2年に一回、元気な顔を見せてやることくらいしか思い付かないのだった。 14(月) 〔つい忘れてしまう〕 ▼今度は必ず調べておこうと思っていても、つい忘れてしまうと言うことは良くあることだ。 これでもけっこう携帯は使いこなしている方だと思う。しかし、ある機能だけは、どうしても分からない。 電話が掛かってくると、つい慌ててしまうのだろう。必ずと言っていいほど、何かいらないスイッチを押してしまう。 すると、いきなり相手の声がスピーカーから聞こえてくるのだ。 これはオレに取ってまったく意に反することである。 ほんとは普通に携帯を耳に当てて話したいからだ。 これは俗に言うハンズフリーモードと言う奴なのだろうが、必要のない時に意味なく無闇にハンズフリーは如何なものか。 携帯に向かって喋っている姿は、まるで、携帯とお話ししている、さみしんぼうだ。 これほど間の抜けたものはないだろうし、そもそも会話の内容が廻りにまる聞こえじゃないかよ。 だったら、ハンズフリーから通常モードに切り換えれば済むことなのだろうが、これがどうしたらいいか分からないのである。 そもそも、何をどうしてハンズフリーになってしまったのかが良く分かっていない。 いつも、家に帰ったら調べようと思うのだが、まず間違いなく忘れてしまう始末だ。 そして、今日もオレはハンズフリーマンなのだった。 13(日) 120 100 〔日曜がありがたい〕 ▼休日が一日しかないと、取り立てて何もやる気が起きないものだ。 もし、日曜もないと言った事態になれば、やりたくても何もできないことになり、したがって、たった1日だけの休日とは言え、その有り難みが分かろうと言うものなのである。 まさに、ビューティフルサンデー、ビックサンデー、少年サンデーだ。 なんでも付ければ良いというものではない。 もし、この世の中に日曜がなかったとしたら、いったいどうなることだろう。 1週間が6日になる。 これはちょっと困りものではないか。 だってそうだろう。やっと休みになると思ったら、また仕事が始まってしまうのだ。 その繰り返しに人々はふと気付く。 「日曜がないじゃないか」 人がどれくらい働き続けたか分からない。しかしある瞬間、日曜の重要性を認識したのである。 ありがとう、日曜日。 あまり意味のない感謝をするオレなのだった。 ともあれ、毎日が日曜であれば良いと思うものの、毎日が日曜気分じゃダメだな。 12(土) 〔大阪で会う〕 ▼会議のため、大阪出張であった。 名古屋の桜はすっかり散ってしまったが、大阪の桜はまだ残っている。 大阪の桜が粘り強いのか、ただ時期が遅かったのかはわからない。 朝9時半、大阪支店着。 ここで、先日大阪支店に転勤したI藤に会った。 今日は事務所の模様替えのため出勤していたのだった。 見たところ心なしか元気がない。まだ大阪の空気に馴染んでいないのだろうが、表情が実に寂しげである。 まるで借りてきたネコ状態だ。 角刈りのネコは如何なものか。 ま、ここに来て1週間だからな、無理もないだろう。 昼の休憩に様子を見に行ったら、I藤の姿が見えない。廻りの者に聞いても知らないと言う。 ふと外を見ると、そこにひとりタバコを吸うI藤の姿があった。 あぁ、なんて寂しいんだよぉ。 とにかく、早いとこ慣れることを願って止まない。 11(金) 120 100 〔迫り来る黒い物体〕 ▼客先との打合せのため静岡へ向かう途中、高速道路の通行止めに出くわし、とんでもない遅刻をしてしまったのは、営業のYである。 ラジオのニュースによれば、トラックから外れたタイヤが観光バスに直撃したとのことであった。 この類の事故は実に多い。 オレも過去にこのような危ない思いをしたことがある。 やはり高速道路を走っていたときのことだ。 そのとき隣には免停中の後輩が乗っており、まるでオレはお抱え運転手だったのではないか。 会社に帰る途中、それほど混雑していない東名阪を快調に走っていた。 ふと前方を見ると、数百メートル前を走っている車から火花らしきものが見えた。 さしずめ、マフラーから出た火花であろうと、そのときは思った。 しかし、そうではなかった。何やら黒い物体がこっちに向かって来るではないか。 「あれなんだ?」 オレは後輩と顔を見合わせながら言った。 てん…てん…てん、っと弾みながら転がってくるところから、それがタイヤであることが判明した。 しかし、判明したところでどうしようもない。 相手は気まぐれなタイヤだからだ。 右へ避けようか、左へ避けようか、非常に判断に困った。しかし、そんなもの分かるわけないじゃないか。結局、右車線をそのまま行っちゃうことにしました。 運命を運に委ねることにしたのである。 そして、かなりの勢いで向かってきたタイヤは、車の左側をかすめて行ったのです。 これが命拾いと言う奴なのか。 おまえと心中しなくて良かったと、ホッと胸を撫で下ろす二人なのだった。 その後、後方の車がまったく来なくなってしまったことは、そこで何が起きたのか判断するに十分であった。 何が飛んでくるか分からない、それが高速道路と言う道であるし、人生と言う道なのだ。 10(木) 120 100 〔やっていくには〕 ▼今日はすこぶる元気が良い。 万全の体調で、派遣社員とともに仕事へ。 その派遣社員は今日が初仕事である。 このところの多忙さにおける人手不足のため、今回ついに採用したのである。 それにしても、実に真面目そうな男だ。 それは、醸し出す緊張の度合いから見ても明かである。 そこまで緊張されると、逆に不安であったりもする。 いつどこで沈没するか分からない危険性を孕んでいるからだ。 そう言った意味では、ある程度の鈍感さ、太々しさも必要なのではないか。 オレのこの鈍い神経が半分でもあれば、十分やっていけるであろう。 爬虫類かよ、オレは。 ほんの少しでも良いから鋭い感性が欲しいと願うオレなのだった。 9(水) 〔充電が必要である〕 ▼仕事上のちょっとしたトラブルが元で客先に呼び出された。 営業のTと雁首並べてしこたま叱られ、一気に全身に疲労感が漂う。 Tなどは、娘が初めて立ったと言って喜んでいた矢先にだ。 花粉がピークを迎えていることもあるのだろう。夜になるとその疲労感はいっそう拍車が掛かり、すっかり意気消沈してしまった自分がいる。 こうなったらK−1MAXでも見て気分を高揚させるしかないじゃないか。 そんなことよりさっさと寝て、気力を充電させろよ。 分かっていてもやめられない。それがK−1だからだ。 8(火) 120 100 〔音は鳴り続ける〕 ▼いまの車はシートベルトをしないと警告音が鳴る仕様になっている。 ぴーぴーぴーぴー… とても心地よい音とは言えない。 爽やかな、モーツァルトでも鳴ればとも思うが、それじゃまったく意味をなさない。 したがって、オレは往生際良くきっちりとシートベルトを装着するのだが、ふと困った問題が発生した。 いつものように、シートベルトをカチャッと装着し、さあ、発進。 ぴーぴーぴーぴー… 警告音が鳴ったのである。 おかしいな。もしかしたらきちんとはまっていないのかも知れない。そう思い、もう一度装着し直してみた。 ぴーぴーぴーぴー… いったいどう言うことなんだ。オレが何をしたって言うんだ。 とにかく、走っているあいだじゅう、その警告音は鳴り続ける。 昔の車は、100キロを超えると、きんこーんきんこーん…と言う警告音が鳴ったものだが、それは速度を落とせば鳴り止むことであり、今回の場合はそうはいかない。 速度を落とそうが、シートベルトを引っ張ろうが、鳴りっぱなしなのである。 そのうち鳴り止むだろうと、しばらくほっといたが、まったく鳴り止む気配はなく、そうこうしてるうちになんだか無性に情けない気分になってきた。 このままではどうかしてしまいそうだ。 そこでオレは考えた。 シートベルトを装着しているのにも関わらず、警告音が鳴ると言うことは、もしかして… オレは、試しに助手席のシートベルトを装着してみた。 カチャッ ぴーぴーぴっ… 鳴り止みました。 やったぜ、ベイビイ。 こうしてオレの社有車の助手席は、人がいようがいまいが、シートベルト厳守となった。 端から見れば、何かのおまじないだよ、これ。 この様に、仕組みが複雑になればなるほど不具合も複雑になることを覚悟せねばなるまい。 突き詰めて考えれば、単純が一番だよ。 オレの脳細胞のように。 自画自賛である。 7(月) 60 100 〔桜の終焉とともに〕 ▼昼から雨が降り出す。 これにてこの地域の桜も終焉であろう。 少々寂しいが、これで花粉症が軽くなれば、まだ諦めは付く。 毎年、この時期、花粉がオレに対して非常に辛くあたるのは、それが杉やヒノキの花粉ではなく、むしろ、桜の花粉だからなのではないか。 とにかく、決まって花見のときはマスクが欠かせないのだ。 花見と言えばマスク。マスクと言えばザ・デストロイヤーなのだ。 我ながら古いな。 なにしろ、綺麗な花には棘があると言えよう。 ▼それにしてもなんだか良く分からないのは昨日の柔道である。 オリンピック選考会を兼ねた大会だったらしいが、女子のオリンピック代表に選ばれた6人中、この大会で優勝したのはたったの一人である。 いったい何のための大会だったんだよ。 優勝した選手がまったく浮かばれないじゃないか。 しかし、けっして抗議する者などいない。 それが国技の閉鎖性というものなのだろうか。 6(日) 120 100 〔思い掛けず発見する〕 ▼自宅からほど近い、牧野ヶ池緑地と平和公園へ桜を見て廻る。 まだまだ見頃は続いており、その効果もあって、公園で遊ぶ人々はみなハイテンションだ。 キャッチボールもハイテンション、バトミントンもハイテンション、おまけにトランプもハイテンションだ。どうやら、犬もハイテンション気味である。 さすがにハイテンションで将棋を指す人はいなかったけどな。 なにしろ、桜がなければここまでハイテンションにはなれないだろう。 凄いな、桜の威力ってやつは。 ▼数年前に見た、なが〜い桜並木を急に思い出し、しかしながら、それがどこだったかどうしても思い出せず、それほど遠い場所じゃなかったはずだがと、思い当たる道を手当たり次第に走り回るもやはりそれは見つからない。 するとふと思い掛けないものを発見した。 ラーメン屋である。 それは、オレが大好きだったのにも関わらず、いきなり店仕舞してしまった店だ。 もう二度とあの味が味わえないのかと落胆していたのだが、なんとその店があるではないか。 店の名前も確かに、やま○○や、と書いてある。 いや、もしかしたら店の名前が同じだけで、中身はまったく違うものなのかも知れない。 だったら確かめるしかないだろう。 店の中に入ると、食券の自販機が置いてあった。以前はなかったものだ。 やはり、違うのか。 少々心配になったが、メニューにオレの好きな、こってり醤油がちゃんとあるではないか。 オレは迷わずそれを選択した。 果たして、あのときそのままの味なのだろうか。 オレは疑心暗鬼のまま食べた。 ほど良いこってり感のスープも、少々焦げ目の付いた柔らかい絶品チャーシューも、そのままだ。 心配させやがって。 まったくもって嬉しい限りである。 なにしろ、このまま長く続いて欲しい、そう願うばかりなのだった。 5(土) 〔桜を廻る〕 ▼休日出勤。 実に良い天気である。 まだ辛うじて桜は見頃だ。 今日を逃せば、今年の桜は見られないかも知れない。そんな使命感から、仕事をとっとと終わらせ、桜見物へと廻ることにした。 まず、今日の仕事場からほど近い、岐阜県各務原の桜である。 偶然見つけた桜並木だ。 すでに満開の時期は過ぎているようだが、時折吹くそよ風とともに舞い落ちる桜の花びらが、なかなか良い風情である。 これが頭にまとわりついて鬱陶しい。 どっちなんだよ。 それほど混雑もなく、車も停められて、なかなか穴場だったのではないか。 来年、忘れてるだろうけど。 ここから南へ30分ほどの、大口町へ向かう。 ここの五条川の桜並木はけっこう有名らしい。 川沿いを立ち並ぶ桜は7キロ。 非常に見応えがあるものの、とても往復する気にはなれない。 そろそろ暗くなってきたところで、同じ五条川沿いの岩倉へ行ってみることにした。 現地に近付くにつれ、もの凄い渋滞である。 一瞬、諦めようかとも思ったが、桜名所100選にもなっている場所である。せっかくここまで来たのだから見ないわけにはいかないだろう。 果たして車は停められるのだろうか。 運良く、コインパーキングが空くところに出くわし、駐車完了。 10分ほど歩いて会場へ。 それにしても凄い人だ。 まるで桜を見に来てるのか、人を見に来てるのか分からないことになっている。 それでも十分堪能できるほど、怒涛の桜、桜、桜。 ライトアップされた桜はさらに幻想的だ。 オレの顔もライトアップしたらさぞかし幻想的だろう。 するな。 この地域の桜も実質明日が最後だろう。 明日はいつものオレ的桜の名所を見て廻って、締めることにしよう。 4(金) 〔募る寂しさ〕 ▼ちょっとどうかと思うほど調子が悪い。 花粉症のせいもあるのだろう。なにしろ頭がボーっとし、ただでさえ乏しい思考能力が、ほぼないに等しいくらいにトボトボしい。 やだなあ、トボトボなのは。 夕方帰社すると、女性陣から久々に買って食べたと言う赤福の残りをもらうが、赤福を持ってしてもなかなか調子は戻らない。 そんな状況の中、いよいよI藤が名古屋勤務の終わりを告げるときがやってきた。 皆に最後の挨拶をするI藤の神妙な顔付きは、これからの不安と不安を象徴していると言えるだろう。 不安ばっかりかよ。 主人のいなくなった机が、寂しさをいっそう募らせるのだった。 3(木) 120 100 〔朝っぱらから戦う〕 ▼朝の忙しい時にいつもと違う状況が発生すると、非常に困ることになってしまうのではないか。 特にオレのように朝起きて家を出るまで15分という人間に取っては、1分2分の狂いがが非常に重大な問題となって立ちふさがるのである。 まさかこんなことが起こるとは思わなかった。 オレはいつもの様に朝の支度を脱兎の如く行った。 当然出掛けるわけだから服も着なければならないだろう。 オレはズボンを履いた。すると次の瞬間、信じられない事態が我が身に降り掛かったのである。 「チャックが締まらない」 チャックである。 チャックはチャックでもロッキーチャックと言えば、有名な山ネズミとして知られているが、この場合そのチャックではない。 今風に言えばファスナーであり、専門的に言えば社会の窓である。 その大事な部分が締まらないのだ。 これほど締まらない話もないよな。 なにしろ、通常はあっさりと上がるはずのチャックが上がらないのだ。 どう工夫しても、一向に上がる気配はなく、そうこうしているうちに時間は過ぎてゆくばかりだ。 いつからそんな分からず屋になってしまったんだよ。 遅刻の理由が、「チャックが上がりませんでした」では、オレとしては非常に不本意じゃないか。 しかし、焦れば焦るほど、その状況は悪化する一方であり、ややもすればチャックごとちぎれてしまいそうである。 そして、ついにオレはチャックに屈した。 まさか、こんなところでチャックにやられるとは思わなかったぜ。 オレはそのチャックを見放し、素直なチャックと共に家を出たのだった。 2(水) 60 100 〔真に必要なのは〕 ▼いま、モバイルパソコンが欲しくてたまらない気分でいるのは、I瀬である。 狙いはずばり、オレが先立って購入したモバイルパソコンEeePCだ。 価格は 49800円とただでさえ安価な設定になっているこのマシンだが、これに抱き合わせて携帯電話会社イー・モバイルとの契約をすることにより、19800円と言う破格の値段となるのである。 どうやらこれに非常に興味を持っているようだ。 しかしながら、確かに端末は3万も安くなるとは言え、問題はその抱き合わせの方である。案の定2年のしばりがあるらしく、果たして今後、それに見合った使い方をするのかと言うと、非常に判断が難しいことになっているのだが、さらにそれ以上の問題があるらしく、それはどうやって奥さんを説得するのかと言うことである。 ちらっと話を持ちかけたら、とたんに反対されたらしく、逆にこう言われたのだと言う。 「それよりも電動式自転車買ってよ」 なかなか前途多難な大きな壁である。 そしてそれを横で聞いていたI藤が口を挟んできた。 「それがあればインターネットできるんですか」 いまさら何を言っているのかと思ったが、考えてみれば来週から大阪へ単身赴任となるI藤の住まいには、パソコンはおろか、電話回線なんてものは何も装備されていないのだった。 真に必要なのはI瀬よりも、I藤の方なのかもしれないな。 そんなI藤の名古屋勤務も残すところ2日のみである。 1(火) 120 100 〔ここじゃない〕 ▼ある書類を提出するために保健所へ行かねばならず、しかしながらすでに期限は過ぎており、やっとのことで今日、提出の目処が付いた。 保健所へ足を運ぶ。以前来たことのある保健所だ。 係の人に書類を渡した。 上から下まで目を通す係員。 もの凄く丁寧に見てくれているようだ。 あっ!と一言呟くようにそのひとは言った。 何か間違えてましたか? すると予期せぬ返事が返ってきた。 ここじゃないです。 どうやら、出す保健所を間違えたようだ。先に言えよ。 あまり時間がない。オレは気を取り直し、急いで本来行くべき保健所に向かった。 そこは閑静な住宅街であった。 だがしかし、地図で調べたその場所に、どうしても保健所が見つからない。 いったい何度同じ道を通っただろう。 ぐるぐるぐるぐる… メリーゴーランドかよ。 オレは諦め、携帯で検索してみることにした。 なんと驚いたことに、保健所は移転してしまったようだ。どうやら区役所の中に入ったようである。 オレは地図で区役所の場所を確認し、そこへ向かった。 何度も言うようだが、あまり時間がない。 先を急ごう。 だがしかし、今度は区役所が見つからないではないか。 地図に記されているその場所をいくら確認しても、それらしき建物は見当たらない。 なんてことだ。 ふざけるのもいい加減にしろ。仮にも区役所だぞ。そんなでかいものが見つからないわけないじゃないか。 ふと見ると、何やら看板が立っている。 あまり気が乗らないが、読んでみることにした。 「区役所は移転しました」 なんてこった。区役所ごと移転かよ。 文句を言うのも分かるが、ほどほどにしておけ。 一番の原因は、オレの地図なのではないか。 10年ものの地図は少々いただけないのだ。 地図もWindowsのようにアップデートが重要である。 なんだかんだ言ってアップデートが一番必要なのは、オレの頭だけどね。 byクムラ〜 |