<自転車と私>
私は小さい頃から自転車が好きであった。
どこへいくにも自転車である。
最初から補助車なんかも付けたことがない。
あんなもん付けたら、コーナーリングの格好ったら見れたものじゃない。
私の幼少の頃の愛車は、中古のちょっと錆びの浮いた、おっさん自転車であった。
ある日私はいつものようにその愛車を駆って気分よく走っていた。
と、前の方を近所のガキンチョが自転車に乗って走っていた。
その自転車は、巨大なウインカーの付いた最新式の5段変速スポーツ車であった。
普段からちょっとむかつく輩だったので、からかってやれと思い、後ろから激突をかま
そうとアクセルを全開するがごとくペダルをおもいっきり踏み込み、最高速に達したと
思われたその瞬間、目を疑う予期せぬことが起こった。
なんと、さっきまで目の前を風車のごとく回転していたタイヤが前方を一人走りしてい
るではないか、、と思った矢先には私の体とハンドルの下が折れてなくなった自転車が
むなしく土手にころがっていた。
ライバルは何も知らないまま遠ざかっていった。