<スケートと私>

昔、北海道では雪スケートというのが流行っていた。雪の路上をスケートで滑るのである。スケートの歯の部分は氷の上を滑るのと違い少し幅の広いものだったと記憶している。

ある日、年長の近所のおねえさんがそのスケートを履いて滑っていた。その後を、私はスケートではなく、安価なミニスキーを履いて滑っていた。
これもまたその当時おおいに流行った冬の北海道では欠かせないアイテムであった。
と、そのおねえさんはおもむろに、切り妻屋根から積もった雪がそのまま下まで続いているその坂の斜面を登り始めたのである。私はまるでそのおねえさんのお尻に引き寄せられるように後を付いて登っていったのである。
するとあーら不思議、当たり一面が真っ赤なバラ色になっているじゃないですか。
それが、おねえさんの華麗な後ろげりによる、パックリ開いた瞼の上の鮮血だったことに気付くのにそう時間は掛からなかった。